2010年8月25日水曜日

異常な円高:市場になめられた民主党政権か




菅さんが財務相に就任したとき、為替の問題で「円は95円程度」と発言して物議を醸したが、今85円を切り15年ぶりの円高になった。菅さんや財務相の野田さんは「注意深く様子を見る」と言うが、口先介入に市場は反応しない。

民主党政権を「どうせ何も出来ない」だろうと、見くびり、試しているようだ。

日本経済は多くの問題を抱えており、円高になるほど優位に立っているとは思えない。1000兆円になろうとする債務残高、対GDPでは180%を越え先進国では最悪の状態で、一般会計の約半分を赤字国債に依存する予算編成は続く。

財政再建は避けて通れない課題であり、消費税増税が参院選の争点になり、予想外の敗北を期して、菅総理は消費税問題を封印してしまった。IMFは、日本に消費税15%を提案したが、「財務省の意向を受けて」の提案ではないかと財務省パッシングになった。

こんな日本経済の状況下でも、学者によっては、「日本人の金融資産は1400兆円あるとか、政府純債務で考えると対GDPは欧米諸国とそんなに違わない」と危機感を払拭する。国債の約95%を日本人が持っていることも強みらしい。消費税増税問題とあわせて良く議論しなければならない。

米国内の経済が予想以上に厳しいらしいし、ユーロ圏内の不安も残っている。米国の製品を売りたいオバマ政権にとってはドル安は好都合だ。米国は中国元の切り上げを要求していたが、間違って円高を招いてしまったのか。

政府・日銀は様子見のようだが、こう円高になっては経済界も黙ってはいない。政府に対策を要求してくる。しかし、策が乏しいのも確かだ。

日銀の白川さんが副総裁から総裁に昇格したとき、今の日本経済の状況では誰が総裁になっても舵取りは難しいと言われていた。日本はすでに超低金利だったために、金融政策の取りうる幅は、ほとんどなかったのだ。

ここに来て、再び政府と日銀の強調が大事と言うが、民主党は政治主導の名の下に日銀総裁もメンバーだった経済諮問会議を廃止した。コミュニケーションは保たれていない。電話会談で終わったと言うことは、有効な政策はないと言うことか。
介入する介入すると言って介入しなかったり、メデイアがとり得る政策を報道すると、市場は織り込み済みで動くから、実際に実施されたときには、ほとんど効果が現れない。今回も同じ状況になってきた。インパクトを与えるためには、期待されないうちにやってしまうことだ。

円高になれば株価も下げる。輸出産業が売られるという。経営者が投資意欲を持てる政策が要求されるが、これが難しい。技術革新で新規需要の開拓が必要だが、今何があるのか。成長路線が見つからない。

消費者の購買意欲を駆り立てる製品がない。エコポイントでは心許ない。街を歩くとエアコンの工事を目にする。猛暑で売れているのだろう。車の販売店では、まだ乗れそうな車で新車探しをしている者もいる。

一刻も早い経済政策が必要なのに、政権党の民主党は、代表選で相変わらずの「小沢vs非小沢」、「菅代表で一本化できないか」で持ちきりだ。円高、株安は「注意深く見守れ」では、何もしないと同じことだ。

菅さんはどう言う政策なのか、小沢さんはどういう政策なのか。何も分からないし、何も
発言しない。他の閣僚も何も発言しないから、菅内閣の円高政策が伝わってこない。

小沢さんが、出馬するかどうか。政治塾での発言が注目されたが、個々では下世話な話はしないと言うし、さらには「日本人は劣化している。きちんとしたモラルを身につけなければならない」とテレビニュースで言っているのを聞いた。何のことはない。己のことを言っているではないか。

今日も円は83~84円、株は8845円で円高、株安が続く。インパクトを与える政策を打ち出さなければ、局面は打開できない。
写真左:東京証券取引所 米国の経済不安、株安に引かれて株価の下落が続く
写真右:日本銀行 有効な金融政策の取り幅がない超低金利をとる

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