政治家、要人の不用意な発言を撤回する事例が後を絶たない。「こう言えばどうなる」の思考力の劣化が問題ではないか。NHKの新しい会長に就任した籾井さんがNHKでの記者会見で「慰安婦問題」を聞かれ、「戦争をしているどこの国でもあったでしょ。・・・」の発言、記者から「NHKの会見ですよ」と指摘され、「それじゃ、撤回します」と手を振り、苦笑している映像がテレビで流れたのを見た。
また、政権寄りをにおわす発言として、「政府が右と言っているのを左とは言えない」とも言ったようだ。安倍総理の人脈で選ばれたNHk会長だから本音だろうが、これで中立、公正な報道が期待できるのか。
確か、「慰安婦問題」は個人的見解と前置きしての発言だったと思うが、どうしてこうも政治家や要人の不用意な発言と、撤回発言が続くのか。
こういう会長を選んだ経営委員や彼を総理に推薦した財界人は、大恥をかいただろう。
その場での発言撤回とNHKでの謝罪だけは早かった。経済人として地位を上り詰めた人(?)は自分は一番偉い、自分の発言を批判する人は誰も居ないと錯覚しているのだろうか。
公の人間になった以上は、例え個人的発言であっても、慎重を期さなければならない。
政治家もそうだ。誰の案件か忘れたが、官邸での記者会見で、菅官房長官が「その発言は撤回されたので、特に問題はないと認識している」と問題にしない発言を繰り返している。
批判されても撤回しない政治家も居る。自民党・石破幹事長は、特定秘密法案の誤った解釈で発言し、批判されたが修正はすれど撤回はしなかった例もある。
いい年をして、「こう言えば、その結果はどうなる」と思考をめぐらしていないのだろうか。それとも急な質問で、ついつい本音を言ってしまったのか。
一度、発した発言は取り消すことが出来ないのは世間の常識だ。
どういう理由であれ傷害事件や殺人事件を犯した人間が、正気に返って「申し訳ないことをした」と言うが、本人ばかりでなく、その家族までバラバラになり犠牲を被るのだ。
これに対して、犯罪心理学者が「こうすればどうなる」の思考力に欠けているとコメントしていたのを思い出す。
「発言撤回」で「なかったことになる」なんて考える政治家、要人は本当にバカなんだ。
[追記]
NHK新会長の籾井さんが記者会見で問題発言したとして、参考人として出席し謝罪した(朝日新聞 2014.2.1)。この発言に評論家の中には「よく言った」と評価する人も多い。
その慰安婦問題がどのようなな状況で発せられたのか詳しく分からなかったが、2月1日のTBSテレビニュースキャスターで少し詳しいことが分かった。
記者から慰安婦問題で質問されたとき、籾井さんは「こういった問題はチョット言うのを控えさせてくれませんか」と躊躇していた。
それで止していれば良かったのだが、個人的見解として、「戦時中はどの国でもあったのではないか」「そうでしょ」等と踏み込んだ話になって、「ここはNHKの会見の場」だと記者から念押しされて、「じゃ 取り消します」という風になったようだ。
しかし、国際放送で「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」とか、特定秘密保護法では「通っちゃたんで、言ってもしようがないのではとおもう」等の発言はNHK会長の立場としては他の言い方もあったのではないかと思う。
(2014.2.1)
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