2022年10月30日日曜日

自民党長期政権の安定・先鋭化は後の政権の影(宿命)に?

 

野田元首相が安倍氏の追悼演説で、安倍政権のことを「強烈な光の先に伸びる影」と言うような表現をして評したと思うが、安倍政権のような長期安定(?)政権に限らず、自民党政権には何時も言えることが朝日新聞(2022.10.30)の曽根編集委員「日曜に想う」で「そうか」と思った。 

どうしても自民党政権を省みるときは、その時の政権の「強烈な印象(政策)」がよみがえる一方、潜んでいるデメリットはその後の政権の足を引っ張っているのだ。その尻拭いに勢力を使いすぎている感じだ。 

曰く「長期政権下で折のように溜まった負の遺産にさいなまれ清算を宿命付けられている」と。 

事例を見てみた。

5年の長期政権の中曽根政権だったが、リクルート事件、証人喚問、国会空転、予算成立が暗礁に乗り続く竹下政権は早期退陣となった。竹下さんもリクルート事件に関与していたのだろう、秘書の方が自殺した。中曽根内閣で思い出すのは輸出で稼ぐ日本経済に海外から批判が集中、中曽根さんは内需拡大へ向けた「前川レポート」を公表したが、企業の儲けを分配するシステムが構築されていなかったために失敗した。

これが今も産業構造改革の面で分配が出来ず、賃金上昇、設備投資、物価上昇の経済の好循環が期待できていない。 

5年の小泉政権は「反対するものは抵抗勢力」をキャッチフレーズ(?)に年配議員の抵抗を抑えて郵政民営化などを挙行した。官邸主導政治だったが自民党から著名は議員が離党した。さらに年金問題が表面化するのを嫌い、早々と国会を占め、自ら引退した。

その後を引き受けた第1次安倍政権も突然の総理の座で準備が出来ていなかった。仲間を大臣に登用し不祥事の続出、年金問題が大きくクローズアップ氏、体調を崩し辞任した。

78ヶ月の安倍政権から菅政権へ。経済政策であるアベノミクスの第1に矢、異次元の金融緩和で円高→円安、株安→株高で二歩印経済も復活したかに見えたが、今は円安、物価高の要因になり、さらにモリカケ問題では民主政治の根幹を揺るがし、「桜を見る会」、前夜祭では政治資金規制違反法違反などで関係者が訴追され、本人の責任も追及中だったがコロナ対策で想うように行かず、体調不良もあって又政権を放り出した。 

菅政権は東京五輪、コロナ禍対応に追われた。選挙では成績が得られず総裁選を不出馬し政権を去った。 

1年の菅政権から岸田政権へ。菅政権からのイメージチェンジで「聞く力」を前面に出し「分配」を掲げたがあっという間に「嘘」と分かった。コロナ対策は後追い、突然の安倍元総理襲撃で、国葬問題、安倍さんをキーマンとする旧統一教会とのズブズブな自民党関係が表面化、さらには円安、物価高で国民生活が困窮を極めるときにバラマキ予算で財政を更に圧迫する結果になった。

麻生政権から民主党政権(鳩山、菅、野田)も忘れてはいけない。 

麻生さんは選挙対策の政権だった。「マンガお宅」で若者に人気があると自民党は考えた。しかし、すでに自民党は有権者から見放されていたのだ。民主党の「政権交代しませんか」のキャッチフレーズは強烈だった。 

「税金の無駄遣い」を訴え事業仕分けは国民の評価を得たかに見えたが、意外に大きな財源は見つからなかった。おまけに財源の確保の出来ていない「大風呂敷の政策」が嫌われ信用を失っていく。 

さらに悪いことに菅政権で3.11東北地方太平洋沖地震、津波災害で大きな被害を受けるとともに福島第一原発事故への対応に国民の不満は高まった。

菅政権の後、野田さんが総理になった。消費税増税、政治改革に取り組み「前に進める政治」を標榜したが、ときすでに遅く政局は「何時、解散総選挙か」になっていた。 

当時野党の自民党安倍総裁と野田首相との党首討論で「約束を守ってくれるなら明後日解散します」の発言が飛び出した。野田首相は」前へ進むか、後退するか」の選択選挙と訴えたが、国民は自民党支持に走り、民主党政権は潰れた。

政権が安定性、先鋭性を失うと世論は政権を見限る。しかしその後の政権の寿命は短い。岸田さんの後、どんな政権が後に続こうとしているのか。

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