2012年8月25日土曜日

一向に改善しない円高、デフレ:日銀の金融政策は効果があるのか


日銀の金融政策は円高、デフレ対策に効果があるのか。毎月の金融政策決定会合が近づくと更なる金融緩和を日銀がやるのかどうかが問題になり、更なる緩和をやると市場は好感し株価は上がり為替は円安に動くが、追加緩和がないと市場はがっかりというところだ。

今までも日銀の決定は市場に一時的に影響があるが、長続きはしない。ところが米・FRBの動きは世界的にも注目され、9月に追加緩和に踏み切るのではないかと予測されている。

最近1週間の新聞報道では、米国の雇用の回復は遅れ、景気も減速懸念から追加緩和を検討しているらしい。方法としては2014年末までゼロ金利政策を延長することらしいが、15年度以降も継続する考えもあるようだ。

もう一つ、国債、不動産担保証券の資産を買い入れるQE3に踏み切るかどうかだ。しかし、米国経済指標は堅調という見方もあり、効果には疑問もあり、インフレリスク懸念もあることから異論があるようだ。

欧州経済はユーロ圏全体ではマイナス成長で、輸出の面から中国経済にも影響を与えている。

日本経済は、海外経済の減速、為替円高の影響はあるものの国内復興関連需要で堅調に推移し、「穏やかに持ち直しつつある」と判断している(最近の金融経済情勢と金融政策運営 2012.8.24 白川日銀総裁)。

そうは言っても、各国中央銀行の緩和政策の動きが出ると機械的にリンクしていないとは言っても、その動向は気になるようだ。

FRB、ECBが9月に追加金融緩和に踏み切るのではないかとの観測が強まり、様子見だった日銀も難しい判断を迫られるという(讀賣新聞2012.8.25)。

ところで、今の日本経済の円高、デフレ状況を見ると日銀の金融政策に円高、デフレ脱却効果があるのかと疑う。

産経新聞(2012.8.19)の主要企業アンケートによると優先的に取り組むべき政策は相変わらず「追加金融緩和など円高対策」が54%でトップだ。

日銀が今、金融政策運営をどう考えているかを先の白川総裁のレポートから知ることができる。

機会あるごとに日銀に更なる金融緩和が要求されるが、日銀は金融資産買い入れを来年6月末までに残高70兆円に積み上げようとしている。今57.8兆円だから更に12兆円の積み上げを行っている途中なのだ。金融緩和の効果は今後も間断なく強まっていくとみている。

金融緩和の波及効果として金融機関の貸出金利も低下しており、企業の金利支払いも低水準で推移し、低金利が企業の投資・支出の増加につながり、支出の増加が物価の上昇につながり、更にはインフレ率も上昇するとみている。

出発点はあくまでも金利水準の低下で、デフレからの脱却、物価安定の下で持続的成長を後押ししていると評価している。

一方で、最大の問題点は企業が国内での投資に魅力を感じていないと指摘する。外需を取り込み、内需を開拓することが必要で、政府の規制緩和、企業のビジネス・モデルの確立も欠かせないという。

当然だろう。企業は政府や日銀に規制緩和、更なる金融緩和を要求するが企業としてのイノベーションで売れる製品の開発など企業としての努力をしているのか。

円高については、日銀は特に何も言っていない。以前からマネタリーベースで通貨量が先進国の中で一番低水準にあり不足しているのではないかという民間エコノミストの指摘があるが、日銀は対GDP比で考えると先進国一高水準にあると反論する。

今後も政府債務残高問題で経済危機は続き、日本型の鈍化した市場が欧米などで長期間続く予測もある(「2050年の世界」英・エコノミスト誌 文芸春秋 2012年8月)。

日銀は「適切な金融政策運営に努めている」というが、一向に改善しない円高、デフレを考えると何か間違っているのではないかと考える。

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