2014年9月30日火曜日

御嶽山噴火予知(2):やっぱり現時点では予知は無理だったのか

火山性地震の発生頻度
TBSテレビ ひるおび
2014.9.30
なかなか救出活動が進まない御嶽山噴火だが、予知はやっぱり現時点では無理だったと見るべきではないか。メデイアの報道によると確かに火山性地震が頻発していたが、これで専門家が噴火警戒レベルを平常の1で活火山ランクB(高い)から噴火警戒レベル2の火口周辺規制でランクB、あるいは今回のように入山規制レベル3でランクA(特に高い)へあげる判断が出来たかは疑問である。

気象庁が発表している火山性地震の発生回数を見ると、91052回、1185回だったが12日から10回から20回前後に減少し27日は正午までに88回に急増し噴火に至った(TBSテレビ 「ひるおび」 2014.9.30)。

この結果だけを見ると入山規制も必要だったと考えられるが、11日以降の12日から20日あるいはそれ以降の発生回数を見るとはなはだ迷うのだ。

過去の御嶽山の噴火実績が乏しいところで、こういう状況が続くと次にどうなるかは予測が難しいのではないか。

もし、ここで噴火警戒レベルを上げたとしたら登山など紅葉ツアー、温泉などの観光で地元が成り立っているので客足は落ちるだろう。宿泊キャンセルも続くだろう。地元産業への痛手は大きい。

それで噴火がなかったとしたら地元自治体や観光業者から批判が続出し、気象庁や火山予知連絡会は批判の矢面に立つことは確実だ。損害賠償の話だって出てくるのだ。

そして一度噴火警戒レベルを上げた後、火山性地震の低い回数が続くと今度はレベルを元に戻す時期を何時にするかが問題になる。

低回数が続き、元に戻ししばらくして噴火することだって考えられる。今度は「何故レベルを元に戻したのか」と責任を追及される。

こういう規制は、開始するときよりも解除するときのタイミングの方が難しいのだ。

火山の特性も掴めないなかで災害を最小限に防ぐための規制を気象庁や火山予知連絡会が思い切って実施する為には、地元自治体、地元産業、観光業者の間での了解事項を確立する必要がある。
今回も事前情報を地元自治体は受け取っていたが、噴火警戒レベルが1のままでは普段と変わらないと防災担当者が判断しても可笑しくはない。

自治体、登山者、観光業者への警戒情報の伝え方、情報の読み方(受け取り方)も大きな問題だ。

御嶽山噴火を受けて、多くの専門家が「予知は無理だった」とコメントするなかで、火山予知連絡会の記者会見での藤井会長の「これが予知連絡会の今のレベル」という自虐(?)コメントに気の毒さを感じた。

早速、官房長官が「監視体制への予算化」に言及していたが、大きな犠牲の上でなければ安全は確保できないのだ。


2014年9月29日月曜日

御嶽山噴火の前兆?「噴火前に頂を覆っていた雲が消えた」:寺田寅彦も浅間山噴火で同じ現象を随筆に

寺田寅彦随筆集第五巻
「小爆発二件」
今日の情報番組も御嶽山噴火、救出状況の報道から始まるが、無事生還出来た人の体験談が多くなった。その中で何か前兆らしい現象がなかったのかと注意して聴いていたら、「噴火前まで頂上を覆っていた雲が消えた」という体験をTBSテレビの情報番組「ひるおび」に出演された山岳カメラマンの津野さんが言及した。

実は、寺田寅彦博士もその随筆集第五巻「小爆発二件」で、同じ現象を目撃者の話として紹介しているのだ。

昭和108月軽井沢に滞在していた寺田寅彦博士が4日、17日と続けて浅間山の小爆発を経験し、その時のことを随筆「小爆発二件」に書いた。

それによると、場所によって爆発音や気波に気がつかなかったり、噴煙や岩塊の状況も違って見える。新聞は素人のゴシップをそのまま伝えていつもの新聞の嘘だと言う。

そして、北軽井沢で見た目撃者の話として、「おもしろいことには、噴出の始まった頃は火山の頂を覆っていた雲がまもなく消散して山頂がはっきり見えてきたそうだ」と言い、偶然の一致かもしれないが爆発の影響とも考えられないことはない。今後注意すべき現象の一つだとも言う(寺田寅彦随筆集第五巻「小爆発二件」)。

噴火する前の熱風で雲が消散したのだろうか。前兆現象の一つかもしれない。

又、他の生還者も「強い硫黄臭」を訴えていた。噴火する約30分前頃だ。風向きなどにより違うだろうが遭難回避の一つになるかもしれない。

小規模の噴火とは言え、灰は3050cmから1mに達しているのだろう。タンカを抱えてヘリまで向かう自衛隊員の足元が危うい。

不思議にヘリが降りても灰を巻き上げない。湿っているためだろうが、これが乾いてくると巻き上げて一段と救出活動が困難になる。

今回の噴火災害で私たちは知らず知らずのうちに危険場所に近づいていたことになる。一つの警告だろう。

噴煙を吐く御嶽山遠望 TBSテレビ「ひるおび」
2014.9.29



2014年9月28日日曜日

御嶽山噴火予知(1):噴火警戒レベルを決めても予知できるわけではないのだ

気象庁での火山予知連絡会記者会見
2014.9.28
今回の御嶽山の噴火は、予め火山性地震が認められたにもかかわらず何故、予知が出来なかったのかが問題になるが、火山予知連絡会の藤井会長が言うように噴火警戒レベルを決めても予知が出来ることではないのだ。今回も実際に噴火があって初めてレベルを1から3に上げた。

28日の気象庁での火山予知連絡会の記者会見の様子をNHKテレビの中継で見た。予知が出来なかったのかが問題になったが、藤井会長は苦しい見解を述べていた。

(噴火警戒)レベルを決めることは予知が出来ることと誤解されやすいがそういうことではない。専門家にはレベルを決めることに反対する人もいたほどだという(藤井会長)。

そして今回の噴火は水蒸気噴火だったが予知は難しい。前兆現象があったが予知に失敗したのは仕方ないことで今の火山予知連絡会のレベルはこの程度だ(藤井会長)。

でも予知には、その火山の噴火の特性などを積み重ねて予知に生かすことが出来る。今回の噴火で経験を積んだのだからレベルの上げ方を考え直すことは必要だろう(藤井会長)。

そして火山噴火の危険を自治体や登山者に伝え、個人個人が注意することも大事だ。

先日の新聞で、九州の方の山岳ガイドをやっている人が、登る前に気象庁の情報などで山の情報を集めているという。御嶽山が登りやすいと言うことで活火山としての意識が薄れていたのではないか。実際に下山した遭難者が記者の質問に「活火山とは知らなかった」と言っていた。

そして前兆現象があったとして噴火の危険を公表しても外れることも多い。

日本の観光地は火山や地震で出来ている。もし危険だというと観光客や登山者の激減で商売があがったりになり地域の経済が成り立たなくなる。そういうことを考えると公的機関が前兆現象を捉えて安易(?)に危険情報を流すことに尻込みをするはずだ。

観光地=地震、火山噴火の危険地帯という意識で個人個人が自己責任を持つことが大事ではないか。

御嶽山噴火のテレビの映像で山小屋を見る度に人間が危険場所に迫っていることがよく分かるのだ。

火山予知連絡会を責めるのも酷だ。

リニア中央新幹線は、日本にとって必要な社会資本なのか

日テレ・ウェークアップ
2014.9.27
JR東海が計画している9兆円に上るリニア中央新幹線の建設は、社会資本としてなくてはならない新幹線構想なのか。927日の日テレ・ウェークアップを見ていて気になった。

そんな気にさせたのが、18日に肺炎で亡くなった偉大な経済学者である宇沢弘文先生の「経済学は人々を幸せに出来るか」を読んでいたからだ。宇沢先生はその風貌からマルクス経済学者と誤解していた。本当は、「人間の心を大切にする経済学」を目指し、「社会的共通資本は市場原理主義では守れない」と主張されている。

