2018年10月27日土曜日

日本経済の問題:金融政策では解決しない、アベノミクスの潮時か


日本経済の問題は金融政策だけでは解決しない。異次元の量的緩和も一時の成果はあったがアベノミクスも潮時か。株高、円安は日本の輸出企業を復活させ安倍総理も経済指標の好転をことある毎に並べ立て自らの政策を評価して見せたが、金融政策の副作用が目立ち始め国債市場、株式市場を乱れさせる結果になっている。

市場にカネを流し込むが一向に物価は上がらないし、経済成長も先進国一低率だ。安倍政権、黒田・日銀は2%物価を目指し出口戦略は後回し、緩和縮小に向かっている欧米中央銀行に後れを取っている。

新聞報道によると、先日の日銀総裁だった白川さんが日本記者クラブの会見で、日本の00~10年の実質成長率は先進国で下位だったが、働き手1人当たりのGDP成長率はトップクラスだとして「根本問題は急速な高齢化と人口減だ」と訴えた(朝日新聞2018.10.23)。

金融政策は「一時の時間稼ぎ」、政府の財政政策が重要になるとは5年前から白川さんや主流の経済学者は訴えていた。異次元の金融緩和は非伝統的な金融政策だったのだ。

金融政策だけでは物価は上がらない。グローバルスタンダードだった2%物価目標にはほど遠いために出口戦略にも言及できない。出口戦略に言及することはアベノミクスの否定になるので黒田総裁の口からは言えないが、最近の金融政策には金融緩和を縮小するような動きもあるし、日銀の政策委員の間でも金融政策の今後に警戒感を訴える委員も出て来た。

日銀の最近の「経済物価情勢の展望」でも「先行きの経済成長や社会保障制度に関する慎重な見方が値上げ許容の高まりの遅れにつながる」とみている。

白川さんも同じようなことを言っていたし、思い出せば先の自民党総裁選で安倍さんと対峙した石破さんの経済展望も同じだ。

今、アベノミクスの成果が行き届いていない地方格差是正のために地方創生に力を入れる。安倍総理の首相所信表明でも地方創生にスペースを取っていた。ところが、その担当大臣の片山さつきさんが「口利き」疑惑で野党の追及の矛先になっている。皮肉なことだ。

安倍総理が所信表明で特にアベノミクスに言及しなかったのは既に破綻していることを感じ取ったからだろうか。

一方、政府の政策も規制緩和で強固な利権に風穴をあけようとしたがうまく行かないとみると新たに戦略特区構想を立ち上げ強引に推進した結果が加計学園の新・獣医学部問題、森友学園の「モリカケ」問題の不祥事を起こす結果になった。

安倍総理の親友が掲げる事業に利権が移ったことになる。

各政権が成長戦略を掲げるがタイトル、内容をチョット変えただけの繰り返しの政策提言でうまく行っていない政策を何回出してもうまく行くはずがない。民主党政権時の「事業仕分け」を思いだして欲しい。

委員の質問に官僚がダラダラ答えなければならないものほど内容がないのだ。

金融政策、財政政策に関して昔使った経済学の本を読み返してみた。

金融政策とは中央銀行が規制手段を通じて高位安定水準の雇用を確保することで有り、財政政策は課税、支出を通して高位安定水準の雇用を確保することなのだ。雇用の他に物価の安定も加わる。

中央銀行は景気が悪いときは貸し出し能力を付与、貨幣供給を拡大し利子率を下げ、投資を増やそうとする。でもこれには限界があるのだ。有利な投資計画がないときは投資はされない。そうなれば成長率も物価もあがらない。

今、日本はその通りなのだ。ある経営者が国内で「儲かる事業」があれば借金してでも投資はすると言っていたのを覚えている。国内需要がないから海外投資、株投資、不動産投資に走る。企業の内部留保は440兆円を越えると言われている。

金融政策も財政政策も一方だけではなく、協力関係になければ日本経済の舵取りはうまく行かない。

世界の投資家は日本の株式市場で大儲けを企んでいる。株価を維持するために日銀はETFをやっている。24000円台から21000円台に大波乱の株式市場の値動きにも日銀が絡んでいる。株価が下がれば日銀が支えるので安心して大ばくちを打っているのだ。

日銀の国債買い入れで4割を保持する結果になり国債市場も取引が乏しくなっている現在、見直しが必要になってくる。出口戦略を頭に置いた日銀の金融決定会合になるのだろう。

急速に進む高齢化社会、人口減、孫達の事を考えるとどんな社会になっているのか心配だ。物価の安定では今のママでも安定しているのではないかとも思う。

安倍総理は所信表明に対する代表質問を受ける身で有りながら中国を訪問したり、インドの首相を迎えたり多忙な外交をこなしているが、代表質問に十分に答えることが出来るのか。「取り巻きや官僚が作文しているのを読み上げれば良いだけの話し」と安易に考えていないか。 

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