2014年1月11日土曜日

日本経済再生に規制緩和、法人税下げは本当に効果があるのか

新年の財界人の挨拶では「規制緩和」、「法人税下げ」への言及が目立つが、日本経済再生に規制緩和、法人税下げが本当に効果があるのか。経営者は具体的な事業があって、その実現のために条件を要求しているのだろうか。ただ、オーム返しの発言とも思われるのだが。

法人税は35%から海外と同水準の20%台へ引き下げを要求している。法人税を下げれば国際競争力も回復し、円安と相まって生産拠点を海外から国内に戻せる事になり、輸出で儲ける構造(勿論、内需拡大も必要だが)になり、国内雇用の確保に役立つというのか。

円安のために人件費も海外生産と変わらなくなり縫製工程を国内に戻してもやっていける紳士服業も出て来たことは確かであるが、他の製造業はどうか。

すでに海外生産拠点を構築しているのだから、今から国内に戻すメリットはないだろう。輸出だって海外市場を狙って海外生産しているのだから輸出など伸びるはずがない。

オバマ大統領も製造業の国内復帰を目標にドル安政策を進めて雇用の確保も狙ったようだが、雇用統計では20万人増になったと思ったら7万人増に激減するなど政策効果も安定していないようだ。

株式市場は、円安になれば輸出産業を中心に株価が上がるが、投資家の金儲けの口実になっているだけではないのか。

一方、皆が要求する規制緩和も問題が多い。

アベノミクス第3の矢も十分でなかったと見えて、安倍総理は6月までに規制緩和を見直すという。官僚や族議員の抵抗に合い、思うような効果が出ていないのだ。

財界の方にも問題がある。逆に「何をしたいから規制緩和を」と具体的事業を挙げて要求しないのか。

いつも例に挙げられるのが、あのヤマト運輸の大倉さんが宅急便事業を起こそうとしたとき、運輸省(?)が徹底的に抵抗し苦労したという話を聞いたことがあるが、今は全ての運輸会社が参入し巨大な宅配事業に発展している。

そういった事業を具体的に挙げてみたらどうか。

楽天の三谷さんが、薬のネット販売の規制緩和を要求したが、国民の安全を盾に厚生労働省の抵抗にあい思うように行かず、審議委員を止めるとまで駄々をこねたことがあった。後で撤回したが、自分の事業に利益誘導していると批判が高まった。

この1件は規制緩和の難しさをあからさまにした。

正しい規制緩和は市場を自由競争にさらす。極端に言えば収益はゼロになるはずだが、そうはいかない。反対に先行者が優位に立ち、規制緩和後は、新しい利権者構造が築かれるのだ。

自由競争だから良いことがいっぱいだろうと思うが、規制緩和後でも生産性向上は遙かに低く、逆に資源の浪費になると言う意見もある。

競争は、確かに低価格、高効率をもたらすとも言うが、最近のLCCの様子を見ると生き残るのも大変らしい。

確かな記憶はないが、ピーチの経営者がテレビ東京の「ガイヤの夜明け」に出て経営の話をしていた。低価格になったのは全従業員が3年の契約社員だそうで人件費を抑えることができる。応募者は業界からはなく、全く別の職種から採用しており棲み分けが出来ているというのだ。また客室乗務員がいろんな仕事をするから効率も良いらしい。

規制緩和は進めるべきであると思う。でも、規制改革で忘れてはいけない事がある。

規制は市場(業界)に何らかの不都合があったために、国民の財産、身体の安全を考えて規制が始まったのではないか。それを無視して規制緩和をすると言うことは国民や従業員を新たな危険に晒すことにならないか。

タクシーの台数制限、最近の観光バスの規制緩和の見直しなどを見ると、政府介入の必要なところもあることが分かる。

規制改革も正しい方向で緩和すべきである。


財界人、経営者も抽象的な要求ではなく、具体的に事業を挙げて要求してはどうか。私たちが新聞で知る規制改革は、いつも話題に上る官僚の眼鏡を通した事業であり、経営者のの本当の考えなのだろうかと疑問に思うのだ。

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