2013年2月5日火曜日

デフレ脱却のトリガー(引き金):賃上げか、企業収益か

企業収益改善が先と主張
する経団連

政権あげてデフレ脱却、円高対策に取り組んでいるが、そのトリガー(引き金)は賃上げか、企業業績の改善が先か。春闘も絡んで議論が活発になってきたが、経営者側は相変わらず「企業業績の改善が先」と言えば、労働界は「賃上げで消費拡大」を主張する。

デフレ脱却、円安→輸出など企業収益改善→雇用創出、給料増→消費拡大などの経済再生の道筋が描けるが、企業の収益が改善しても直ぐに給料の上昇には結びつかず、国民が景気回復を実感でき消費増に繫がるには相当の時間がかかる。

それでは遅すぎ、連合の立場もからんで「賃上げ」でデフレ脱却へ向かえという。

政府も、給料を上げたり雇用を増やした企業には法人税で減税する政策を打ち出しているが、連合の古賀会長は「そんな案に乗ってくる経営者がいるのか」とテレビで半信半疑のコメントしていたのを思い出す。

今の日本経済は、金融緩和で市場にはカネがダブついており、日銀の口座には43兆円もの資金が預けられたままになっているという。無借金経営の企業が4割にもなり、売り上げは減るが、設備投資せず、賃上げせずに内部留保に努め、その額は260兆円にもなっている。

賃上げが先と主張する
連合
先の経済財政諮問会議で麻生財務相が「内部留保を取り崩し、借金を組んで何故、投資しないのか。そこから先に何故、カネが出ないのか。そこんところが問題なのだ」と発言し、民間委員が「その辺もストレートに議論したらどうか」と提案していた。

あのノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授も「今の企業収益は、労働者を排除しての結果だ」と言う意味の発言をし、雇用確保、賃上げの必要性を説いていたように思う。

春闘になると経営者は、お決まりのフレーズの「先行き不透明」として賃上げ抑制に熱心だ。普段は業績好調で経営力を誇張するが、賃上げだけは避けたいのだ。

このデフレ脱却、日本経済再生は政府、財界、労働界が協調して当たらなくてはならない。

今、必要なのは経営者の意識改革ではないか。

政府に「ああしてほしい、こうしてほしい」とねだるばかりで、魅力を感じる投資先が見つからないと言う。

では、規制緩和をすれば見つかるのか。ならば政府に具体的にどういう分野かを提案すべきではないのか。

人にも投資すれば良いではないか。労働者を排除していては、その付けは必ず日本企業に降りかかってくる。古い言葉だが、このままでは良質な労働力の再生産が覚束ないのだ。

今、為替は1ドル93円台、株は11200円台と円安、株高基調が続いている。実体経済へ安倍政権が打ち出す政策が効果を出しているのではなく、まだ安倍総理の口先政策だけの効果だ。米国経済の好調、欧州経済が一段落していると言うが、米国では8月には又デフォルト危機が控えているし、欧州経済危機の再燃も心配の種だ。

海外の政治・経済状況に左右されることは仕方ないことであるが、国内経済再生のしっかりした道筋を政府は示すべきだ。

[後記]
読売新聞(2013.2.6)によると、5日、実施された経済財政諮問会議で、雇用や所得の増大に結びつける策について協議され、安倍総理は「業績の向上している企業には、報酬の引き上げ等を通じて、所得の増加に繋がるように協力をお願いしていく」と企業側に賃上げへの理解を求める考えを示したという。
                        (2013.2.6)

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