企業の自由をとことんまで追求して出来るだけ儲ける機会を作り出すフリードマンらの市場原理主義に異論を唱えているのだ。

テレビ番組日テレ・ウィークアップでJR東海のリニア中央新幹線の検証番組を見て、これからの日本の社会資本として必要なのかどうか疑問を感じたのだ。

当初は東京―名古屋、最終的には東京―大阪になるが建設費は東京―名古屋で5.5兆円、その後は京都を通らないコースで最終的には約9兆円になるという。ほとんどがトンネルの中で1kmあたり140億円の工事だ。

高い建設費と思うが、東海道新幹線の建設費が当時の国の一般会計の1割、リニア中央新幹線も今の国の一般会計の1割に当たる。何故か、そろえたような感じだ。

儲かるから作るのだろう。JR東海は黒字を試算しているようだが、これから人口減で利用者も減ってくるのに黒字は可笑しいと指摘する学識経験者もいる。しかも民間企業1社で9兆円の投資はバカげているというのだ。JR東海には新幹線を5兆円で譲り受けた残金がまだ2兆円以上残ってもいるのだ。

私もこの計画をどうかと思う。人口が多く利用者も期待出来る太平洋ベルト地帯ではなく、長野の山間部をほとんどがトンネルの中を通るのだ。観光で行きは新幹線、帰りは名古屋で降りてリニア新幹線に乗り換え話の種にするしかないのではないか。

課題も多い。

南アルプスの下をトンネルで通るとすると、破砕帯での異常出水も予想できる工事期間、工事費はどうなるのか。関西電力の黒四ダム建設工事での難工事を新聞で見ていたので心配になる。

消費電力だって新幹線の5倍、通過先の住民が心配している騒音、振動も予測が付かない。おまけに大量の残土をどうするか。

先日の新聞で残土の処理は解決出来そうだというが、どういうやり方をするのか。

宇沢先生の言う社会的共通資本とは、池上彰さんの「新装版に寄せて」を読むと、大気、森林、河川、土壌などの自然環境、道路や交通機関、上下水道、電力、ガスなどの社会基盤、そして教育、医療、司法、金融資本などの制度資本からなり、これらをうまく機能させることが大切なのだという(「経済学は人々を幸福に出来るか」 宇沢弘文 東洋経済 2013.11)。

工事や走行で自然環境、生活環境に悪影響はないか。今の新幹線料金に7001000円プラスしただけの料金の交通機関に魅力があるのか。将来の電力事情はどうなのか。

リニア中央新幹線が出来上がった頃には、状況がすっかり変わっていたことにならないのか。


御嶽山噴火での安倍総理の危機管理:政府専用機からの指示、官邸に直行

政府は安倍総理の危機管理の万全性をアピールするのに余念がない。御嶽山噴火に当たってもニューヨークからの帰途、今回も「政府専用機から指示」とか羽田について「官邸に直行」と発表した。

先の広島土石流災害時にゴルフに興じ、被害の大きさに一旦官邸に戻るが夕方別荘へ向かったことが安倍総理の「危機管理の欠如」と批判されたことも大きく影響しているのではないか。

このときの安倍総理の行動を著名な危機管理者がラジオ放送で解説していた。それによると内閣改造、自民党役員人事もあって候補の身体検査の結果を別荘に開いたままにしてきたので、それを取りに夕方別荘に向かったのだと言う。「代わりの者が取りに行けば良いもの」と思うが、他人に見せたくなかったのだとも言う。

真実の程は分からないが安倍総理を援護する見方だろう。

ところで今回の御嶽山噴火で政府の危機管理はどうなっていたのか。

27日のメデイアのWEB版で探ってみた。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞は専用機でも指示したと記事に載っていたが産経ニュースは何故か記載がない。

1153分 御嶽山噴火
1323分 官邸に情報連絡室設置
1359分 2回目の噴火
1430分 官邸に連絡室に格上げ
      安倍総理が専用機から被災状況の把握、被災者救助、登山者、住民の安全確保、火山観測の強化などを指示したという。
1630分 官邸に到着、自衛隊の派遣指示
17時~   全閣僚会議、各省庁で情報を共有し対応を指示

