喜ぶ原告団 2016.3.10 テレビ朝日 ワイドスクランブル |
大津地裁が関電・高浜原発運転差し止め仮処分で運転停止を命じる判決を下したが、今はNOでも何の変更もなく,いずれはYESになるのだろうか。福井地裁に続き大津地裁の判決は原告団も言うように画期的だった。
私も学生時代京都で過ごしていたが、飲料水源は琵琶湖だ。万一高浜原発で福島第一原発のような過酷な事故が発生した場合は琵琶湖の放射能汚染の可能性は高い。その結果関西方面の飲料水確保は困難となり広範囲に生活不能になるのだ。
安倍総理は原発再稼働に向け「責任は政府にある」と言っていたが、万一の時、どんな責任を取るのか。
下級審では住民の訴えを認める事例が多いが、上級審にいくほど住民の意向は二の次で国の政策を優先するようになる。何時ものパターンが見えてくるが同じ地裁でも裁判官が替わると別の判断が下されるのでは、真意は何か分からなくなる
讀賣新聞 2016.3.10 |
しかし、今回の新聞で報じられた「高浜原発差し止め仮処分決定要旨」を読んでみると納得のいく判決なのだ。
原発のような巨大設備であれば、情報の開示は最も重要な要素である。ところが電力会社は十分な資料を提出せず、誤解されかねないと思うと隠してしまう。原子力3原則に「情報の公開」があったはずだ。
要旨を読むと、まず安全に関して関電は十分な資料、根拠を持っているのだから安全に対する立証責任は関電にあると真っ当な判断だ。重要な事実に関する基礎データを提供せよという。技術的には劣る住民側に危険であるという立証責任を課せるのは無理だ。
そして、規制委員会の新基準による審査に通ったと関電は主張するだろうが、新基準は福島第一原発事故の反省に立って見直されたとはいえ、その福島第一原発の事故原因調査が十分に行われていないのに、何故安全と言えるのかという論法には説得力がある。
新潟県知事も東電・柏崎原発再稼働に向けて福島第一原発の原因調査が不十分としている。
その要因の一つだった外部電源の確保についても、デイーゼル発電機を設置したと言うが、起動失敗例も多く安心は出来ない。電源車の確保も地震では無理な場合があり、これで十分とは一般の合意が形成されるとは思えないという。
そして巨大津波の可能性では、関電は今まで大きい津波の経験はないと言うが、古文書などから大津波の跡が確認出来るというのだ。
地震に対する対応として断層の連動の可能性につき関電と裁判所の判断に違いが出ている。
総合的に考えると、裁判所はあらゆる面で関西電力は十分な説明をしていないという。
再稼働に向けて規制委員会と技術的なやり取りをしているのだから、もっと提出する資料、データは持っているはずだとも言う。それをさらけ出して「説明責任を果たせ」というのだ。
「情報の公開」は原発事業を担っている事業者にとっては必須の課題だ。
下級審のこのNOも上級審にいくほどYESになる。そして最後は最高裁判 所の判断を仰ぐことになるのだろうが、そのうちに事故が起きたり、設備寿命が来たりする事になりかねない。
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