2018年8月28日火曜日

国を造るのは「政治」か「経済」か


国を造のは「政治」か「経済」か。自民党総裁選でも安倍総理は「新たな国造りの先頭に立つ」というし、アベノミクスでの成果が届いていない地方経済、中小企業の活性化に石破さんは地方経済重視の姿勢を見せているが、過去には「政治が笛吹けど経済界は踊らず」の傾向があった。

ところが、朝日新聞(2018.8.28)に大手段ボールメーカーの「レンゴー」が今まで40%カットで65歳まで再雇用していたのを定年を65歳にし役職定年も設けず、賃金も下げず正社員化するという。

政治面では2013年改正高齢者雇用安定法で希望者全員を65歳まで雇用することとし、今回の「過重労働での自殺者」を防止するための働き方改革でさらに労働の多様性にこたえようと法改正を行ったが、目的に違いが生じている。本来の目的を達成出来るか、経済界の要求を丸呑みするか。

政府は「働き方改革」で労働の多様性にこたえることができると労働裁量性など改正法案を強行採決したが、本当の「働き方改革」とは短時間労働であっても正規の従業員として個人の生涯の様々な段階ごとに必要に応じて選択できるよう税制や社会保障を見直すことが必要なのだ。

日本を代表する「レンゴー」が上記のような改革に手を付けたのは大きな意義がある。

経団連は法人税下げなど企業優遇の政策を「おねだり」することが多いが、日本社会をどう構築しようとしているのかわからない。

日本は少子高齢化に向かい政治、経済で難しい局面を迎える。若者が結婚し、子供を育て良質な労働力の再生産をすることが日本経済、企業にとって必須条件であるが十分な賃金ももらえず、待機児童問題も抱え女性の社会進出も十分にできない。政府は待機児童の解消、女性の社会進出促進など努力しているが問題は経済界、企業側にもあるのではないか。

働き方も子育て中の女性の要望に合う努力をしているのか。失業率は好転しているが内実は非正規労働者が増えているのだ。当然に人件費の問題が大きい。

日本の良き慣習、日本経営も国際競争の下で大きく変動した。

内外の変化に対応すべく、産業構造も変化した。ダウンサイジング、ライトサイジング、リエンジニアリング、リストラクチュアリングなどの横行は国民の生活を不安定にした。

経営不振な企業が合併、統合するようになる。消費者(利用者)の利益を守るための公取委も公正は競争の面から難しい判断をしなければならなくなった。今はごく低金利政策を進める日銀の緩和策によって経営不振の地方銀行で統合が進む。金融庁vs公取委が調整に乗り出している。

今の日本経済はおとなしい労働者の犠牲の上に立って利益を上げたり経営が成り立っている状況だ。

いつの政権も内需拡大が喫緊の課題であるがなかなかうまくいかないようだ。安倍総理は海外から企業を誘致するために法人税を下げ世界一活躍できるに国にするというが、いくつの海外企業が進出してきたか。今の新聞を読むと自動車メーカーはアメリカ、メキシコ、EVは中国での現地生産するという。

市場が小さく、人件費の高い日本は敬遠されがちだ。

しかも世界に名をはせる日本企業が経営不振で海外の会社に買収される憂き目にあっている。高度技術の海外移転はトランプ大統領でなくても安全保障上問題だ。

いつまで東南アジア諸国と競争しなければならないのか。

低賃金も段々高くなってきたそうだ。大きな市場への現地生産そして海外のインフラ整備は中国、韓国との競争になるが技術面で劣るし計画推進にも問題が起きている。中国の一帯一路はマレーシアに見るように相手国の経済に悪影響が心配されている。

日本企業が活躍できる分野ではないか。

内需拡大にしても日本もインフラが老朽化し地方によっては橋が危なくなって通行止めになっているし、港湾施設は塩害で鉄筋が丸見え、高速道の橋梁、トンネルの壁の落盤など挙げればきりがないが、公共事業費が問題だ。

財政再建も喫緊の課題だが公共事業、景気刺激には財政出動も重要なのだ。5兆円という数字は大きい。さらに異常気象での豪雨、土砂崩れによる復興は後を絶たない。

2%物価上昇も未達で成長率においては6割に当たる個人消費が伸びず政府は試行錯誤だが将来の生活の不安払しょくが緊急の政策課題だ。

政府はそれなりにやっているのだろうが基本的には家計への再分配の問題になる。

海外から内需拡大を強要されるたびに検討された前川レポート、福田内閣時の21世紀版前川レポートの失敗の要因は企業の儲けを家計に再分配するシステムができていなかったことだ。

それが今も問題になる。税制、社会保障の見直しで低所得者への再分配が必要なのだ。政府もやりたいだろうが経済界が「うん」と言わない。

政治もさることながら経済界が意識改革をやらないかぎり、安心して暮らせる理想の国は造れない。


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