2016年3月2日水曜日

出口戦略の難しさ?:異次元金融緩和、在日米軍、デフレ、自衛隊と9条、安倍一強独裁政治など

異次元の金融緩和、在日米軍の在り方、デフレ、自衛隊と憲法9条、原発と自然エネルギー、安倍一強独裁政治など「出口戦略」が必要であるが、今のような政治論争では難しいのではないか。

「出口戦略」とは、軍事的もしくは経済的な損害が続く状況下から損害/被害を最小限にして撤退する戦略だと説く。

だが、どんな政策でも開始する判断は比較的楽だが、止めるとき、縮小するとき、撤収するときの判断の難しさを説いた海外の政治家がいたが、今日本でその難しさをかみしめている為政者は多いのではないか。

229日のNHK国会中継の衆院予算委員会で江田けんじ議員が「出口戦略」について安倍総理に質問していた。何のことかと聞いていたら、辺野古移設問題で自分が橋本総理の秘書官をやっていたときの経験から縮小に向けた在日米軍の在り方を説き、辺野古移設問題で沖縄県と国が係争していることに絡んで、沖縄高等裁判所那覇支部が提案した和解案について政府の見解を質していたのだ。

確かに今、在日米軍はグアムへ移転するなど縮小の動きもあるが普天間から辺野古への移設など複雑な動きをしている。しかし世界的には軍縮なのだから米軍基地も縮小になるのだが、中国、朝鮮半島の動きは軍縮に反する動きを躍起する。

次に日銀がやっている異次元の金融緩和も永久に続けるわけにはいかず、縮小→金融政策の正常化のために利上げというプロセスを経ることになる。

米国FRBは国内経済成長、雇用の増加からいち早く金融緩和を止め利上げに移ったが、その後の世界経済の減速などで更なる利上げに踏み切れないでいる。

日銀は2%物価安定目標を達成するまで金融緩和を継続すると言い、60~70兆円から80兆円の国債などの買い入れを増やした。巷間のエコノミストが限界説を言うと「補完措置」「マイナス金利政策」まで持ち出し国民は大混乱だ。

マネタリーベース増が2%物価上昇に結びつかないことに、黒田総裁は「直接物価上昇に結びつくものではない」と先の財務金融委員会で応えた。アベノミクスの破綻に言及したがメデイアは一切報じなかった。

既に360兆円を超えるカネが市場に流れていることになるが、今縮小することは「アベノミクスは間違っていた」ことになる。安倍政権が許すはずがない。

自衛隊と憲法9条はどうか。自衛隊の存在をどうするかで憲法もいろいろ解釈されてきた。既に自衛隊の存在は軍隊である。2項との関係で無理が出て来ている。

安倍総理は自民党は憲法改正草案を公表しているが、国民的理解が広まり深まっていく項目から進めて行くという。改正目的に「押しつけられた憲法」という意識があるがこれは間違っている。GHQは日本政府に憲法草案の作成を指示し提出させたが「民主政治」にほど遠いと言うことでGHQが自ら作成することになった。

草案は日本政府に提示され専門家による見直しがされ新国会で選ばれた議員により可決、制定されたのだ。憲法9条の2項も当時の幣原首相がGHQを訪れて「「軍隊を持たない」ことを明記してくれ」と依頼したようだ(マッカーサー回顧)。

私も一度自民党の憲法草案を見たことがあるが国民の義務ばかり記してあり権力から国民を守る規定など見当たらなかった。時の政権が何でも出来る為政者に好都合の憲法草案なのだ。

デフレもそうだ。脱デフレ宣言は民主党政権時でも菅総理も考えていたようだが果たせなかった。安倍政権になり「デフレではないが、デフレを脱したわけでもない」という表現になった。逆戻りの危険もあり事実、欧州経済はデフレ感に襲われている。

各国が2%物価上昇を目指しているようだがマネタリ-ベース増で市場に流すカネが2倍になっても2%物価上昇は無理だ。日銀は異次元の金融緩和策を見直すときに来ているが何時か。「今でしょ」と言う専門家も出て来ている。

あのケインズは、各国がほぼ同時に減税と財政出動をやるべきだと1933年の出版物で説いている。
16年度予算案も一般会計967000億円で衆院を通過、税収増分が公共事業に割り当てられているのだろう。さらに消費税10%を先送りすれば(あるいは5%に戻せば)ケインズの主張に合うのではないか。

エネルギー源を原発に依存する政策はどうか。安倍政権は止まっている原発を規制委員会の新基準に合格した原発から再稼働する方針だ。火力発電で燃料費が嵩む電力会社にとって原発は負担を大きく軽減し経営に貢献する。

「再稼働の責任は政府にある」と安倍総理はいうが、福島第一原発事故を考えると政府の責任など当てにはならない。

変わりの自然エネルギーである太陽光発電も局所的気温上昇などで社会問題化している。発電量の買い取り価格も下げられているが公平性に欠けるエネルギー源で長続きするのか。小泉さんの「原発推進は間違った政策だった」と言う主張をどう理解するか。

もっとあるが、最後に安倍自民党独裁政権を考えよう。

民主党は政権時の醜態で国民の信用を回復できないで、安倍一党独裁政権に対峙すべき野党再編もままならない。一方、自民党は公明、おおさか維新を巻き込んで野党潰しにかかっている。

思いのままに憲法も解釈改憲するし、人事まで介入して政策をごり押しする安倍総理に反対するにも支持すべき変わりの政治家が見当たらない。

若者の集団であるシールズだって「安倍総理反対」「憲法を守れ」「戦争を許すな」がプラカードで、米国大統領予備選のように「トラップ」「サンダーズ」などの政治家の名前が挙げられないのは何だか悲劇だ。

日本も「政治改革」を訴える政治家が出てこないのか。

安倍さんの後はリベラル系保守だろう。安倍総理に牛耳られた自民党の領袖連中がどんな顔をしてリベラル系として登場するのか。

あらゆる政策に出口戦略を考えると気が遠くなる。政治家が「先送り」を選ぶのは分かる。


関連記事
2016.23掲載
平成の大岡裁き?:辺野古移設の代執行訴訟での奧菜は高等裁判所那覇支部の和解案
2016.229掲載
安倍、黒田の異次元の金融緩和:物価上昇率と創刊関係なし」、では何故やるのか
2016.2.27掲載
進まぬ物価上昇:ケインズは「各国が同時に減税、財政出動」を説く
2016.2.5掲載
国会の憲法改正質疑を見る:私たちが「思考停止」なら安倍総理は「思考暴走」ではないか
2016.1.5掲載
安倍/自民党政権支持の本音:「他の政権に較べてマシ」の消極さ
2016.221掲載
安倍総理、黒田総裁が信を失うときが近いか
yamotojapan.blogspot.jp/2016/02/blog-post_21.html

0 件のコメント: