2015年10月7日水曜日

和歌山県北部、奈良県地震:南海トラフ巨大地震震源域か、中央構造線断層帯沿いか

気象庁地震情報 9月29日~10月06日
最近の気象庁地震情報で和歌山県北部を震源とする地震(10月2日、M2.5震度1、5日、M3.9、震度3)、奈良県を震源とする地震(10月6日、M3.3,震度3)が相次いで発生し目についた。南海トラフ巨大地震の震源域か、中央構造線断層帯付近なのか、注目すべき地震だ。

南海トラフ巨大地震は以前、東海地震、東南海地震、南海地震がそれぞれ単独で発生するM8クラスが想定され震源域が決められていたが、最近は掘削テストなどの結果、これら3つの地震が連動しM9クラスの巨大地震の可能性が出て来て想定震源域も拡大され、和歌山県は中央構造線断層帯の付近を除き広い範囲が震源域に入り、奈良県も南半分に震源域が広がってきた。

そこで最近の両地震の発生件数、発生震源域を日本気象協会のtenki.jpで調べて地図上にプロットしてみた。

最近の和歌山県北部を震源とする地震
ピンクの線が南海トラフ巨大地震の想定震源域
和歌山県北部の場合、四国から伸びる中央構造線断層帯が県北部を東西に走っている。この付近は最近でもM3.9,4.0,4.1が同じ場所で発生、断層帯沿いにも地震の発生が見えるが、活動を引き起こす力の向きが場所により異なっているためにそれとの関係は分からないらしい。

南海トラフ巨大地震で見直された震源域が県内の大部分を占め、北境界内、特に湯浅町付近は多発、深さも浅い。過去にはM6クラスの地震で被害も出ているという。

奈良県を震源とする地震
橙色の線が南海トラフ巨大地震の想定震源域
一方、奈良県の場合はどうか。10月6日の地震は吉野付近でこの辺は多発しているように見える。1952年はM6.7の吉野地震が発生しているが、南海トラフ巨大地震の想定震源域の外だ。西側は和歌山県から伸びる中央構造線断層帯が入り込み直ぐに北方向へ。

奈良県は南半分が震源域内に入り1899年には三重県との県境でM7の地震が発生、紀伊大和地震と呼ばれている。

奈良県の主な活断層は京都盆地―奈良盆地断層帯南部と金剛山地を走る中央構造線断層帯があるが、周辺で起きる地震の影響で被害が出ている。県内全域が「南海トラフ地震防災推進地域」に指定されている。

中央構造線断層帯との関係は分からないが、南海トラフ巨大地震との関連では領域共に注意が必要だ。

最近よく当たると週刊ポストで照会されている村井先生のMEGA異常変動全国MAPによると、奈良県で2箇所、和歌山県で3箇所のGPS解析で5cm以上の変動が見え注意が必要と警告している。

今まで巨大地震を起こすのはプレート境界の深い箇所で、深さ数kmの浅い箇所では発生しないと言われてきたが、最近の掘削調査では浅い箇所でも滑った形跡が見つかっているらしい。

朝日新聞(2015.10.4)の「南海トラフの地殻変動」によると、和歌山県沖は海側のフィッリッピン海プレートは年間5~6cmの速度で沈み込み、陸側のプレートは4.1~4.2cmで北西に動いているという。

最近の研究で和歌山県、奈良県、三重県の南海トラフ巨大地震の北側周辺に短期スロースリップの領域が広がって注目されている。スロースリップが注目されたのは3.11東北地方太平洋沖地震では、北の方からスロースリップが南下し、止まったところであの巨大地震が発生したのだ。

そういう事例を考えると、この辺の地震が南海トラフ巨大地震を引き起こすきっかけになるかもしれないのだ。


朝日新聞2015.10.4 「南海トラフの地殻変動」
南海トラフ巨大地震の想定震源域、スロースリップ域が
和歌山県、奈良県に深く食い込んでいる

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