世界経済のネタ帳 USドル/円の為替レートの推移より |
50年前の若い時は経済というと円為替、海外との購買力平価、実質実効為替レートが比較され、日常品での日米の価格で日本経済の強さ(?)が比較されたものだ。
経済でも「円高は日本経済の力」と言われていた。1960年代米財務長官のロバート・ルービンさんも「強いドルはアメリカの国益」と言っていたらしい。
それ程、為替が国力を評価していたものだ。
円安は輸出産業に有利だが、輸入品が高騰し国民生活に支障をきたす。輸出産業の収益は上がるが、技術革新は遅れ、企業の競争力は落ちる。当然に「賃上げ」はできない。
ここ2~30年間賃金が上がっていないといわれる要因でもある。驚くことに中国産業が日本は賃金が安いし、労働者の質も高いと日本国内で生産活動を目指しているというのだ。
一方米国はドル高でドルの信用が高まり、米の実質賃金は伸びているという。日本とは真逆だ。
日銀・黒田総裁は「円安は日本経済全体にとってはプラス」と主張し、各国が利上げに移って、日本との金利差が付き、円が下落している。競争力が低下している。新聞報道によるとここ20年間の実質実効為替レートを比較すると中国の人民元、ドルは上昇しているが円は46%もの下落、あのアルゼンチンよりも大きい下落なのだ。
今、日本のGDPは世界第3位、1人当たりのGDPも世界で20位というが、近いうちにドイツに抜かれた第4位の可能性もあるらしい。
円安は外需主導で内需に欠けていると言われる。日本経済は輸出に頼って成長していることが海外から批判され、内需主導の経済構造にもって行けと忠告されたことで1986年の前川レポート、2008年に21世紀版前川レポートでその対策を提言されたがうまくいっていない。
内需拡大の産業構造に変革するのに失敗したが、その要因は「儲けを分配」することに産業界が反対したことにあるらしい。いわゆる「賃上げ」ができなかったのだ。
そのうちに円安で輸出が振るう。いつの間にか産業構造の改革が忘れられた。そんなことの繰り返しなのだ。
「円安は麻薬効果」と野口先生は批判するが、日銀は「プラス効果」を主張する。円安の短期的な要因は海外中央銀行との金利差拡大」にあるのは当然だろう。このままでは更に円安が進むだろう。
円安は産業構造の変革を遅らせる。労働者、社会への儲けの分配も遅々として進まないだろう。
考えられるのは徐々に円高に持ってくことだ。とりあえず110円ぐらいに。2000年代前半のレベルだ。専門家は「2000年代前半は通貨の価値が高いスイスのような国と同じグループだった」と指摘している。
非伝統的金融政策、量的緩和を日銀は継続するようだが、市場も円安構造に慣れて構造改革など後回しでは日本経済は覚束ない。黒田総裁の任期も半年を切った。アベノミクスの生みの親、安倍さんもいなくなった。異次元の量的緩和にさようならだ。
専門家の中には「日本は先進国の夕暮れ段階、債券取り崩し国になりつつある」と警告する。経済指標でもお隣に韓国にも後れを取っているものもある。
ここはしっかりしなければG7のメンバーの存在価値もなくなる。
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