2013年11月3日日曜日

米・FRBの量的緩和縮小:経済、労働指標だけでは踏み切れないか

FRBと同じ問題を抱える日銀本店
米国・FRBの量的緩和(QE3)縮小は、経済、労働指標だけでは踏み切れないのではないか。順調に行けば今頃は縮小を開始し、来年半ばまでに終了、金融政策も正常化するはずだった。しかし未だ量的緩和政策は継続している。

一方、市場はいつも予想を違えている現状で、「どのように出口戦略を進めるのか」、疑心暗鬼にかかっているのではなかろうか。

そんな中で、WSJ(2013.11.2)で、セントルイス連銀・ブラード総裁の発言記事とフィラデルフィア連銀・ブロッサー総裁のインタビュー記事が掲載された。

ブラード総裁は、労働市場の改善が付けば縮小を始める量的緩和派、ブロッサー総裁は批判的立場だ。

ブラード総裁は、労働市場の改善が続けば債権買い入れを通じた景気刺激策を縮小し始めると言う。確かに労働市場改善目標は就業者数20万人増であるが、一時19万人増まで行ったが、9月は14万8000人増で目標を遙かに下回った。

インフレ率も2%目標を下回っているのだから政策変更には懐疑的だという(予想では13年10~12月2~2.3%)。

量的緩和縮小には、「労働市場が回復しているという確信」が必要なのだ。

一方、ブロッサー総裁は、経済指標に依存する考え方、バランスシートの問題を政策金利と分けることについて、FRBは明確にしてこなかったと指摘する。

そこで、FRBのバランスシートに具体的な数字を設定し、債権買い入れの限度を定めたらどうかと提案する。

経済指標では、その時その時で変動し、今のように「縮小緩和に踏み切る機会」を逸することになると言うのだろう。

ブロッサー総裁は「バランスシートに数字を設定し、発表した瞬間に、経済指標への依存はなくなる」と考えている。

示唆に富む提案ではないか。中央銀行だってバランスシートは大事だ。

FRB は米国債を毎月850億ドル(約8兆円)買い入れているが、過剰なマネーが出回り資産バブルを起こして危険だという指摘がある。

日銀も国債の買い入れを実施しているが、その資金は日銀当座預金に貯まる一方で、9月26日には100兆円を越えるという。市場には回らず比較的金利の良い当座預金に貯まっているのだ。

日銀だって、資本金1億円の株式会社だ。国債買い入れで潰れることはないだろうが、日銀の経営にも影響するはずだ。国債下落ともなれば影響は少なくない。

以前の経済財政諮問会議で、「日銀の財政状況にも注意しなければならない」と民間議員が指摘していた事が記録に残っている。

「ゼロ金利下での金融政策は効果がない」というのが経済学会(?)の常識ではなかったのか。早い正常化を願う。



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