2013年2月17日日曜日

日銀・新総裁は、白川総裁続投がベストではないか


日銀新総裁は、白川総裁続投がベストではないか。15年もデフレから脱却できなかったことで日銀の金融政策が批判され白川総裁が矢面に立っているが、冷静に考えると白川日銀総裁は間違っていないのではないか。「アベノミクス」の一本目の矢「大胆な金融政策」も「2%物価目標」を日銀は飲んだのだから、実施は任せたらどうなのか。

日銀は、今まで小出しとはいえ非伝統的な金融緩和政策をとってきたが、一向にデフレ脱却は出来ない。安倍総理の口先政策で今、円安、株高基調が続いているが今後どうなるかは不透明だ。麻生財務相が「まだ何もしていないのに」と言うように市場は期待感だけでリスク・オンに動いている感じだ。

新総裁に、金融緩和積極論者と見られる財務次官経験者、大学教授、国際金融機関総裁などの名前が上がり、さらに日銀、財務省の駆け引きが取りざたされ、○○さんなら円高に○○さんなら円安、株高が続くという。

「輪転機でお札をドンドン刷る」ことがデフレ対策に効果があるということが学説で立証されているのか。一説には否定されているという。

日銀総裁の条件も厳しい。組織を動かせる人と、政府と対等に議論出来る人、市場とも対話が出来る人など出てきているが、やっぱり日銀の仕事は、物価の番人、国民の生活の安定を確保することと、日銀は銀行としての業務だ。「最後の貸し手」としての大事な業務もある。

ただ、金融緩和積極論者だからというだけで大学教授、財務省OBを選ぶのは危険すぎないか。今国内では行き過ぎたインフレが心配されている。

参議院予算委員会では、民主党議員が質問で「2%物価目標達成まで金融緩和をやるのか、それとも2%達成が見込める手前で止めるのか」と行き過ぎたインフレへの警戒をにじませていた。安倍総理は、「日銀には、2%達成の責任を持たせるが、そこは専門家の判断に任せる」と言及を避けた。

金融緩和積極論者だとついつい行き過ぎたインフレへのコントロールを見失いがちだが、白川総裁のように2%物価目標に警戒する姿勢があれば、うまくコントロールできるのではないか。

「アベノミクス」の二本目、三本目の矢はどうなっているのか。

「アベノミクス」の二本目の矢「財政出動」も、国土強靱化を名目に公共事業のバラマキ(?)懸念が拭えない。補正予算をくわえ赤字国債の発行で財政再建の道も遠くなる。財政出動と財政再建は今のところ相反する道だ。安倍政権での財政再建への道筋も見えない。

三本目の矢「成長戦略」は、どうなのか。

規制改革会議の論点がメデイアに出た。経済活性化、民需主導の経済成長を実現するために大胆な規制改革を推進し、6月の成長戦略まとめに盛り込むという(「今後の規制改革会議の運営について」より)。

内閣府のHPから、規制改革会議 第2回規制改革会議で配付された資料2「これまでに提起されている課題の代表例」を開いてみた。国民一般、経済界などから寄せられた規制改革要望のうち、その代表的なものを整理し、分野別に列挙したものだという。

成長戦略は各政権毎に検討された課題であるが、相変わらず同じ内容が続く。逆に言えば一向に解決(実施)されていない内容なのだ。すべての項目が「○○すべきではないか」で結ばれている。

すべての項目で、利害が対立しているのだ。讀賣新聞(2013.2.16)の「規制改革59項目提示」によると、混合診療の拡大は医師会が反発、エネルギー/環境では石炭火力の建設手続き簡略化で経済産業省と環境省が対立、解雇規制の見直しでは労組が反発、農業生産法人の要件緩和では農協が反発という。

利得権益で改革攻防が続き、これでは成長戦略も検討した結果しか残らない。大きく政治問題に絡んでくるが、選挙が控えているとトーン・ダウンする。

経済も、先行き不透明な円安、株高基調、経済再生へ一歩を踏み出したかどうかも判断しかねる状況だ。

安倍総理のリーダーシップが試されるが、今のところは抵抗の少ない日銀に日銀法改正を盾に2%物価目標を迫っただけだ。

そんな安倍政権だから、金融政策こそしっかりした舵切りが必要だ。行き過ぎたインフレへの警戒、国民、市場への説明責任、国際的にも評価されており、中央銀行としての銀行業務に通じている白川総裁続投しかないのではないか。

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