朝日新聞 DIGITAL2014.927日 2031分)によると以上のようだ。官邸で情報
連絡室を連絡室に格上げすると同時に安倍総理の指示が専用機からあったようだ。

政府のやることだから政権のために作為はあって当然だが、自衛隊派遣などは総理が指示
しなくても防衛相が判断して決めれば良いことではないのか。防衛相は「安倍総理のご指 
示で派遣を指示した」とコメントを発表している。

安倍総理の危機管理の万全をアピールする政府の姿勢が鼻につくが、菅政権での福島第一
原発時の危機管理は相当混乱し機能しなかったことを反省し実効性にある危機管理をやっ

てほしいものだ。

2014年9月27日土曜日

御嶽山噴火:7年ぶりと言うが、3.11以来何があっても不思議でない警告か

御嶽山噴火 NHKニュース
2014.9.27
2007年の噴火から7年ぶりに御嶽山(3067m)が噴火した。折から行楽シーズンで人的被害が心配だが、3.11以来何があっても不思議ではない警告か。午後2時過ぎだったろうかテレビの画面に御嶽山噴火のニュースが流れた。早速メデイアのweb版で確認すると号外が流れていて1153分に噴火したという。気象庁は警戒レベルを1から3に上げた。

夕方のフジテレビのニュースで噴火の様子を知ることが出来た。

20073月末の噴火は小規模だったが今回は規模が大きい。午後159分にも噴火があったと言う。噴火口は3カ所で噴煙はパイロットの話では8000mまで上がっているらしい。

どうも昭和54年の水蒸気爆発と同じようだ。マグマが関係しているとしたらこんな程度の被害ではない。

爆発に遭遇し難を逃れて下山した人のコメントでは、黒い熱風が襲ってきて体をかがめてしのいだという。頭や顔は灰をかぶっていたのだろう白く残っている。他の人は当時の様子を、最初が土砂崩れだろうと思っていたら爆発音がして噴火と分かった。灰の雨とゴロゴロという雷の音がしたという。

当然に地震との関係が気になる。

30年前の1984年には震源を玉滝村とする長野県西部地震が発生し、大規模な土砂崩れ災害に遭っている。

NHKニュースによると、910日から火山性地震が増え出し、一旦減少したが26日になって急激に増加、27日の噴火となったそうだ。前兆現象と言えるのか。急増したときに入山者に警告出来なかったのか。

Tenki.netで長野県西部を震源とする地震を調べたが見当たらず、長野県南部を震源とする地震は頻繁に発生している。御嶽山の北東に当たるが近い。

長野県南部地震 2014.9.23
木曽で震度1
気象庁地震情報
それによると、今年にはいって20回、M1.8~3.9、最大震度3が発生している。気象庁の地震情報によると923205M2.2、木曽町で震度1だ。

この周辺で大きい地震と言えば1948年の福井地震M7.1,1968年の北美濃地震M7.0そして1984年の長野県西部地震M6.8があり関連性を指摘する研究者もいた。







御嶽山周辺の火山、活断層
SAPIO 2014.4
また周辺は阿寺断層帯、高山大原断層帯、境峠神谷断層帯、木曽山脈西縁断層帯に囲まれ(SAPIO2014.4 活断層&活火山ハザードマップ)、近くの焼岳は3.11以来何時噴火しても可笑しくないと言われてきた。

2011年の東北地方太平洋沖地震でM9を経験したのだから内陸部でも何があっても不思議ではないと言われてきたが、この御嶽山噴火もそう見るべきなのか。

兎に角、私たちに警告を発していることになる。


日本の国連・常任理事国入り:不可能に近いが、主張する意味があるのか

国連で演説する安倍総理
民放テレビニュースより
2019.9.27
安倍総理が国連で日本の国連・常任理事国入りを目指すと演説したが、不可能に近いことを目指すという意味があるのか。国連も創立70周年を迎え、日本の念願の常任理事国入りを目指す改革の機運を高める意味があるらしい。

