16日に米・コロンビア大ステイグリッツ教授を招いての国際金融経済分析会合が開かれ、その発言要旨が新聞に載ったが、教授の主張した増税先送り、財政出動の必要性は分かっているんです。
伊勢志摩サミットを前に、収縮する世界経済へ議長国として政策を提言するのだろうが、安倍総理のアベノミクスも海外では破綻の見方もあり、提言へのお墨付きのためにノーベル経済学賞受賞の著名な経済学者を招いての勉強会なのだろう。
続けてクルーグマン教授も呼ぶという。皆、アベノミクスの賞賛者だ。耳触りの良い学者の意見を聞いてどうするのだ。
米国から高額のカネを使って招聘しなくても、伊東・京大名誉教授、浜・同志社大教授、日銀の木内審議委員をよんで聞いた方が良いのではないか。
8%への増税は景気を後退させ、個人消費を抑制する悪影響があった。更に10%への増税は教授や内閣府参与に言われなくても景気後退、個人消費停滞の想像は付く。
でも、財務省が言うようにこれからの社会保障制度をどうやって維持していくのか。「社会保障と税の一体改革」ではなかったのか。8%への増税時に景気条項を削除したので、大きな経済変動が起きない限り増税は決まった方向なのだ。
また、1000兆円を超える国、地方の借金問題は財政再建で大きな課題だ。経済学者には純資産もあるのだからそれを考慮すれば先進国と大差がないと楽観論を吐く人もいる。
昨年だったか、予算委員会で野党議員がこのことで質問していた。麻生財務相が答弁していたが結末がどうだったか忘れた。
更に教授は世界的な需要不足から総需要創出のために財政出動を提案した。余力のある日本など「先進国はやれ」というのだ。IMFも財政出動を提唱する。
日本も補正予算を組んで取り組んでいるが、選挙も控えて逆にバラマキ、無駄遣いが指摘され、財政健全化に反するというのだ。
需要の掘り起こしは喫緊の課題だ。日銀の非伝統的金融政策だけでは限界である事は誰でも分かっている。政府の規制緩和、構造改革などの政策が必要なのだが既得権益者らの抵抗が大きく、自民党にとっては票田でもあるので切り込みがうまく行かない。
各国が競って円安、ドル安、人民元安政策で輸出に需要を求めようとするが、一方輸入国は損をする事になる。そこで新興国への援助話になるが公平感を欠く政策だ。ケインズは「好ましくない」という。
中国経済減速による世界経済の停滞もG20では、中国の構造改革を強要したが、日本だって構造改革はうまく行かない。
日銀のマイナス金利政策で低金利が続くが、借金はしやすくなったが受注が増える保障はなく、投資には足踏みだ。おまけに銀行経営にも支障が来たし金融機関は賃上げを先延ばしした。大儲けしているトヨタだって先行き不透明感から賃上げも大幅にダウンした。
企業が儲かれば家計へ再分配というトリクルダウンなんてあり得ないことだ。海外の著名な学者(?)が「トリクルダウンなんて見たことがない」という。
安倍総理の腹の中は、増税の先送り、参院選対策があるのだろうが、ノーベル経済学賞受賞のステイグリッツ教授、クルーグマン教授の意見を聞くまでもない。
寧ろ、伊東・京大名誉教授、浜・同志社大教授、木内・日銀審議委員を招聘したほうがメリットは大きいのではないか。そしてアベノミクスの見直し、日銀の異次元の金融政策の出口戦略に対して意見を聞いた方が良いのではないか。
安倍総理は自分には学がないから、海外のノーベル物理学賞受賞者に箔を付けてもらうなどみっともない。
約14年前の2002年に出版された「ノーベル賞経済学者の大罪」(デイアドラ・N・マクロスキー、筑摩書房 2002年10月)が面白いことを記している。
経済学者の統計の間違った使用、経済理論の間違い、公共政策への統計、理論の間違った適用を指摘している。
そして、国民万人が知りたい疑問に何事も教えてくれないというのだ。
経済学者は自分の理論に従って好きなことを言えば良いが、政治家は国民の生活を守る責務がある。失敗すれば責任を取らなければならないが、経済学者は予測を誤っても、また出てくる。責任を追及しないという申し合わせが出来ているのか。
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