中国主導のAIIBに57カ国が参加、中国は世界のリーダーを目指そうとしているようにも思えるが、経済面で今後中国、アジアが重視されるのは間違いないが、政治制度を改革しない限り中国が全てを支配できることにはならないのではないか。参加国には中国に期待しているのだろうが、一方で中国の覇権主義をどう考えているのか。まずは世界規範、ルールを率先して遵守する姿勢が必要だ。
新興国が力を付けてきて、世界の成長路線を維持するためには途上国、新興国に要望の大きいインフラ整備、発電所建設などへの投資の推進であるが、既設の国際機関、たとえばIMFへの改革要望も米国の反対で進まず、いらだちを感じている。それが中国主導のAIIB構想への要因になったともいわれている。
G20の議長国であるトルコも「歓迎する」とコメントしているし、新興国と途上国24カ国もG24で「AIIBを楽しみにしている」という。ADBの推計では2020年までにアジアに必要なインフラ整備に8兆ドル(950兆円)かかるというからAIIBへの期待が大きいことは理解出来る。
改革が進まないと批判されたIMFのラガルト専務理事も「大いに歓迎」といったそうだ。新聞報道では、G20が開催される時期に中国が水面下でいろんな動きをしたという。
G7加盟国の対応もマチマチだ。日米はガバナンスを重視し先送りしたが。英独仏伊は参加を表明した。ドイツのメルケル首相や英国のキャメロン首相は「中国を最重要なパートナー」、「欧州最強の支持者」と以前発言しており日米とは違った感情を持っている。
それでも日本や米国が参加しなければAIIBの信用度も落ちるのだろうか、ドイツのメルケル首相が来日したときに「強く参加をうながした」という。
一方で、中国経済への評価には問題もある。
最近外資の流出が止まらないのか、中国人民銀行は昨年11月、今年3月に続いて4月20日に金利1%下げの金融緩和を立て続けに実施、おカネを借りやすくしたそうだ。しかし立て続けの利下げ、しかも一挙に1%には驚く。
先に終わったG20の声明を見ると、金融緩和で経済成長、雇用創出のための財政政策を実施すると共にGDPに対する債務残高を持続可能な道筋に乗せようという。その成長戦略には構造改革が重要で、その原動力として国内投資を促進、9月までに投資戦略を策定するという。効率的なインフラ投資を掲げている。
これからの成長はインフラ投資しかなく、期待出来る新興国のインフラ投資にはAIIBの役目があるのだ。
一方で、中国は人民元を基軸通貨にしようという狙いもあるらしい。資金決済比率が5位になった。
でも、もう一方の政治面での中国の姿を見ることも重要なのではないか。
南シナ海の「砂の長城建設」での近隣諸国との領土問題、東シナ海での尖閣列島での領土問題は中国の覇権主義の表れだ。習主席は中国の主権、安全、発展の利益を守るためというが、オバマ大統領は国際社会の規範、ルールを遵守せず、強力な力を行使して周辺国に隷属を強いていると批判する。
CO2排出量削減では「発展途上の大国」といって削減に抵抗したり、ある時はGDP世界第2位になったことで経済大国といってみたり、国内の人種問題も後を絶たない。
中国の巨大市場を背景に経済面では大きな期待が寄せられているが、政治面では問題が多すぎる。
中国が世界のリーダーになるには政治制度での改革なしには不可能だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