2022年10月13日木曜日

バーナンキ氏ら3人、経済学賞受賞:金融緩和策で正しいのは黒田か白川か

 

今年の経済学賞に元FRB議長のバーナンキ氏ら3人が受賞した。市民に身近な銀行の役割と金融危機について研究し世界恐慌の主因は銀行の機能低下だったと提示した。 

バーナンキ氏はリーマンショック時のFRBの議長で大胆な金融緩和策で銀行や企業を支えたといわれているが、その根拠はバーナンキ氏が発表した30年代の世界恐慌の分析論文だという。 

リーマンショック時、バーナンキ氏はヘリコプターマネーと言われ、金融機関に大規模な公的資金を投入した。一方、当時日銀の総裁は白川さんだった。金融緩和策は白川日銀の方が先にやっていた。 

リーマンショック時の会議で白川さんが「日銀の金融緩和を見習ったら」とは発言した時バーナンキ氏は「他国のことに口出しするな」と不快感を示したと当時の新聞に載っていたのを覚えている。 

通貨供給量はFRBや欧州の中銀はリーマンショック後に急激な金融緩和をやったが、日銀白川さんはずっと以前から緩和をやっており対GDP比でも日本が最も高かったという(朝日新聞2012.5.13)「日銀と政治の責任」日銀総裁白川方明インタビュー)。

日銀は物価上昇1%を目指し長期金利を下げるために贅沢な資金を供給したのだ。しかし1%に届かず、13年には0%後半で遠からず1%という雰囲気だった。日本の金融環境は最も緩和的で貸出金利1.1%、米国は3.4%だったという。 

しかし時の政権、安倍政権は思い切った金融緩和を要求してきた。日銀法改正まで持ち出して強要した。政策委員にはリフレ派が送り込まれ、白川さんは半年の任期を残して辞任したのだ。 

そして黒田さんが総裁に就き、「2年で2%」を掲げ2年で2%の物価上昇を宣言したが、10年たってもいまだ未達である。 

FRBをはじめ欧米の中央銀行は金融緩和策を採用、そのうちにインフレ傾向になり米国は8~9%、慌ててインフレ回避のために緩和策を縮小、「利上げ」に踏み切った。一方、日本は2%物価上昇目指し量的緩和策の継続だ。今、2.8%の物価上昇だが「好ましい物価上昇」ではないと言い、ゼロ金利政策を維持する。 

米国などとの金利差が生じ、円安が進む。併せてロシアのウクライナ侵攻でエネルギー、原材料の輸入など高騰し物価の上昇で国民生活はピンチだ。 

日銀、政府の円安試行は産業構造の変革を遅らせ、賃金はすでに20年も伸びていない。これからさらに緩和策の継続は金利差もあって円安が進む。財政出動で毎年30兆円を超える赤字財政だ。それを補うのが日銀の国債買い入れだ。 

財政ファイナンスは海外から厳しい目で見られている。財政の信任がどうなるか。日銀は4「国債保有は世の中に出回っている銀行券の量まで」と言っていたが2012年度末には超える。異次元な緩和は財政を劣化させるばかりだ。

物価の安定、金融システムの安定が中央銀行の役目だが、円安、ドル高、値上げラッシュが続く。異次元緩和をいつまで続けるのか。他国に追いつく出口戦略はあるのか。 

黒田総裁より白川元総裁の方が良かったのではないか。「経済は実験ができない」という専門家もいるが、今の危機を将来の危機回避に生かすにはどうするか考えるべきである。

 

0 件のコメント: