2015年4月2日木曜日

STAPが消える日、成果主義から研究者の好奇心で理研の再生が始まるか

4月1日、やっとSTAP細胞の文字が消える日、新たな理事長を迎え「成果主義から好奇心」で理研の再生が始まる日になるのか。

野依さんと4人の理事がSTAP細胞不正事件の責任をとって辞任した。今回もSTAP不正事件の責任を取ったわけではないと否定するが、誰がみたって責任を取った辞任だ。

研究者の社会では研究不正は「現場の研究者」の責任で組織のトップが責任を取ることはないと豪語し、減給処分だけで逃げようとしたが一般社会は黙っていない。ついには追い出される結果になった。

そして、新しい松本理事長の下で「ブランド力」の向上を目指すという。

松本・新理事長の方針を複数の新聞から拾ってみた。

社会的課題の解決に取り組み貢献する、研究不正は研究者個人だけでなく理研全体で取り組む仕組みを作り、各施設を回って研究者の考えを聞き新たな運営方針を決めるという。

そして、大事なのは行き過ぎた成果主義でなく研究者の豊かな発想、好奇心だという。

ふっと寺田寅彦博士のことを思い出した。博士も理研に在籍され「趣味の物理学」と称されたが日常の誰でも目にする現象に注目され研究された。その研究はその後の物理学の幾多の分野の基礎にもなったのだ(詳しくは「寺田寅彦と現代」 池内 みすず書房 2005.1)。

ところで政府はSTAP細胞不正事件で延び延びになっていた特定国立研究開発法人設立へ向けての法案提出を予定しているという。そして世界最高水準の研究機関として2法人、産業技術総合研究所と理研を指定するらしい。

この法人の設立が検討されていたとき、「尖ったトップダウンの研究機関」を想定していた。「尖った」とは笹井さんが言ったことで少数の機関、「トップダウンの研究機関」とは野依さんが言ったことで理事長の判断で世界中から優秀な研究者を雇い入れることが出来、成果を上げることを言っていたのだろう。

そのトップダウンで理研は成果を焦りSTAP細胞研究不正事件を起こしてしまった。今回の経営陣の退任でそのDNAは排除されたと思うが信頼の回復には時間がかかる。

私はどっちかというと産業技術総合研究所の方に興味があるが、優れた研究者の好奇心を大事にする松本・新理事長に期待する。

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