欧米の物価上昇率は4~9%と高い。一方日本はやっと3.8%、しかも「好ましからざる上昇率」と日銀は言う。リーマンショック、コロナ禍そしてロシアのウクライナ侵攻で各国は景気後退を回避するために中央銀行は量的緩和策を採用した。
今年、ノーベル物理学賞受賞したバーナンキさんらが1930年の恐慌を分析、銀行破たんを防ぐことが金融危機回避のために必要との研究報告をした。その研究から2008年のリーマンショックで金融機関に大規模な公的資金を投入する量的緩和策を実施した。
日本もそれまで先進国に先駆け白川総裁は、緩和な量的緩和を実施していたが政府は大規模な緩和策を日銀に強要した。
各国が物価上昇率2%を目標に金融政策を実施したが、日本は9年たっても目標の上昇率に達せず、安定的に2%を達成するまで量的緩和を継続すると言う。
しかしアメリカを始め各国は物価上昇率が2%を超え、米国は9%を超えるインフレで、慌てて量的緩和を縮小し「利上げ」に踏み切った。それでも米国の物価は8%を超える上昇だ。
インフレになる恐れはあったが、行過ぎたインフレは制御が難しい。米国は利上げを続けるだろうが、日銀はゼロ金利政策を取っているので、当然に金利差が出てきて円安傾向が続く。
2.8%の日本の物価上昇でも日銀は「好ましくない上昇率」と言い、量的緩和継続と言う。
本当に日本の経済は、その程度の上昇だったのか。
米国などは原材料、人件費などの高騰は製品に反映させるが、日本は容易でない。利益の圧縮、安い原材料に変える、内容量の削減、人件費の抑制などで「分かりにくい値上げ」になるし、政府の対策も物価を抑えている。GOTOトラベル、旅行支援制度、通信料の引き下げ、各種給付金など。
円安は国の経済力を反映している。長期に停滞する日本経済、そして米国との金利差が円安を促進する。
146円を間際に政府は為替介入したが、数日で元値に戻った。米国のイエーレン財務相は「市場で決まるレート」という。積極的な協調はない。
日銀は「円安はプラス」と言い、政府も円安を容認しているのか。15日、岸田総理は「円安メリットを生かすために輸出に取り組む中小企業を支援する」という。
しかし、本当の物価上昇率はどのくらいなのか。
新聞報道での日銀の9月の生活者調査で、物価上昇率は実感としては10%だという。生産者、政府の政策などを考えると10%に近いのではないか。
さらに今後は金利差で円安が進む。何時までも量的緩和継続では日本経済はダメになる。出口戦略を急がなければ先進国から脱落だ。
円安誘導で産業構造は変わらず、当然に人件費は上がらない。消費は伸びない。
異次元の量的緩和を続ければ財政も劣化する。物価、金融システムも不安定になり制御不能なインフレをきたす。日銀はすでに2012年に「国債保有量は銀行券の量まで」の規制(?)を超えている。
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