自民党総裁選 1回目の投票結果
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国会議員票
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党友、党員票
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岸田
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146票(38%)
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110票(29%)
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河野
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86 (23)
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169 (44)
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高市
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114 (30)
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74 (19)
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野田
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34 ( 9)
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29 (8)
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決選投票結果
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国会議員票
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地方票
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岸田
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249票 (66%)
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8票(17%)
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河野
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131 (34)
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39 (83)
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今回の自民党総裁選はコロナ対策もあり各候補者の選挙運動も制限があり、テレビ討論などが主流になり、候補者が国民と触れ合う機会が少なかったが、かえってよかったのではないか。国民との「やらせ交流」は誤解を招きやすい。
当初は国民の圧倒的支持で河野さん有利に見られていたが、討論の席で自説の変節、情報番組ではMCの質問に異議をとなえるなど逆にマイナス面が浮きだった感じだ。
国民世論での圧倒的な人気は何故なのか。河野さんを評価するにはまず頭に浮かぶ疑問だ。恐らく「行動力」「発信力」なのだろう。防衛相のときは、あれほど安倍政権で力を入れていた陸上イージスアショアの計画の中止を発表した。行革では「はんこ行政の廃止」で名を上げ、コロナワクチンでは情報発信に努めたことが評価されたのだろう。
しかし、情報発信と言っても防衛相時代に気に食わない質問には「次に質問」を連発し説明責任を回避する行為に出たが、「まずかった」と思ってか後日、謝罪した。ツイッターでも記事をブロックする行為に出て顰蹙を買っている。
コロナワクチン供給でも重要な情報を隠していたことも発覚している。
閣僚になる前は、政権に辛らつな批判をしていたが、閣僚になってからは日のあたる場面で目立った行動が出来た。冷静に考えれば「発信力」にも問題があるのだ。
逆に岸田さんは目立たず、おとなしい。安倍政権では長く外務大臣を経験したが外務大臣は昔から票には結びつかない。政調会長になっても官高党低で官邸の決めたことを追う姿勢だった。これではいけないと気づいたが、どうしようも無かった。
先の参院選では広島地方区が河井問題を起こした。岸田派の重鎮、溝手さんを嫌った安倍さんが刺客を送り1.5億円の軍資金を提供した「政治とかね」の問題が発生したが、岸田さんの動きはあいまいだった。
今回の自民党総裁選もコロナ禍でもあり、フルスペックの総裁選よりも国会議員による選挙などが考えられていた。しかし、いち早く岸田さんが正式に立候補を宣言し、党改革では幹事長人事で「一期1年、連続3期」で長期在位を禁止する案を提案、評価を得た。河野さんが党改革を主張しているように見られていたが、発端は岸田さんなのだ。何をするのも目立たないし、メデイアも評価しない。おとなしい性格が災いしているのか。
ところでメデイア、ジャーナリスト、専門家の予想は当たっていたか。
当初は圧倒的な河野さんの人気で「1回目で決めれらか」と言う見方だったが、段々決選投票の可能性を匂わせた。でも河野さんの方に有利と見ていたか。
石破さんが不出馬、河野支持を表明したことから党員党友票は俄然河野さん有利になった。しかし、石破さんの支持で国会議員票が減るのではないかと言う危惧はあったが、当たった感じだ。
石破さんは立候補していたほうが良かったのではないか。人気の高い2人が一緒になって相乗効果を狙ったのだろうが、河野さんが1回目の投票で党員党友票169票(44%)、決選投票で地方票39票(83%)に出ているのか。
でも石破さんに今後、総裁の芽はなくなったことになる。
石破さんは国会議員の中での評判は悪い。今回は河野さんが国会議員間での評判の悪さをさらけ出したか。
国会議員の動きも激しかったか。ANNの調査では国会議員票で河野さん120票(2位)、高市さんも80票だったが、今回の選挙ではそれぞれ86票、114票と大きく違っている。
専門家も分かりづらい動きが背後にあったのだろう。安倍さん、麻生さんの動きが注目されたか。従来然の派閥選挙と批判されても仕方ないか。
国民の民意と自民党国会議員の間での溝は大きい? 派閥力学がどう働いていたのか。
でも国会議員は「安定」を選び、国民は「変革」を選んだ。今の時期、変革で振り回される余裕など無い。コロナ対策、コロナ後の経済再生で安定政権を選ぶのだ。
しかし、迫り来る総選挙はどうなるか。「党の顔」に誤魔化されるのでなく政治姿勢、政策で競うべきだ。
その点、岸田さんは楽だ。安倍、菅さんの逆をやればいいのだ。とりあえずの政治姿勢は「国民の声を政治に」、「民主主義が病んでいる。丁寧は説明」、「人の話を良く聞く」と言うことらしい。
情報番組は党役員人事に及んでいる。ポイントは「脱安倍、脱麻生」でいくのか。
総選挙での野党との戦いはどうなるか。河野さんよりも岸田さんの方が戦い難いとみるが。