2011年4月30日土曜日

国民に理解されるか 東電の「賠償金上限設定」発言



第一次指針の賠償金対象を見ると、改めて今回の原発震災の重大さが浮き彫りになる。東電は株式会社存続を前提に賠償金の上限設定を主張するが、政府は官房長官会見で上限設定をすべきでないとの見解を表明した。紆余曲折はありそうだが、東電の主張に国民の理解を得られるのか。

29日の衆議院予算委員会で渡部恒三さんの質問に答えて、菅総理は「一義的には東電に責任があるが、原発推進の責任は国にもあり、避難者、被害者に対してはしっかり補償する」と、従来の考えを繰り返し、最後は国が責任を見る立場を明言している。

更に、「命をかけてやらなければならないことは何か」と問われ、菅総理は「これまで以上にこれから何が出来るか、考え行動してきた。1日も早く元の生活を取り戻し、元気な地域社会を再建する。そのためには何でもする。金のことは心配するなと言う考えで取り組む」と言い切った。

指導力の欠如を指摘され、辞任要求される菅総理であるが、「金のコトは心配するな」と言い切る辺り、増税を念頭に置いているのだろうか。

それにしても東電の賠償金上限設定発言をどう考えたらいいのだろうか。コレまで原発のリーデイングカンパニーとして地震対策、津波対策にどう取り組んできたのか。

東北電力の女川原発と比較しても対策は劣るし、遅れていた国の耐震指針を忠実に守ったための失敗だったことは明らかである。上限設定を云々するのであれば、率先して巨大地震、津波対策を進めるべきではなかったか。原発事業者として最新の注意義務がありながら、安全意識の欠如した企業である。

更に、原子力損害賠償法では「異常に巨大な天災地変」として、東電は免責されるという考え方もあるが、莫大過ぎる損害が出ている以上、責任回避は出来ない。危険な原発事業をやっている以上「想定外」で責任回避は出来ない。

東電としては株式会社として存続させ、持っている利権を保持したいだろうが、このような安全意識では原発事業を継続させるコトには抵抗がある。

みんなの党の電力再生アジェンダで、東電の一時国有化、送電線自由化を含めた電力自由化を掲げているが、民主党にもそういう考えがあるようだが、一つの改革かも知れない。こういう大惨事が無ければ改革などできっこない。

東電はこれから資産の処分、人件費の削減など賠償費用捻出のための合理化対策でどの位の費用が捻出できるのか。先の合理化策で海江田大臣は「甘い」というが、東電自身は「厳しい」内容だという。一方の国の財政も財務省の言いなりかも知れないが厳しい状況だ。

みんなの党の渡辺さんは、財源として国会議員、国家公務員の歳費カット、特別会計の埋蔵金、バラマキ予算の停止などで捻出を提案、復興会議での増税発言を批判したが、野田財務相は「増税ありきは全くない」と否定し歳出・歳入を見直して捻出するという。

財務省に言わせれば国の財政は厳しい。東電も厳しい合理化を計画しているという。しかし、本当に裸になるまで検討しているとは思えない。東電だって地域独占で甘い汁を吸ってきた。更なる資産売却、リストラで対応しなければ国民の理解は得られない。

今になっても利権を保持しようと躍起になる東電に免責などあり得ない。






写真:緊急放射能拡散予測 2011.3.23 TBSニュース23より 広範囲に汚染が続く、原発災害の恐ろしさを改めて知ることが出来る

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