2015年12月22日火曜日

2%物価安定目標達成にはもっと高い4%を設定すべきだったのか

2%物価安定目標達成には、もっと高い4%を目指すべきだという意見がメデイアに載ってきた。 日銀の異次元の量的・質的金融緩和にもかかわらず、原油価格の下落、中国経済の減退など理由があるにせよ日銀、政府が目指す2%物価安定目標の達成も先送りで2016年度後半という。安倍総理は脱デフレを匂わすが無理な経済状況が続く。

金融政策の正常化に向け利上げに踏み切った米国でも2%は達成していない。

思いだしてみよう。安倍総理が2%物価目標を決めたときのことを。民主党の前原さんが衆院予算委員会で「2%に決めた根拠」を安倍総理に聞いたとき、「2,3,4%といろんな意見が出ているが一番可能性がある2%にした」と応え、前原さんは「その程度の根拠か」と今後も追求すると言って次の質問に移った(当時のNHK国会予算委員会中継)。その後2%が検証された記憶はない。

一番低い数値が一番達成可能とみるのは当然としても、目標が低ければ政府、日銀の意気込みの程度を国民、市場は憶測する。目標が高い方がより高い数値を達成する可能性はあるはずだが、需要がない、設備投資は低水準、賃上げも一部の大企業だけでは家計は振るわず消費は伸びず、脱デフレなど叶いっこない。

そんな時、ピーターソン国際経済研究所のA・ポーゼン、O・ブランシャールさんらは、企業が賃上げするまで法人税減税の国会審議を中止、公的部門の名目賃金を引き上げ民間の賃金に上振れ圧力をかけ、最低賃金の他に政府が管理する賃金を5%以上引き上げ、賃金を物価スライドすることを提案する(日本経済新聞2015.12.15 日本の経済政策への提言より)。

企業が賃上げするまで法人税下げの国会審議を中止せよとは言い考えだ。すべて企業の要求を丸のみする安倍総理にとっては耳が痛いだろう。

更に、少なくとも3年間が非伝統的金融政策である量的緩和の継続を宣言、合わせて2%のインフレ目標をもう少し高く設定することと言う(同上)。インフレ率が高くなると国の借金も減る。デメリットもあるがメリットも大きいことは多くの専門家が指摘していたことだ。

一方、クルーグマン教授も実際に2%のインフレ率を達成するには、「4%のインフレ目標」を掲げるべきだと言い、多くの国民に物価が上がることを信用してもらうことが大事だという(週刊現代2015.12.26)。

両者の提言には一理ある。アベノミクスもその効果には疑問が呈され、軌道修正の必要性が説かれてきた。

今になって、2%物価安定目標を達成するために4%を目指すと言ったら、「アベノミクスは失敗だったのか」、「今継続中で限界も近づいている日銀の量的・質的金融緩和は効き目があったのか」と言うことになり黒田さんや安倍さんの任期である2018年まで持たないのではないか。


安倍政権のことを考えると軌道修正は責任論にも繋がり無理だろうが、何らかの変更は避けられないのではないか。

通常国会は経済に力を入れるようだが安倍総理には新3本の矢、財政健全化、規制改革、黒田総裁に出口戦略を問いただしてほしいものだ。

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