2022年10月1日土曜日

フリーランチ(ただ飯)はない:政府、日銀の財政、金融政策は国民の借金に

 

リーマンショック、新型コロナ禍、そしてロシアのウクライナ侵攻と世界はあわただしく変化する中で一国で発生した出来事が瞬時に世界を駆け巡り、我々の生活に大きな影響を及ぼす。そのたびに政府、日銀は国民生活を支えるために経済政策、金融政策を実施するが多大な出費が最後には我々国民に跳ね返ってくる。

フリーランチ(ただ飯)はないのだ。その時その時は政府、日銀に助けられたと思っても巨大な費用(借金)は積みあがっているのだ。 

グローバル化で金融危機も巨大化する。金融当局も市場の危機増殖メカニズムを過小評価していたことがあるという。前日本銀行副総裁の中曾さんが1990年代の金融危機で潜在不良債権を10兆円と見ていたが実際は100兆円を超えていたというのだ。金融機関ばかりでなくノンバンクも含めた金融システムが機能不全にかかったという。日銀の想定を大きく超えていたのだ。 

この教訓から中央銀行、IMFは金融システムの全体のリスクを早く察知、報告書を公表するようにしたという。 

中曾さんが言う。もっとも対応が難しかったのは97年の金融危機だという。最も大事なのは「危機の予兆を早く見つける」「最悪の事態を想定」「強い使命感」だという。グローバル化の今、各国中央銀行、財務省が情報交換しながら対応するのだ。G7,G20財務相・中央銀行総裁会議が定期的に実施されているのも危機対応の一環なのだ。

危機を鎮圧するためには財政出動、金融緩和で次の危機を回避する。市場が混乱すると中央銀行が救済に乗り出す。国民、市場は「政府、中央銀行が助けてくれる」ことと思っている。 

それが、各国により多少の違いはあるが量的緩和、マイナス金利、金利操作だ。 

日本も長く円高、株安で長期停滞感があった。安倍さんが「アベノミクス」で3本の矢を掲げ政権の戻ってきた。その第一の矢が異次元の量的緩和、非伝統的金融政策だ。市場にカネを回せば円安、株高になると訴え、当初はそう通り円安で輸出産業が活気を呈してきた。 

政権、日銀は2%の物価上昇を掲げたが9年たっても未達だが、同じように量的緩和で対応した欧米はインフレになり「利上げ」に転じたが、日銀はゼロ金利を維持して景気回復に対応した。しかしFRBとの金利差で円売りドル買いが続き円安が進む。ロシアのウクライナ侵攻も加わり輸入品、原材料の物価高で国民生活は窮地に立っている。 

日銀は国債の買い入れで政府の赤字財政を支援し、株の買い入れで株価を維持、市場の期待に応える。 

しかし、その結果はコストが発生しているのだ。国債の発行残高(1000兆円を超えている)の50%を超える国債を保有、株の買い入れETFも51兆円になろうとする。 

円安などによる物価上昇を抑えるためにはFRBとの金利差を縮小するために「利上げ」が必要になる。日銀がいつ、利上げの踏み切るか。時間の問題だろう。国債、株の放出は日銀の収益が減り、政府収入も減る。 

また、政府は危機のたびに国民の生活を守るために財政出動する。今、国の税収は約68兆円、約36兆円が赤字財政で国の予算は100兆円を超える。今回も物価高など経済対策で2021年度の30兆円を超える補正予算の声も出ている。その財源をどうするか。国債の発行に頼れば国の借金は最大の規模になるだろう。 

政府、日銀の財政政策、金融政策は国民の負担にかかっているのだ。「フリ―ランチ」はないのだ。

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