17日、群馬県内避難者137人が国と東電を相手取って約15億円の損害賠償を求めた判決は画期的な原告側勝訴の判決だった。「津波予見可能性」を認めた優れた判決に拍手だ。
しかし、これは下級審での判決だ。恐らく上級審に行くにしたがって「予見可能性」は低いとして国や東電の考え方を認めるのではないか。そうしなければ今後の原発推進に大きく影響するからだ。
ところで、当時から津波に対する東電の不作為は指摘されていた。事故調査委員会の報告でも「津波対策で東電経営陣に先送り、不作為があった」と指摘しているし、当時のメデイアは東電の若手技術者が津波高さを再検証した結果15mを越える結果が出、社内の検討会で報告したという。
しかし東電の上層部は貞観地震の発生は公式に認められたものではないとか言う理由で対策はしなかったようだ。その時の上層部に事故当時福島第一原発の所長をやっていた吉田さんがいたらしい。
防潮堤のかさ上げ工事には80億円かかることも報告されていたらしい。東電はその工事費をケチったためにあってはならない重大な原発事故を引き起こしたことになるのだ。
発生した損害に較べ安全対策費は軽微なことがよく分かる。東電の経営者は皆内心はそう思っているのではないか。
東電の福島第一原発は我が国の原発事業のリーデイングカンパニーとしての驕りがあったのではなか。設備的には一番古く、米国式の考えの設計であった事は間違いないが従業員の教育が十分だったのか。
参考になるのは隣接する福島第二原発だ。同じ危険に晒されながら「こうなったらどうなる」の思考を繰り返しながら運転員は重大災害の発生を防止することが出来たのだ。福島第二原発を検証せずして原発の安全を議論するのは愚かではないか。
判決の要旨は地震調査研究推進本部が2002年7月に長期評価で三陸沖北部から房総沖にかけてM8クラスの津波地震と同等の地震が高い確率で発生することを推定した。これに対して原発の津波対策を実施しなければならない合理的理由があった。更に2008年5月に東電は15.7mの津波が到達することを試算し敷地地面を優に超えることを認めている。
そして東電は非常用電源設備など安全設備の結果回避措置をとっていれば事故の発生はなかったし、これらの措置を講じる事は期間及び費用の点からも容易であったというのだ。
いろんな分野で安全を仕事にしている者にとっては画期的判決であったし、経営者にとっても耳の痛い判決だったろう。
最高裁も見習うべき判決だ。
そして、今日の新聞では福島第一原発1号機の原子炉格納容器内を調査ロボットが投入された映像が報告されている。解けた核燃料がどうなっているのかは確認できなかったらしい。更に福島第一原発の全体の映像も見ることが出来た。敷地一杯に汚染水貯蔵タンクがひしめいている。
今まで立ち入り禁止地域だったところが解除され帰宅が許されたところも出ているが、除染された土壌などを入れた袋の山が至る所に保管されている。一時保管らしいが最終的な保管場所は決まっていないらしい。
おまけに復興事業、除染作業には政治家を含め利権者が蠢いているらしい。情けない日本の姿だ。
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