2021年9月12日日曜日

他人事ではないマンション管理の問題:発端は管理会社の「甘い言葉」か

 

私も東京で規模70戸の平均的規模のマンションに10年前から住み、管理会社はマンション分譲した系列会社でいわゆるデベロッパー系だ。最近新聞で築40年を過ぎ住民も高齢化したマンションの管理が問題になり、新聞でも社会問題化している。 

決して他人事ではない。マンション管理ではいろいろ問題が出ているが、「住民の無関心でお任せ管理」が問題だがその発端は管理会社の「甘い誘い言葉」ではないか。 

「皆さんはマンション管理に素人で心配されていると思うが、心配要りません。私たちが支援しますからお任せください」と言う「甘い言葉」につられて「管理丸投げ」の結果、いざ問題が起きるとうろたえる。

マンション管理会社も独立系、デべロッパーと多数の管理会社が国土交通省に届けている。しかし必要な資格、会社の業務など管理体制のチェックなど資格審査がされていない。だから管理会社にも大きな差が出るのではないか。 

マンション住民も管理主体は自分たちで、管理会社はサポート役であることをほとんど知らない。管理会社は担当者任せで理事会、総会を牛耳っている。議事録もすべて管理会社が作成、自分の都合の悪いことは書かない。理事長名で管理会社の担当者の考えを通知する。理事長は一度も自分の考えで資料作成したことはない。多くの場合こういう状況ではないか。 

原因はマンションを住民に引き渡し、管理会社が決められていることから始まる。 

管理組合の理事会は各フロアから1名が順番に2年間当番に当たる。マンション分譲者か管理会社から「管理契約」などが提示されるが、理事長はまったくの素人でろくにチェックせず印鑑を打つ。 

管理会社からの資料は多くの場合、理事長だけに配布される。「あれはどうなったのか」と聞くと理事長が管理会社から来た書類の中から取り出す。 管理会社は理事長に配布すれば仕事は終わったと思っているのだろう。手抜き管理だ。理事長が住民に配布することなどしない。だから最初に手続きをしっかり決めておくことだ。 

管理会社の見積もる工事費は高い。理由を聞くと「すべて別会社に丸投げ」していると言う。「合い見積もりを取れ」と言っても別会社がやっているのだから無理と言う。 

管理員も「ゴミだし」はしっかりするが、日常管理はマンネリになり、注意しなければ手抜き状態が続く。 

一番日常管理で目に付くのは「マンション内の清掃」だ。日常管理と業者による定期清掃の内容がはっきりしない。「管理契約」できちっと決めるべきか。日ごろの管理をおろそかにすると「大規模修繕工事」で痛い目に合う。「汚れがひどくないか」と言うと、「大規模で処置します」という。

日常管理で大事なのは、管理会社も住民も、管理員にまかせっきりにせず、住民も積極的に参加することだ。そして「管理契約」で明確にすべきだ。 

築10年過ぎて、はや管理会社から2回目の大規模修繕では約1億円の資金不足が生じると報告された。理由を聞くと右肩上がりのコストアップだ。管理費の大幅な増額が必要になる。マンション分譲時「管理費は増額しなければならない」とアドバイスを受けたことがある。分譲会社は「売らんかな」で最初は管理費を安く設定する。

築10年を過ぎたマンションでもこんな問題が出ている。40年も過ぎるともっと難しい問題が出るのは確かだ。 

朝日新聞2021.9.12「マンション管理 更新拒まれ 業者「採算取れなくなった」 住民は困惑」でその実態を知ることができる。

それによると、マンションも老朽化、住民も高齢化、小規模マンションでは修繕工事などで利益が見込めにくい。管理で儲けが出ないために管理会社が更新を拒否する事例が増えてきた。管理員の人件費アップで管理費がここ10年で18%アップしたという。 

管理費の増額が見込めなければ管理会社が儲けが出ない。今後も管理拒否事例が増えるだろうという。 

対策は管理会社に丸投げではなく、自分たちで出来ることから管理法を見直すことだという。清掃など建物管理は組合が直接業者と契約、会計も住民が管理しコストを抑えることだと言う。 

管理が行き詰まる前に、コンサルタントなどを入れて早めに主体性を持ったマンション管理をすべきなのだ。

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2019.2.5掲載

大京アステージ横領事件を考える(1):デヴェロッパー系の甘い管理、管理組合の無責任さも影響 yamotojapan.blogspot.com/2019/02/blog-post_16.html

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