2018年8月21日火曜日

ギリシャ危機に見る:財政危機で支援も政治面で「自国第一」が台頭か


域内貿易、自由移動など経済面を重視した理想のユーロ構想も政治面ではユーロと自国の二重構造を残したまま、財政危機が生じ財政で支援を受けるようになると自分たちの思うようにならずポピュリズムの台頭する結果になった。

8年間にわたったギリシャ危機に対するEUなどの財政支援も「ギリシャは再び自分の足で立つ」と危機が去ったわけでもないのに支援を終了することになったらしい。

ギリシャにとってもユーロ圏にとっても大きな課題を残すことになった。

ギリシャのGDPは2010年の2260億ユーロから1777億ユーロに悪化、債務も対GDP比も146%から178%へと悪化、失業率も21.5%、それでも経済成長率は1.4%でマイナスから回復した。

日本の債務は1050兆円を超え、対GDP比235%、成長率も1%前後と比較するとギリシャは危機だが日本は大丈夫か。

このギリシャ危機は支援される側も支援する側も大きな問題を抱えていることが分かった。

支援される側は緊縮財政、増税を強いられるが自国の財政を自分のやりたいように運用できない。磁力での景気回復が出来ない。緊縮財政では国内市場は細くなる。緊縮財政反対、増税反対の声が上がるが金利調整で国内景気の調整もできないのだ。

当然に、ポピュリズムの台頭だ。政権や政権運営に影響をきたす。

一方、支援する側も「自分たちの税金をどうして他国の財政支援に使うのか」とここにも自国第一の発想が出てくる。

だから、救済機関設立も放漫財政を助長する事になるし「自国主義」の反対になる。

「救済基金」も融資が返済されないと損失になるし、深刻な危機になるまで使えないという欠点もある。また、今後検討されている「ユーロ圏共通予算」は平常はカネを集めて弱い国に投資する制度であるが既にオランダは反対しているようだ。

2009年ギリシャ政府は財政赤字を過少申告していたことが表面化し投資家の信用を失い、国債価格の暴落で資金繰りが悪化、ユーロ、IMFから2887億ユーロ(約36兆円)の支援を受けた。

気になるのは次は中国か。

リーマンショック以来世界経済が沈滞している中で、中国が成長をけん引してきた。その結果は今も6.7%の成長率を維持しているようだが鉄鋼の過剰生産は今、世界のお荷物になっている。一帯一路は中国の覇権主義の現れだがマレーシアを初め過剰な投資に警戒感が出て来た。

習主席は過度な国威発揚で米国を刺激し米中関税戦争に突入した。本当の財政状況が分からないだけに何かの拍子に債務悪化が表面化する可能性も大きい。

中国から支援を受けている発展途上国を含めると大混乱で誰が支援の手を差し伸べることが出来るか。

日本も借金1050兆円、対GDP比235%、先進国一悪い財政状況だ。IMFからも財政再建を指摘されている。先進国が赤字をGDPの3%以内に抑制しているが日本が何故か猶予されている。日本の経済力を信用してのことだろう。

しかし、安倍政権、日銀は異次元の金融政策で2%物価目標達成まで金融緩和を進め日銀の資産は国債買い上げなどでGDPを越えている。でも緩和策の継続で副作用も出て来た。出口戦略の後れをどうするか。一歩間違えれば国債下落、長期金利上昇で日本経済は混乱する。

内需拡大、消費税増税より財政出動の必要性が叫ばれている。老朽化している公共事業への投資、社会保障制度の維持、そして膨らむ国防費、景気好調で税収増も期待出来るが一般会計は100兆円を越えそうだ。

税制面で法人、富裕層を優遇する一方で、国民を犠牲にする政策に日本国民はいつまで我慢できるか。日本にもポピュリズムの台頭で自民党政権が再び苦い経験をする事も考えられる。

財政危機は政権にとっても国民に取っても苦難の道なのだ。


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