2015年12月10日木曜日

惑星探査:目標の星より探査機の挙動、JAXAの「粘り」に共鳴だ

「あかつき」が撮影した金星
2015.12.9 TBS ニュース23
日本の惑星探査技術も大した物だ。目標の星がどんな状態なのか知りたいよりも探査機の挙動、JAXAの頭脳と「粘り」に共鳴しているのではないか。金星探査機「あかつき」の金星を回る軌道への投入成功で金星の重力圏にはいり「衛星」となって金星を観測出来るようになったという。

日が落ちた後、明け方に輝いて見える金星だが、その大きさは地球と同じ兄弟のような星と言われているが環境は大違い。今考えられているのが濃硫酸の雲に覆われ秒速100mという強風が吹き荒れている過酷な環境にあるが金星の上空から「あかつき」が詳細を観測するというのだ。

2010年5月に打ち上げられたあと、主エンジンの故障で減速できず、金星への軌道への投入に失敗したが、金星に近づくタイミングを待って約5年ぶりに軌道投入を試行し成功したのだ。設計寿命の4.5年を過ぎており諦め感もあったようだがスタッフは「粘り」を発揮した。

計画は15年前のミッションだそうで、5年前に打ち上げたが軌道投入に失敗していたのだ。ここで諦めれば税金の無駄遣い、スタッフは職なしになる状況だったのだろうが、必死で生き残る道を探し今回の軌道投入成功になったのだろう。何年もコンピューターと睨めっこの研究生活だったのだろう。

プロジェクトのスタッフに拍手だ。

ハレー彗星探査の「さきがけ」「すいせい」、月を回る「ひてん」、失敗したが火星探査の「のぞみ」、イトガワにおり微粒子を持ち帰った「はやぶさ」、月を回り観測した「かぐや」、今回の金星を回る「あかつき」、Ryuguをめざす「はやぶさ2」、更には水星を目指す「水星磁気圏探査機」も予定されていると言うがそれぞれのミッションでの探査機には劇的シーンがある。

イトカワから微粒子を持ち帰った「はやぶさ」は、確か一時、行方不明になったがその後見つかりオーストラリアの砂漠地帯に帰ってきた。このときも国民の目をクギズつけにした。イトガワに着陸して岩石類を回収する装置は町工場が開発したものらしいが残念ながら失敗するが、その時吹き上がった微粒子が運良く回収されていたらしい。

また、何時だったか打ち上げに失敗した衛星(?)を原因究明のために海中から回収することもやってのけた。爆発後の落下地点、海流の特性から落下地点を予測し回収に成功したのには驚いた。NHKでの特番で見た記憶がある。

そして12月3日には「はやぶさ2」が日本上空を横切り地球スウィングバイを実施、加速しRyuguへ舵切りした。地球の重力を利用して軌道変更したのだ。時々地球スウィングバイという言葉を聞くが、秒速30km、地上3100kmの上空の地球間近を通る時に、実施したらしい。太陽に対して秒速30.3kmから31.9kmに加速したという。燃料の節約になったらしい。


平素はほとんどニュースにならないが、何かあると突然ニュースになる我が国の宇宙探査だ。しばらく惑星探査機から目が離せない。

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