武田信玄の名言「人は城、人は石垣」を忘れたのか。経営者は雇用の安定、賃上げを何故、守ろうとしないのか。グローバリゼーションで経営も日本の良き慣習が廃れアメリカナイズされ、新興国と激しい競争に晒されている。
経営者は海外企業との競争で固定費に大きく影響する人件費の削減に努める。円安で輸出産業を中心に企業も高収益を確保できているが昨年の比べて、今年の春闘、賃上げは政府が思うようには行かなかったようだ。
先の経済財政諮問会議で、安倍総理は「「アベノミクスの眼目は、成果の果実を、賃上げを通じた消費や投資の拡大につなげ、力強い好循環を実現させることであるが、今年の春闘では、欲を言えばもう少し力強さが欲しかった」という意味の発言をした(石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 内閣府 2016.3.24)。
でも、3年連続で多くの企業でベースアップが実現する見込みであると安倍総理自ら「賃上げ」要請した成果に言及した。
今年の春闘で、新聞に連合の発表記事が載っていた。平均6341円で昨年より1156円安い。ベースアップは1478円で昨年に比べて40%ダウンという。
あのトヨタでも昨年は4000円だったが、今年は要求が3000円、妥結は1500円だ。高収益を挙げながら為替など先行き不透明を理由に挙げている。金融界にあってはマイナス金利で先行き不安で賃上げ先送りと新聞に載っていた。
日銀の黑田総裁もしつこく「賃上げ」を要請していたが、賃上げで消費を伸ばし物価上昇に持って行かなければ2%物価安定目標の17年度前半達成は不可能だ。後は経済指標の数値をいじるしかない。
しかし、賃上げは後々まで経営に影響する。今、生産設備が進出している新興国の労働者の賃金が上がらない限り国内の賃上げは難しいのだろう。海外の設備は中国で賃上げが進むと労賃の安い東南アジアへとシフトした。
更に、今、著名な経済学者は異口同音に「経済格差拡大」を問題視している。パリ、ベルギーの大規模テロ事件は貧困が要因の一つだ。恵まれない若者がテロの走っている。ベルギー・テロの本命は原発だったと言うから驚く。
雇用の安定が経済財政諮問会議でも議論されている。
出席した厚生労働大臣は、高齢者、パート、アルバイトなど非正規労働者の所得向上、高齢者の就職促進、130万円、103万円の壁による就業調整の是正、最低賃金の引き上げに取り組むと言う。
経済産業大臣は、中小企業・小規模事業者が賃金引き上げに必要な原資の確保が出来るように生産性向上、大企業との取引の適正化、取引条件の改善に取り組むそうだ。
経団連会長は、働き方改革、可処分所得の拡大、健康長寿需要の拡大、高齢者需要の拡大など600兆円経済に向けたプロジェクトについて検討しているという。
今まで新聞に載っていた政策ばかりだ。進捗状況は分からない。
問題は、経済界、経営者が日本経済社会、自分の会社を守るためには人が大事なのだ。企業経営でも堅固な城、石垣ではなく人の力が必要と教える。
安定雇用をどう確保していくか。経済界の考え方一つだ。内部留保は550兆円に迫っている。我が国のGDP490兆円を越えているのだ。従業員、労働者を犠牲にして何故、ため込んでいるのか。
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