2013年2月21日木曜日

民主党衆院選・政権運営総括案:何か評価すべき点は無かったのか


民主党の衆院選・政権運営総括案が公開された。あらゆる面で否定的記述だが、何か一つでも胸を張れることがなかったのか。これでは一時的とはいえ民主党を支持した国民が浮かばれない。

自民党・福田政権の時、福田総理と民主党・小沢代表(当時)との間で民主、自民で連立政権構想が話し合われたが、政権交代を目前にした民主党幹部の反対で挫折したことがある。この責任をとって小沢さんが代表辞任を言い出した時、「民主党は未だ政権を担当できる力は無い」といったことがあるが、この3年3ヶ月の民主党政権で、このことがはっきりしたことになる。

国会審議で自民党政権を果敢にせめていた民主党議員の姿と、政権について閣僚になっての姿に大きな乖離を感じざるを得ない。

しかし、何か良いことはなかったのか。

鳩山元総理の政権運営は余りにも稚拙だった。何の根拠も無く普天間問題を混乱させ、「政治とカネ」の問題は国民の信頼を失う結果になった。小沢さんに担がれた総理だったが、「担ぐのは軽くて、パーがいい」を実践したような総理だった。

「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズは良かったが予算の担保もないマニフェスト の内容が明らかになるに従い政権公約の権威を地に落とす結果になった。数人のエキスパートが作成したと言っても政策作成、決定プロセスの曖昧さも明らかになった。

民主党最初の政権を託す人が間違っていたのだ。手堅い岡田さんだったらどうなっていたか。小沢さんでは岡田さんは無理だのか。

その小沢さんの存在は「権力の二重構造」がついて回った。小沢さんが動けば総理の存在感はなくなっていった。鳩山さんの功績は、ともに「政治とカネ」問題で悩む小沢さんを抱き込んで辞任していったことぐらいではないか。

続く菅元総理は、市民運動か出身だから権力には強く当たる傾向があった。「官僚は大馬鹿ものだ」と豪語し「脱官僚」を強引に進めたが、官僚の協力がなかったら何も出来ないことも実証した。

そして菅さんはいろんな意味でついてなかった。中国漁船の領海侵犯ではAPECを控えて中国に配慮しすぎた。3.11東日本大震災は未経験の大震災であったし、福島第一原発津波被災は広範囲に放射能汚染をまき散らす未曾有の大災害になった。

被災地復興で非難されたが、東電の福島第一原発からの総員待避(?)を拒否し、首都圏をも含めた広範囲の避難を回避した功績はあるのではないか。色々混乱はあったが評価すべきだと思う。

参院選でも唐突な消費税増税を提案し惨敗に終わったが、その後の消費税増税への道筋への一歩になったのではないか。

でも、往生際の悪さには閉口した。

最後の野田総理も「決めるのは、私だ」と政治を前へ進める意気込みは評価出来るではないか。自民党政権時代に先送りされていた政治課題へ果敢に取り組んだ。

政治生命を賭けた「消費税増税」を含む社会保障と税の一体改革は、財政再建、社会保障への道筋をつけたことになる。

民主党は総括で、「解散時期の見定めを誤った」としているが、「近いうち解散」もこれ以上先送りすればもっと惨めな結果になっていたのではないか。補正予算などを組んで政権の人気を挽回してからの衆院選を目論んでいた民主党幹部もいたが、そんな可能性はあのときはなかった。

「総理が決断すれば、政治は前へ進む」ことは当たり前と思っていたが、それを実証して見せてくれた野田総理だった。海外特に米国では認められていた総理ではなかったか。

実現可能性の少ないマニフェストで政権につき、尽きない党内のゴタゴタも加わり、たらい回しの政権で続く閣僚の不祥事は、国民に恥をさらし続ける結果にはなったが、古い体質の自民党政権にない斬新さを出そうと努力した点は評価出来るのではないか。

総括案では、もう少しがんばった点を出していっても良かったのではないか。そうでなければ、「党創生に向けた提言」で「改革政党としての旗を掲げ実行に向けて邁進する」と言われても信ずる国民がどれほどいるか。


3年3ヶ月の政権で、国民に良かった点に言及できない民主党に再生の道など無いと思う。




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