毎年大学入学式での学長の挨拶が新聞に載る。今年、東大の総長は「新聞を読め」、昨年の信大の学長は「本を読め」「スマホを止めますか、それとも信大生を止めますか」と新入生に訴えた。
新聞や本離れが進んでいる今、スマホや携帯、テレビゲームで時間を潰さず新聞や本をしっかり読んで知識を身につけ、根本的に考え、行動する人間になれと言うのだ。
私も最近、10年使った携帯電話を新しい機種に変えようとショップに行ったが、お客で満員だ。2時間待ちという。理由を聞くと新入生にスマホを買い与えるため親子で来店しているのだという。
電車に乗ると、昔は単行本や新聞を開いていた乗客が目立ったが、今はスマホで情報を漁ったり、ゲームをしたりしている。乗り換えでホームに立っても画面と睨めっこ、これじゃ事故が起きても不思議ではない。ショップの店員も「電車の中で単行本を読む人は稀ですね」と相づちを打った。
私も大学時代から新聞をとっていたが、科学記事とか就職のための募集広告を読むことが多かった。やっぱり目的をはっきり持っていないと記事のヘッドラインに目をやるが、記事の中身までは読まない。
今では、HPやブログを書くためにジャンル別に記事を保管している。もうかなりの年数になるが利用する記事は1~2年以内に書かれたものが多い。本などで利用された引用文献を調べてみると、1~2年が全体の8割で5年になると数%だった。
長期に保存しても利用価値は少ないことを考えると記事の保管の在り方も考えなければならないと反省している。
本も新聞などで書評が載っているものを通販で購入したり、街に出かけたときに本屋に立ち寄って購入、おもしろい箇所にはマークを付けて記事を書くとき引用している。
しかし今は年を取ったせいか、10ページ位読むと欠伸が出てくる。ピケテイーの「21世紀の資本」は100ページぐらいでギブアップ、デイートンの「大脱出」は何とか全部読んだ。
でも、科学本は何とか読める。
改めて東大総長、信大学長の入学式での挨拶をネットで検索し読んでみた。
東大の五神総長は、新しい生活、学びについて新入生にアドバイスした。「知のプロヘッショナル」になるためには「自ら原理に立ち返って考える力」「忍耐強く考え続ける力」「自ら新しい発想を生み出す力」の3つの基礎力が必要だと言い、この基礎力を身につけて「知のプロフェッショナル」になって欲しいと言う。
教養学部では、様々な学問に触れ相対化出来る視野を身につけろという。講義だけでなく、いろんな人との交流も大切にしろというのだ。
そこで、「毎日、新聞を読んでいますか」、「新聞よりもインターネット、テレビのニュースの触れることが多くないか」と問いかけている。
ヘッドラインばかりでなく、記事の本文もきちんと読む習慣を付けろという。日本のメデイアばかりでなく、海外のメデイアの報道にも目を通し日本との違いにも注目して欲しいとも言う。そうすれば世界の中で日本がどう見られているかが分かるというのだ。
日本のメデイアは安倍政権にべったりで報道の在り方に疑問が投げかけられている今、総長の忠告は全国民にも言えることだ。
一方、昨年の信大学長の挨拶も当時メデイアに大きく取り上げられた。
山沢学長も「知識の量」ではなく、「知識の質」、すなわち自ら探求的に考える労力を育てろというのだ。
そのためには「自分の時間を有効に使う」ことが大切で5つの方法を提言している。「学び続け」「新しい場所を訪れ」「新しい人と遇い」「新しいことをはじめ」「感動を多くする」のだという。
何やら認知症の予防にも通じることだ。
そこで学長は、皆さんはどうかと問いかける。携帯電話でアニメやゲームでいくらでも時間を潰せる機会が増えている。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとっても毒以外の何物でもないと言い「スマホを止めますか、それとも信大生を止めますか」、「スウィッチを切って本を読みましょう」と提案した。
両先生共に同じことを新入生に訴えているのだ。若いときは理解出来なくても、私の年になるとその大切さがよく分かる。
テレビや新聞は本当のことを伝えているのか。しっかり読んで弱点を見抜く力を付けなければと思う。
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