2017年10月23日月曜日

人気失墜の「小池劇場」の後に残されたのは政界の混乱だけか

パッと人気が出てパッと失墜した脚本、主演小池さんの「小池劇場」の後に残されたのは一体何だったのか。「政界の混乱」だけと言う事になると「小泉劇場」に似ている。

私は最初から「小池さん頼り」に疑問を持っていたが、橋下さんの「日本維新の会」を見れば地方自治体の首長が国政政党の代表を兼ねて政治活動することは大変な事だと思うし、自分の政治欲のために有権者を利用する事は問題である。資金や地方組織のことを考えるとそう簡単にはいかない。鳩山兄弟が政党を立ち上げたときに母上がスポンサーになられたことを考えるとよく分かる。

同じ劇場でも「小泉劇場」は自民党を舞台にしていた。自分に反対する者は抵抗勢力と敵を作りメデイアをうまく利用して劇場型政治を断行した。国会での所信表明でも「抵抗勢力」と激しく攻撃したのだから自民党の長老連中、既得権益者は腰が引けただろう。メデイアは悪者扱いする。

小泉さんの代表的な仕事は「郵政民営化」だ。郵便が集めた貯金を採算の合わない国鉄の経営に投入することなど理に合わないことは小泉さんの言う通りだ。それを改善しようと果敢に郵政民営化に突き進んだが、この民営化はアメリカが日本に強く要求されていた政策で日米要望年次報告(正式な名称は忘れた)でその進展具合を両政府に報告することになっていたのだ。

でも、自民党の郵政族を始め反対が強く、強行した結果多くの自民党員が離党、新党結成などに走ったが自民党への復党が続き二階幹事長や野田総務相のように要職に就く者も出ている。綿貫さんや亀井さんも離党し新しい政党を立ち上げたがうまく行かなかった。亀井さんは無所属で頑張っていたが「国会には仲間がいなくなった」と言って今回引退した。

小泉さん以降の政権は不安定だった。

第一次安倍政権→福田政権→麻生政権→民主党政権(鳩山政権→菅政権→野田政権)→第二次安倍政権と続く。第一次安倍、福田、麻生政権は自民党内のたらい回し政権で「何時解散なのか」が国会での主要課題であった。

続く総選挙での政権交代後の民主党政権でも鳩山、菅、野田政権はたらい回し政権でここでも「何時解散するのか」が党首会談の主要課題だった。民主党政権は鳩山、小沢の「政治とカネ」、小沢さんとの権力の二重構造で政権内はゴタゴタが続き、菅政権では未曾有の巨大地震、巨大津波災害と同時の福島第一原発の原発事故は日本中を混乱させた。

菅さんはその時の対応に不備があったと批判されているが、どの政党でも混乱するだろう。それほどの事故だったのだ。しかし、菅さんはこの難局を国を挙げて対応しなければならないと考え、野党総裁だった自民党・谷垣総裁に副総理格で震災対応相として入閣を依頼したが、自民党は「民主党の手助けをするだけ」と拒否に了見の狭さをさらけ出した。

どういう訳か、そういう経緯も考えないで「最悪の総理」とメデイアは批判しているが今回の選挙で立憲民主党で菅さんが当選、官房長官だった枝野さんは立憲民主党を立ち上げ代表として反安倍の受け皿の役目を果たした。野田さんは無所属で当選の強みを見せた。

メデイアの世論調査で安倍政権を「他の政権よりマシ」と評価する向きもあるが「民主党政権のだらしなさ」と評価されるのには反対だ。

そして小池劇場だ。

自民党にあって居場所がなくなった東京10区選出の小池さんが自民都連、石原元知事を敵に回し「東京大改革」を都知事選、値議会議員選挙で打って出た結果圧勝し自民党は歴史的惨敗だったのは記憶に新しい。

今度は「政権選択」「安倍一強反対」を掲げ「希望の党」を立ち上げて自民党に戦いを挑んだ。折しも野党第一党の民進党のゴタゴタは尽きなく、「解党的出直し」を主張する議員まで出て来て、前原さんは小池新党に合流話を持ちかけた。希望の党が候補者を立てれば民進党は食われて落選者が多数出、壊滅的結果になるとみたのだ。

民進党からも合流話も前に離党し希望の党の設立に関与する者まで出て来た。ところが前原さんと小池さんの話がどうなっていたのか分からないが、前原さんが「全員合流」と言えば小池さんは「さらさら考えていない。選別します」と言い出したから関係者、世間はどん引きした。

小池さんは希望の党を私物化したわけではないだろうが、選別は「自分より政治活動の上の人」「憲法観」などで選別したのだ。この「排除の論理」が小池人気を一挙に失墜させた。小池さんは権力者の顔になっていたのだ。小池さんは「自らの驕り」を敗因の1番に上げていたがその通りだ。

選別に漏れた人たちは「立憲民主党」を設立、重鎮連中は無所属で戦うことになった。民進党は3分裂し希望の党は立憲民主党の議席にも達しなかった。

しかも希望の党で当選した候補者はほとんどが民進党出身者で「小池人気」も陰りが差し小池さんの代表の地位も危なくなってきたようだ。

更に希望の党の体制がどうなるのか。国会内外で二重の体制になるとすれば生え抜き連中と、民進党出身者との主導権争いが出てくる。希望の党分裂の話まで出てくる状況では何のための劇場だったのか。

そして、立憲民主党が野党第一党となると、国会運営も難しい局面が想像出来る。自民党政権と政策が真逆な点も多い。立憲民主党がリベラル系かと思っていたが枝野さんは「リベラル」と言ったことはないという。

希望の党の旧民進党出身者、立憲民主党、無所属の重鎮達との連携を考えているのだろうか。

小池劇場の後に残されたのは「大改革」ではなく「大混乱」だけなのだろうか。こんな政局を選んだのは私たち有権者なのだ。しっかり自民党安倍政権を監視していかなければならない。



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