今年の医学生理学賞に京大特別教授の本庶佑先生が受賞されたが、私たちに重要なコメントをされた。「人の言っていること、教科書に書いてあることを疑え」と。「ウソ」が多いのだ。それを信用していては進歩がないとも言う。
この言葉は過去にも聞いたことがあり思い出すと利根川進先生が同じ医学生理学賞を受賞した時の言葉だった。
権威者の言うこと、専門家が教科書に書いて主張している事に間違いが多いというのだ。
今の小中学の教育もおかしい。孫が低い点数を取ってきた。驚いて内容を見ると文章の穴を埋めるテストで下に選択肢が記されていた。孫の書いた文章も間違ってはいない内容に見える。念のために教科書を見てみると同じ文章の箇所があり、穴埋めの語句が間違っているのだ。先生は教科書通りでなければ〇を付けない。だから教科書に記述された内容以外は×なのだ。
日本の学校は幼いときからこのような勉強をしているのだ(レベルの低い話だが)。
免疫を使った医療では丸山ワクチンを思い出す。日大の先生だったと思うが、免疫療法(メカニズムが今回のとは違う)だったが他の専門家は異論をぶっつけた。だから丸山先生は担当医が承諾した末期ガン患者を中心に治療されたようだ。
効果があったと言う患者さんもいたが、末期ガン患者だから成果は高くは出せない。
しかし、本庶先生の開発された免疫療法は「オプジーボ」という治療薬で分野に制限があるが肺がんでは効果を上げ患者さんの喜びが新聞に載っている。
本庶先生にすれば「研究者冥利」に尽きるだろう。
こう言う偉大な発見の端緒が何だったのか興味があるところだ。
本庶先生は大学帰りの湘南電車の中で思いつかれたという。湯川博士は中間子論を阪大の宿直室で思いついたと言われていたのを覚えている。その日は大雨で帰れなかったので大学に泊まっておられたらしい。
偉大な数学者の岡潔(奈良女子大名誉教授)も思考を重ねながら猿沢の池を散歩しながら考えたと言われていた。
間違いもある。哲学者の西田先生は「哲学の道」で思考を重ねておられたと言われているが間違いで川縁の木造2階建ての2階の回り廊下を行ったり来たりして思考されていたらしい。「外から見れば異様な光景だったろう」と親戚の方が新聞でコメントされていた。
偉大な業績を上げた人たちは常に思考を重ねておられたのだ。そしてある時閃くのだろう。
本庶先生は「大切なのは「何が知りたいか」だ」と。「そこがぶれると何をやっているのか分からなくなる」と。
人の言うこと、教科書に載っていることを鵜呑みにしてはいけないのだ。それは科学以外にも言えることだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