久しぶりに朝日新聞(2016.3.18)・経済気象台の記事「心をつかむ政策説明を」に同感だ。安倍総理は政策が国民に浸透していないと見ると「丁寧な説明に努める」と言うが、国会では民主党議員の質問に「民主党政権ではこうだった」とキレまくる。
日銀の金融政策は日銀の目論見とは違う動きを市場がする。
その要因は国民や市場の心をつかむ政策説明をしていないからだと言うのだ。
経済気象台では、政策効果が期待通りに上がらない事例を挙げる。
欧州中央銀行は量的緩和策でマイナス金利、買い入れ資産の拡大など総動員して期待にこたえようとしたが、ドラギ総裁は「追加緩和は必要ない」と打ち止め感を出し株価は下落、ユーロ安を果たせなかったという。
日銀・黒田総裁もマイナス金利で期待を示したが国民の心は違う動きを示し、消費マインドの悪化、株価下落を誘ったという。消費者の動向、景気判断を見ても日銀は消費者の心理を読み間違えたというのだ。
そして、政策の効果を最大限発揮するには心をつかむ説明がますます必要になる。政策手段は限られているのだからと言う。
全く同感だ。
国会の予算委員会をNHK中継で見ているが、野党議員の質問はフリップを用意して質問するので見ていても理解しやすい。ところが大臣の答弁は閣僚が作製したペーパーの棒読みだ。それも法案説明を間違ってみたり、勉強不足を認めざるを得ない大臣、何の根拠もなく前の政権の決定を批判する大臣、官僚の耳打ちがあっても二転三転の答弁をする大臣などに政策を説得できる心などない。
本音が飛び出す麻生財務大臣の答弁は閣僚にしてみれば異色だ。
また、民主党議員の質問に「民主党政権時はこうだった」と比較しキレまくる安倍総理の答弁は、圧倒的多数の議席に物を言わせた強引なやり方としか言いようがない。
先の「保育園落ちた 日本死ね」のブログを使った山尾議員の質問に安倍総理は」「匿名だから本当かどうか確認のしようがない」と言ってしまった。「私だ」「僕だ」のプラカードが国会前に溢れる結果になり、参院選を前に票が逃げることを心配した政府は待機児童問題に精を出すと約束した。
自民党長老は「安倍総理の初動ミス」と批判し、丁寧な答弁を要求した。
日銀の金融政策でのマイナス金利の追加緩和は日銀が目論んだようには動いていない。別の動きが見えていることは政策への説明が不十分なのだ。
あの異次元の金融政策で「2年、2倍、2%」を発表した時は、分かりやすいごろ合わせでの説明は市場を動かせ円安、株高基調に変わった。でも今は繰り出す政策も限界が見え、黒田総裁の記者会見も精彩を欠く。
政府との関係で、2%物価安定目標達成までは「何かあると躊躇なく対応する」としか言いようがなくなっている。
日銀の金融政策決定もマイナス金利は5vs4と賛否伯仲していたが、今度2人の審議委員が任期満了で交代する。リフレ派が選任されるとなると7vs2という黒田総裁にとっては楽な運営になるが反対意見が減る事態になれば日銀の政策の信ぴょう性が疑われる。
黒田総裁も講演などで量的緩和政策の疑惑を払拭するために努力しているようだが、理解されているのか。
どうすれば国民、市場の心をつかめるか、為政者の大きなテーマだ。
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