2009年9月4日金曜日

自民党復権への道




 衆議院議席296から119へ、自民党の大惨敗の結果に終わった。
 
 先の衆院選は、自民vs自民の戦い
 今回の選挙で、民主党は自民党大物議員、問題議員へ女性新人候補を当てるなど、自民vs民主のであったが、前回は郵政民営化賛成派の自民vs郵政民営化反対派の自民の戦いで、刺客とは言うが自民党が自民党の仲間を制するモノであった。結果は、獲得票数では賛成、反対が拮抗するモノであったが、獲得議席数は自民党が296議席と圧倒的に多かった。

 小泉さんはその後「改革なくして、成長なし」をスローガンに思い切った改革を断行していった。年金問題では「加入していたかどうか」が問題になり、小泉さんは「人生いろいろ、会社もいろいろ」と自分の加入問題もはぐらかす奇妙な答弁に終始した。

 これだけ問題になっていた年金問題でも、不思議なことに民主党は小泉政権を追いつめる術がなかったのだ。

 そして小泉さんは、任期一杯で退く
 多くの続投エールを振り切り、国会会期延長もせずに任期一杯で退くことを決めた。兎に角、国会を延長せず、総理の座を退くことを急いだ。総理の座を禅譲された安倍政権で、年金に関する大問題が噴出したことを考えると、自分の政権で火の粉を浴びることを嫌ったのだ。新聞報道によると、後で「国会を延長しなくてよかった」と述懐していた事からもそのことは伺える。

 長老、キーパーソンによる政権たらい回し 
 小泉さんに再出馬の期待がかかるが、後に続く安倍、福田政権を作り上げた。しかし、参議院での「ねじれ国会」の状態でもあり、安倍、福田両総理は政策推進のために、民主党小沢さんに協力を求めるが、安倍さんは「あってもくれない」、福田さんは、小沢さんと話し合った連立構想も、民主党内の猛反発に会い破談に。党首討論で「誰と話したらいいのか、本当に困っている」と愚痴る始末だ。

 安倍さんは、体調を崩し政権を放り出したが、福田さんも「選挙に勝てる顔ではない」を理由に、これも政権を放り出した。このことは世襲議員のひ弱さを国民に見せつけた。

 度重なるたらい回し麻生政権が誕生
 たかが自民党総裁選が、何故こんな総選挙のようなお祭り騒ぎになるのかと疑問を投げかけた自民党総裁選で、マンガオタクで若者、無党派層に人気があると見た長老、キーパースンが麻生さんを担いだ。今、このようなやり方を批判している若手、中堅議員も雪崩を打ったように麻生支持で固まった。

 御名御璽など古い表現を使って所信表明をした麻生さんに、期待が集まったが、それは一時の夢だった。

 総理の資質、行政への不満、閣僚の不祥事で麻生政権は信頼を失う
 「選挙の顔」として選ばれ、選挙管理内閣の様相を示していたが、折からのリーマン・ショックで、世界的な経済危機に立ち向かわなければならなくなった。「政局より経済対策」を優先し財政出動に打って出た。08年、09年度本予算、補正予算と休む間もない財政出動に最後の方では、アニメ殿堂など愚かな箱モノ政策しか出てこない程になっている。

 麻生さん自身の素質の問題も出て内閣支持率は下がる一方、それに公務員制度改革の生ぬるさは、渡辺さんの離党へとなった。長年の構造改革も加わって格差社会が顕在化し、派遣社員の契約打ち切りは大きな社会問題になった。

 デイスカッションの苦手と言われる小沢さんとの党首討論でも、麻生さんには分がない。理論的主張は小沢さんに軍配だ。

 他に上げればきりがない。

 市場原理主義の構造改革からの離別
 「元々、私の場合は郵政民営化には反対だった」と言う発言も飛びだし国民はあっけにとられただろう。格差社会に対する批判がつのる中で、自民党はマニフェストで構造改革からの方針転換を唄った。

 小泉構造改革の真剣な総括が必要であるが未だやられないままの方針の転換だ。何故、総括が出来ないのか不思議だ。

 既に引退を表明していた小泉さんが、ある後援会で「自分が総理大臣についたのが、本当に良かったのかどうか」という発言をしたとメデイアが伝えていたのを聞き、小泉さん自身の総括もない事に、無責任さも感じる。