今のウクライナ、イラク、シリア問題でも明らかなように国連の調整機能は完全になくなっている。G7, G20等が対応に苦慮しているが韓国出身の国連事務総長の存在感が薄い。

今の常任理事国も米、英、仏vsロシア、中国の構図で以前の資本主義vs共産主義の丸出しで調整機能など期待出来ない。

特に、今の国連の現状はロシア、中国自らが領土紛争などの当事国になっているのだから、どうしようのない状況だ。

国連改革の必要性はよく分かる。だから日本はドイツ、インド、ブラジルとのG4で常任理事国の拡大を提案しているが中国、米国の反対に遭って実現していない。

日本の常任理事国入りを反対しているのは米国だと言うニュースが流れ、「何故同盟国が」と不審に思ったことがあるが、米国は常任理事国が増えることに抵抗しているようだ。一方で、中国は近隣国の日本が加わることに警戒しているのだ。

さらに国連内でアジア、アフリカの発展途上国のウェートが大きくなり、先進国vs低開発国の思惑が絡んでくる。

安倍総理がバングラデッシュを訪問し、6000億円の援助と引き替えに非常任理事国への立候補を辞退させ日本支持を勝ち取った。全てが石原元環境相が言った「最後は金目でしょ」で動いているのだ。

安倍総理が訪問先での「日本が世界の中心にありたい」、「国連改革を主導したい」発言は他国にどう理解されているか。

国連への拠出金が第2位である以上は、それ相当の発言力があっても言いように思うのだが、日本は昔から「カネばかり」せしめられる国なのだ。


早くそういった国から脱却し、世界で発言できる国になって欲しいと思うのだが。


[関連記事]
2014.9.7掲載
日本の国連非常任理事国入りは6000億円の価値があるのか

2014年9月26日金曜日

大相撲:モンゴル出身など外人力士に支えられる国技?

読売新聞 2014.9.26
マークされているのがモンゴル出身者
日本の大相撲は外人力士に支えられなければ成り立たない国技に成りたったのか。今場所は、あれだけ騒がれた遠藤に負けが立て込む一方で、モンゴル出身の若き逸ノ城が快進撃を続けているというニュースで、久しぶりに新聞の秋場所星取り表を見て驚いた。

42人の力士のうちモンゴル出身が13人でそのうち白鵬、鶴竜、日馬富士の3人は横綱だ。他にブルガリア、中国、ブラジル、エジプト出身がそれぞれ1人になっている。

40%が外人で、外人力士に頼らなければ成り立たない国技になっている。

逸ノ城をテレビで改めて見たが、体格は良いし、いかにも強そうだ。度胸もあって白鵬と優勝戦を争うとこまで来ている。

我が国も少子化、人口減でこのまま行くと社会が成り立たなくなる恐れがあり、安倍政権は地方創生相を置いて対策を急いでいるようだが、スポーツ特に国技の大相撲はすでにその様相を呈している。

私が子どもの頃はスポーツと言えば大相撲、町の商店街が主催で大相撲の賭け事がはやったことがある。まずいと言うことで中止になったが、その後八百長などの協会内スキャンダル、横綱でありながら品性を欠く態度が問題になり「国技」として優遇する価値があるかどうかが議論され、日本相撲協会の改革の必要性が叫ばれた。

国技にどんなものがあるかと調べたが相撲しかないのだ。日本古来の剣道や柔道と思っていたが国技ではない。

だから相撲の歴史も古い。百科事典で調べると古事記にも出てくるらしく国ゆずりの力比べ、決闘が原型という。奈良時代に聖武天皇が天覧相撲を見、平安時代に相撲節会になり室町時代になって職業力士が出て来た。江戸時代になって勧進相撲でファンが増えお抱え力士も出て来た。

