JGL 2007.No2 上段はしぜん影響のみ 下段自然影響+人為影響 自然影響と人為影響を加味した方が気温上昇と相関在り |
日本学術会議が地球温暖化対策促進で緊急メッセージを発した。今世紀半ばまでにCO2排出を実質ゼロを目指す必要があるが取り組みが遅く経済社会システムの早急な変革を訴え、市民が消費行動などを通じて取り組みを加速することを求める緊急メッセージを環境省地球環境局長に提出した(朝日新聞2019.9.20)。
温暖化による生活や健康への脅威を避けるためだという。地球温暖化対策というとイベントが始まれば動き出す。今回も23日からニューヨークで「国連気候行動サミットが予定されている。
これほど騒がれているのに平均気温1.5℃未満(2.0℃未満)に上昇を抑制する削減計画「パリ協定」をCO2排出量第2位のアメリカが離脱し、第1位の中国は負担を恐れて「発展途上の大国」と抵抗する。
日本は第6位だが26%の削減を計画しているが、これで一体どのくらい平均気温上昇抑制に貢献できるのか。専門家の試算では0.001℃という。それでも80兆円の巨額な投資が必要で費用:;効果では疑問がある。
ところで、地球温暖化の要因は何なのか。CO2人為説と自然変動説の主張が平行線のまま一致点が見出せない。
CO2人為説は、その根拠を日本の地球シミュレーターの解析結果に負うところが大きい。CO2排出量と世界の平均気温の関係から大きな要因となるのだ。仮説に過ぎないという批判もあるがこれが事実になって、今削減計画が検討されている。
一方、自然変動説によると、今は小氷河期からの回復期で30~50年周期の自然変動で2000年ごろがピークだという。アラスカ大の赤祖父先生が提唱される説だ。今、CO2の排出量は増えているが平均気温の上昇は停滞している(ハイエイタスという)ではないかという。
赤祖父先生は地球温暖化の要因にCO2量も無視はできず、1/6はCO2、5/6が自然変動だという。「もうすぐどちらが正しいか分かる」と。
環境問題はオスがメス化しているとか、ダイオキシンとか社会的に騒がれては消えていく。丁度地球温暖化が持ち上がったのはそういうテーマを探していたときで、まず政治家が飛びついた。日本で言えば竹下さんが会議に出席したのだ。
科学的検証も十分でないままに政治課題になってしまった。環境問題に取り組む団体で「温暖化ムラ」ができ、巨額な費用が使われている。
日本学術会議も以前、討論会を実施したが、CO2人為説と自然変動説で意見が平行線をたどり一致点が見出せなかったという新聞報道を見たことがある。
また、エネルギー・資源学会が「出発点で十分なコンセンサスを得ないまま予防原則に重点を置いて議論を進めることは大変危険である」と「新春 e-mail討論会」を実施した。メンバーは赤祖父(アラスカ大)、江守(国立環境研究所地球環境研究センター)、伊藤(横浜国立大)、草野(海洋研究開発機構 地球シミュレーターセンター)、丸山(東工大)の各分野の専門家だ。
エネルギー資源学会の新春E-Mail討論 |
その結果は、エネルギー資源 Vol.30、No2(2009)にまとめられている。それぞれ多くの資料を提示しながら自らの主張を展開されている。是非一読すべきだ。自然変動説の赤祖父先生、CO2人為説の江守さん以外の専門家がどう考えているかが分かる。
その中で参考になったのは、気象学から考えると「3℃を中心に半分から2倍の範囲に実測値が入っていれば理論家としては満足なのだ」という。3℃というと1.5℃から6℃の範囲内ということか。
だとすると2℃未満に抑えるということは気象学から言えば1℃から4℃の範囲ならいいということか。
横浜国大の伊藤先生は「多様な観点から理解し合えないのも悪くはない?」という。むしろ正しいか、間違っているか分からないCO2人為説で突っ走ることこそ危険ではないか。
2009年3月10日、日本学術会議は分析委員会で「地球温暖化問題解決のためにーー知見と思索の分析 われわれの取るべき行動の選択しーー」を公開した。
それによると温暖化はほぼ確実に起こることを予測するも詳細は不確実性が大きくそれを考慮して対策の検討をしなければならないと提言、問題解決のために自然科学、社会科学の知見を動員した総合的検討が必要という。
しかし、専門家が集まって検討を行ってきたが理路整然とした科学的地図を描き出すことは難しいという。
急いでことを進めると費用vs効果で失敗する可能性もあるし、歩みが遅いと平均気温は上がり異常気象が続発する。自然変動説で様子を見る余裕があるか。
近年、地球温暖化は「停滞」しているのだ。
JGL 2014.No3 CO2排出量は増えるが平均気温は停滞 黒線が平均気温 |
CO2の排出路湯は増えているが、この15年ほど平均気温の上昇は止まっているように見えるのだ。ハイエイタスといい注目を浴びている。
自然変動説を取る人は「それ見たことか」というがCO2人為説を取る人は海洋の700m以深で蓄熱量が増えているためで、後10年もすると戻ってくるという。
難しい。気象学、物理学の専門家も含めてしっかり検証すべきだ。
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2019.9.25掲載
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