 過去の反省もなく、前へ前へ進む政治に不信感が募らないか。

 自民党でも若手、中堅議員はがんばっている
 若手、中堅議員ががんばっているのは民主党ばかりではない。自民党の若手、中堅議員もがんばっている。ムダ排除にはプロジェクトチームも出来、各省の政策の洗い直しをやっているし、メタボ国会も開催し国民とのタウン・ミーテイングもやっている。私も一度参加し「このような催し物では、年配者の参加申し込みが多いのでは」と質問すると、「いや、麻生さんが総裁になってから若者の申し込みも多くなった」と言う。

 政府とプロジェクトチームの政策の判断は、誰が見てもプロジェクトの言い分が正しい。麻生政権は官僚の言いなりの政策だ。

 自民党執行部も党員から見放されている
 選挙を控えて「麻生さんでは戦えない」という意見が続出し「麻生おろし」の動きも出てきたが、自民党執行部は、公認問題、選挙資金で脅しにかかったのだろう。反麻生の急先鋒だった、中川さんが議員懇談会で急に握手までした事からも伺える。

 選挙での敗北後も、これと言った方針が打ち出せず、首班指名で誰にするのかも宙に浮いたままだ。麻生さんも辞意は表明するも辞職せず、執行部も同様な状態で落選した前職が執行部を怒りまくるのも理解できる。

 自民党は党内から崩壊している
 次の核となる人が見つからないのだから、ドウしようもない。バラバラな状態で選挙に突入し、敗北後もバラバラなのだから組織として崩壊したのも同然だ。
 メデイアは、そんな自民党の映像流すので、重大さを目の当たりにする。本当にそうなのか。

 自民党復権への道
  いろんな手はあるだろうが、長期政権からの挫折は立ち直るにも茨の道だ。

  一番やらなければならないことは、民主党とは違った「自民党のあるべき姿」の構築だ。そのためには、旧来型の組織を引きずっていては理解されない。諸悪の根源かどうかは知らないが、勉強するグループは別として、モチ代、選挙資金を頼る派閥は解消すべきだろう。

 そして、国民の民意を汲み取った政策立案が大切ではないのか。今までの自民党の政策は官僚に頼った政策、企画会社の企画に頼りすぎてはいなかったか。自民党員が民意を吸い上げ、自民党員が政策を作り上げていく。そんなプロセスも必要になる。
 世代交代も必要だろう。折角設けた年齢制限も難なく破ってしまうやり方。あと1年で勤続50年で銅像が建つことを目指して高齢者が立候補し敗退する姿も見た。小選挙区で負けた党員が、今回の敗退のげんいんを作った長老や派閥の領袖、総理経験者の勇退を追求していたが、これが若手、中堅の本音だろう。

 今回の選挙でも、高齢の大物議員が民主党の若手女性候補に苦戦する姿は、見ていて滑稽だった。永年勤続などもっての他だ。若手を育てて世代交代する。議席を独り占めにしないことが重要だ。

 「政治と金」はクリーンに。政治資金規正法違反事件など起こしてはならない。

 民主党は鳩山さん、小沢さんと言うトップ2が、政治資金規正法で疑惑を問われている。小沢さんは秘書が政治資金規正法の虚偽報告で逮捕された。あっせん収賄の疑惑もあるらしいが、金を送った側は認めるが、受け取った側に認識がなければなかなか罪を問いにくい。

 小沢さんの政治力で、公共事業が取れると期待(誤解)して献金し続けたが、小沢さん側は何もせずに、タダ金を受け取るだけでは詐欺行為ではないか。鳩山さんだって、故人献金なんて、笑えないジョークだ。こっちの方は脱税の疑いも出ているらしい。細川政権の時の佐川急便事件の時のように自民党激しく追求してくるだろう。

 検察庁には、がんばって政界浄化を行なって欲しいが、民主党にとっては手痛いことになる。1人なら代わりに岡田さんや菅さんがいるので、何とかなるが、2人では致命傷だ。政権を譲り渡すしかない。

 こうなれば、野党である自民党にとっては復権のチャンスだ。
 若手、中堅議員を中心に、「新しい自民党」を構築することが先決だろう。

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