2016年4月29日金曜日

熊本地震での家屋倒壊:1階グシャリ、2階ドスンの怪

熊本地震も地震の原因から被害が注目されるようになってきたが、2回のM7を越える地震で倒壊したとはいえ、1階がグシャリ、2階がドスンの崩壊には驚くばかりだ。

平屋の古い家屋は勿論であるが、1981年以降の新耐震基準でも倒壊している事実に専門家は「耐震化の方向性が良かったのか、大変な課題を突きつけられた」と林・京大教授は言う(朝日新聞2016.4.28)。

テレビの映像を見ると、1回目のM7では外見上はしっかりしているように見えるが、2回目のM7.3で倒壊した。

原因は、1階と2階の建物内部の柱や梁の接合部が連続的な揺れで完全に抜けたという。また、基礎部分も浮いていることを考えると地質のも問題があったのだ。

首都圏でも超高層ビルが林立し、長周期の地震が発生すると震源が東京から遠く離れていてもゆっくり揺れる。こんなに揺れると「大丈夫か」と心配になるが、内部では接合部のボルトが緩んでいたり、破損していたりする危険もあるらしい。外見からは分からないので危なっかしい。

私も他人事ではない。1981年以前に家を立てたのだ。

当時はプレハブメーカーに頼むか、大工さんに頼むかのどちらかだった。私は大工さんに頼んだ。その頃は「○寸角の通し柱を○本使用している」が建物の安全の売り言葉だった。私の家も何寸か忘れたが、9本の通し柱が立つ2階建てだ。

出来るだけ壁を作ることが重要とは思っていたが、玄関は吹き抜け構造、小さい家で居間のガラス戸を大きくしたために壁が作れなかった事が心配の種だ。

16km位離れた高崎には深谷断層が走り、綾瀬川断層を加えると120kmの活断層になり、万一動けば甚大な被害が発生する。でも動いた断層からどの程度離れているか、加速度は何ガルか、地震波の入ってくる方向によっては被害も違ってくる。これだけは発生してみないと分からない。
ところで今の建物の構造はどうなっているのか。

近くでプレハブの新築が目立ってきた。通し柱らしい柱はなく、1階の上に2階を置いたような構造で、1階と2階にはつなぎ目がある。柱などの接合部だ。
そして外壁下張り材が壁面を構成し、耐震化になっているのか。通し柱は使っても良いし、使わなくても良いという基準らしい。

多くの専門家(?)は、通し柱より、壁構造を重視しているようだ。

しっかり検証し、新しい耐震基準を作るべきだが液状化などでの障害もあり、過去の土地利用も考え住宅立地も考慮すべきではないか。

それにしても、市役所や病院、学校の耐震化が遅れ復興事業に支障を来しているのは問題だ。市役所が使えなければ行政上の書類の提供が出来ず、病院が使えなければ負傷者、病人の救済に支障を来す。学校の体育館も避難所としての機能をしないことになる。

耐震化のための建て替えは贅沢と思われていたらしいが、住民の意識改革も必要だ。

今回の熊本地震も専門家は危険を指摘していたようだが、前兆なし(?)の巨大地震だったようだ。観測網の整備も遅れていたとしたら、寺田寅彦博士の「天災は忘れた頃にやってくる」事の繰り返しなのだ。

時間が経つに従い同じ場所に同じような家が建ち、町や村が復興し、また何百年か後に同じような被害を受けることになる。  


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