2017年10月5日木曜日

どっちの日本が良いか:保守の目指す日本か、リベラルの目指す日本か

自民党本部に掲げられた選挙本部の垂れ幕
2017.10.1
リベラルとは何なんだ、リベラルの目指す日本と、保守が目指す日本とどちらが良いか。民進党の枝野さんがリベラル系議員を集めて「立憲民主党」を設立、それに共産党も共闘する事で数合わせの強権に走る小池さんの「希望の党」のお株を奪った感じだが、保守とリベラルを政策の何処で線引き出来るのか。

民進党は民主党時代の政権を執った時から党内は保守とリベラルの政策の考え方の違いで内部抗争を繰り返し肝心な所で一致点を見いだせずゴタゴタが続いていた。憲法改正などで保守系議員は「解党的出直し」を要求し、今回の小池さんの「希望の党」との合流に動いたが、ここでも小池さんは憲法、安保観から「排除の論理」をかざし選別に走った。

選別に漏れた民進党前職などを助けるために枝野さんが「立憲民主党」を立ち上げた。保守に対抗するリベラル政党だ。

私が学生の頃は保守vs革新で自民党に革新政党の社会党や民社党、共産党が対峙した。そして革新政党は労働者、貧しい国民の見方だ。労働者の権利を訴え労働組合などが支援団体だが政権の座は自民保守党だ。

一時、社会党が連立政権に参加し村山さんが総理の座についたが、その時社会党は政策を大きく変え政権を担ったが、その後社会党は凋落の一途をたどった。従来から執ってきた政策を政権につくために変更することが致命傷になった。

労働者、国民の信頼を落とせば政党の存在価値はなくなる。一部革新系議員は民主党結党に参加した。

しかし、自民党が長期政権を維持できたのは、自民党内にもリベラルな考えを持った議員の存在が政策のバランスに大きく影響しているのだ。今は、安倍一強と言われリベラル系議員がおとなしくなっているが、保守リベラル系とも言うだろうかポスト安倍を狙う岸田さん石破さんや、閣僚でありながら野田、河野さんが存在感を示しだした。

民進党議員が次次に「生き残り」をかけて小池新党に流れる状況から前原さんはこのままでは民進党は沈没すると思ったのか、小池新党「希望の党」との合流を狙ったが「全員合流」は果たせず、残されたリベラル系議員らが枝野さんの「立憲民主党」に集まることになった。

このことから小池さんの戦略ミス、前原さんの重大局面での指導力の欠如があからさまになった。

5日のテレビニュースも小池-前原会談が行われたことを伝える。小池さんは衆院選には出馬せず、都知事に専念するという。そうなると首班指名などでどうするかが問題になるがチャーターメンバーと相談すると小池さんは発言していた。告示を目前にしても大事な事が決まっていないのだ。

ところで自民党、希望の党、立憲民主党の政策で保守とリベラルの線引きをするとどうなるのか。

朝日新聞(2017.10,4)に「3党の主な主張と連携相手」に出ていた政策を比較してみた。

    政 策     自民党     希望の党    立憲民主党
憲法・安保    ○       △       ×
        改正目指す   議論を進める   改正反対

    消費税     〇       ×       ×
           10%目指す  凍結

    原発      〇       △       ゼロ
            再稼働    2030年ゼロ

    政治理念    進歩を目指  寛容な改革    立憲、法の遵守
            す保守政党  保守政党     国民が認め合え
                            る社会

自民党は何時も保守で政策を進めようとする。安倍政権のやり方を見ると日本の姿として理想とは言えないが、後に続くであろう石破、岸田さんの政権を考えると保守系リベラルとでも言うのか。

小池新党は安倍政権の出来ないことを目指して行くチャレンジャーという。理想は良いとしてもリーダーの小池さんには不安が残る。信用できるのか。
枝野さんの立憲民主党はリベラルそのものの政党と思われるが、リベラルにも問題があるのだ。

今、購読している「「西洋」の終わり」(ビル・エモット 日本経済新聞 2017.7)にリベラルに関する記事が載っている。

自由主義(リベラリズム)は多数の国で気に入られ自由と幅広い機会によって好循環が生まれ、物事が創出され制約の少ない生活によって繁栄、安定、安全がもたらされる。社会の信頼と資源が生まれ更なる発展が可能になるという。

しかし、近年市民の期待に応えていないと言うことで攻撃されている。公共性、繁栄、安全が危うくなっているのだ。

ところがこの理念は紛らわしい表現でもあると言う。リベラルという言葉には「税金を無駄遣いして甲斐性の無い市民を甘やかし、市場をゆがめるという含みがある侮辱表現である」と一部のアメリカ人がいっている。

しかし重要な事も含まれている。リベラリズムのリベル・・つまり自由は個人にとって望ましい結果であり自由な個人が集まって暮らしている社会の状態を表している。そんな社会は中央の1つの知能に指揮されているのではなく、参加している人々の希望と行動の集合によって成り立っている。平等をもたらすのだという。

そういうことを考えるとリベラル政党とは枝野さんが言う立憲民主党の政治姿勢だ。

でもリベラル政党が政権につくことはないだろう。自民党の安倍一強政治は保守政党なのだが、目指す日本の姿ではない。

政策から考えると「希望の党」が保守系リベラル政党と思われるが、まだ政策がはっきりせず、ガバナンスも出来ていない小池一強の政党では心許ない。

ポスト安倍の石破、岸田政権に期待するしかないか。 


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