職業力士団として京都、大阪にもあったが、日本相撲協会に統一されたという。

歴史のある国技なのだ。これも子どもの頃の思い出だが、小さな町にも巡業に来た。テント張りの土俵で三根山という力士を見ることが出来た。又、その頃は移動するにはバスで木炭を焚いて走るので力士は1台に5人ぐらい乗り、坂道になると降りて後押ししていた。
でもあこがれのスポーツだった。昔は、北海道や青森で貧しい家に生まれた長男が、多くの兄弟、家族を育てるために角界に入り精進して横綱になり名を遂げ「○○○物語」という出版物も出たほどだ。

今は大学、高校、一般社会のスポーツから角界に入る傾向が強いようで、大学時代に相撲部にいて卒業後教員になったが夢を捨てきれず角界に入った話を聞いたことがある。今どうされているか分からない。

でも厳しい修行をしなければならず敬遠される傾向もあり、新弟子を国内ではなく海外に求めるようになったようだ。野球等は女子アナと結婚出来るほど華々しい世界であるが、角界も例外はあるが国技だけあって地味そうだ。


でも外人力士に頼らなければやっていけなくなっている相撲という国技にチョット違和感を感じるのだ。

2014年9月25日木曜日

消費税10%への先送り:法に則り増税を粛々と進めるのなら附則第18条も法律ではないか

「消費税10%へは法律で自明のこと、粛々と進めるべきだ」と10%先送り論を牽制する発言が財務相、日銀、自民党関係者などから聴かれるが、10%に上げることによって利権を維持したい人たちの発言で附則第18条では景気条項があり経済状況も考慮し中止することも法に則っているのだ。

4月の消費税8%増税に続き来年10月の10%増税に向け、安倍総理の決断が迫っている。4~6月期のGDP成長率の悪さが、いろんな憶測を呼んでいる。

先の8%の時は、確か公聴会(?)を開いて「万機公論」の姿勢を見せ、8割の人が賛成したことで比較的容易に決断できたが、案の定景気後退の場面に遭い復調が遅れている。落ち込みは想定内、V字回復を主張していたエコノミストも顔色は悪い。

そして今度は景気が落ち込んでいる状況下での10%への増税の決断だ。実施は1年後だから状況も変わってくると思うだろうが、市場、消費者心理の反応は早い。

今度も広く意見を聞くために経済財政諮問会議に「政策コメンテーター委員会」を設置し賛否を聴くようだ。「消費税増税でも成長は続く」という経済財政諮問会議の下部機関だから「10%へはGO」のはずだ。

財務相は「補正予算を組む」というし、日銀総裁は「何でもやる」となりふり構わない姿勢を示す。

でもそこまでやらなければならないと言うことは、今更なる増税のタイミングではないと言うことではないのか。

朝日新聞(2014.9.23)の「経済気象台」では、「本当に怖いのは2回目」と2度目の増税で日本経済が重篤にならないことを望むと慎重な政治決断を要求している。

G20では、麻生財務相が「安倍政権のアベノミクスの効果」をPRしたというが、海外の経済誌は「10%への増税に延期論」を主張している。

読売新聞(2014.9.25)によると、安倍総理は同行記者団に「GDP速報値が出る前に有識者に足元の経済がどうか意見を聞く場を設ける」と語った。

79月期のGDP速報値が出る前に聴くと言うことはどういうわけか。速報値を見なければ経済状況が分からないのではないか。GDPの改善には期待出来ないからその前にやるというのか。

OECDの事務次長は「足元の景気問題とは切り離し、消費税10%へ予定通り引き上げるべきだ」という(読売新聞 2014.9.23)。財務省あたりから出向している事務次長だから財務省の意向をくんでの発言だろう。

また、3党合意の時の公明党・山口代表も「もし上げないと「アベノミクスがうまく行っていなかった」と烙印を押され政治全体に好ましくないから「予定通り10%に上げるべきだ」と発言した」という(読売新聞 2014.9.24)。

でも、アベノミクスがうまく行っていないことはすでに分かってきたのではないのか。

消費税増税の如何によってはアベノミクス破綻、安倍政権崩壊の原動力にもなる。節目節目でしっかり国民に説明すべきだ。