任期が切れる岩田・日銀副総裁がどこかの講演会で「自分は再任されない」と言ったことが新聞で流れた。そうだろう、リフレ派経済学者として脱デフレに非伝統的金融政策である根拠の薄弱な量的・質的金融緩和を提唱し安倍政権をミスリードした。
就任時の記者会見では「2年で2%の物価目標」を掲げ、「達成出来なければ辞任し責任をとる。言い訳はしない」と豪語したものだが6度目の先送りで目標達成どころか自分の任期切れを迎える。そしてなんだかんだと言い訳し今まで居座った。
何で安倍総裁(当時)がリフレ派に傾いたのか。私の記憶では当時の新聞に経緯が載っていた。
欧米に較べて長いデフレから脱出出来ない日本経済にあっては従来の金融政策ではなく思い切った政策を打ち出さなければならない時に、学習院大の教授だった岩田さんらの勉強会に紹介されて参加したそうだ。
自民党が政権を奪取すると安倍さんが総理になりアベノミクスを打ち出し第一の矢として異次元の金融政策を掲げたのだ。
岩田さんのグループの描く異次元の金融政策は「大量の通貨供給」→「物価が将来上がる期待」→「予想インフレ率の上昇」→「実質金利の低下」→「設備投資の増加」→「賃金上昇」→「景気浮揚」のパターンと言われていた。
でも京都大名誉教授の伊東光晴先生は実証されていないという。オックスフォード大が調査したところでは長期利子率が低下しても投資には直接関係がなかったという(アベノミクス批判 4本の矢を折る 岩波書店2014.10)。
「供給過剰の社会では物価は上がらない」とも言う。
いつぞやの新聞に載っていた中小企業の経営者の話に「儲かる仕事があれば借金してでも投資する」という記事があった。
今、市場に大量にカネを流しても、海外での生産設備の投資、M&A、内部留保、バブルに廻るだけだ。国内投資、生産増、家計への再分配がなかなかうまく行かない。だから安倍総理や日銀総裁は賃上げを要求する。経団連に3%の賃上げを進めるとともに3%の賃上げができない企業には優遇税制の適用を止めると脅しにかかった。
岩田日銀副総裁も2%物価目標未達の要因に消費税増税を挙げ、今後は財政健全化を急げという。でも他に有効な金融政策がなければ現在の金融政策を継続すべきだとリフレ派であることを強調した。
時の政権につく権力者は従来の経済政策はうまく行かないとみると突飛な政策に飛びつくものだ。
米国のレーガン元大統領が税率を下げると税収が増えると主張し、南カリフォルニア大のラーファー教授の説、ラーファー曲線を採用したが失敗した。当時単行本が出たので購読してみたが今の税率がどの程度の税率かどうやって掴むのか素人なりに疑問を持った者だ。
リフレ派の異次元の金融政策もその手の政策だったのか。
今、日銀の金融政策委員は全員がリフレ派だ。安倍政権はリフレ派を送り込んでいる。黒田総裁の後任はどうなるか。でも最近出口戦略の話が出て来たようだ。
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