国民の民意は下位でありながら安倍総理が執念を燃やす憲法改正、9条に「自衛隊明記」は自衛隊違憲論の何を解決できると言うのか。たとえ明記したところで違憲論は変わらないと思うのだが、自民党憲法改正推進本部はどう国民に説明できるのか。
むしろ現行9条の意味するところ、議論の争点を明確にし広く国民に議論を起こすべきではないか。国会での憲法審査会の動きが鈍い点に国民投票法案の改正で与野党の意見がまとまらないところあるようだが、「憲法改正を議論しよう」と自民党が提案してもこれではどうしようもない。
そんな時、朝日新聞(2019.9.3)「私の視点 自衛隊の在り方議論不変」と言うタイトルで首都大学東京法科大学院 富井教授の記事が目についた。
それによると、憲法に自衛隊を明記しても自衛隊違憲論は解決しないという同感だ。
現行9条でも他国からの武力攻撃を武力で排除する自衛権は否定されていない。自衛権との釣り合いで安全保障を考えなければならない。問題は①自衛隊は何をするか、②必要最小限の武力、適切な規模はどうかと言うことなのだというが法解釈になじまないし、安全保障も国際情勢などの脅威の評価によって決まる。
富井先生は政治的プロセスでの熟議が必要でそれを前提にオープンな国民議論で必要合理的な自衛隊を構築すべきだと提言している。的を得たわかりやすい解説である。
国際的紛争、安全保障が脅かされている現在、為政者にとってはどういう国際貢献ができるか頭を悩ませているのだ。自衛隊の派遣は憲法違反と考えて費用負担で多額の資金を拠出しても評価されず、「人を出せ、汗をかけ」と要求される。
切羽詰まって「非戦闘地域でのPKO活動」に参加するが、派遣された地域は戦闘地域で宿舎に砲弾が飛んでくる。日報で現状を報告すると国会対策上まずいと思って日報隠しが始まる。当初はそんな日報はないといっていた防衛省もよく探したらあったという。シビリアンコントロールにも反していたようだ。
小泉政権の時国会審議で野党から「派遣先は非戦闘地域か」と聞かれ小泉総理は「そんなことを聞かれても私にわかるはずがない」と珍答弁をして失笑を買ったことがある。「まず派遣ありき」なのだ。
今、要請されているホルムズ海峡の安全確保も米国の「有志連合に参加すれば問題がこじれる」と見て、情報収集のために護衛艦を独自派遣するという。万一の時は正当防衛、緊急避難の範囲内で武器が使用できるそうだ。
また自衛隊の規模も「適切な規模か」ということも議論されていない。F35、オスプレイ、イージス艦、イージスアショアなど中国や北朝鮮の脅威を煽り軍事費は5兆円を超えている。トランプ大統領は「シンゾーは何か言うとすぐ買ってくれる」と言う。
安倍政権に任せていると、為政者の都合のいいように憲法解釈を閣議決定したり、脅威をあおって高額な米国製兵器を購入する。憲法改正で9条1,2項をのこしたまま自衛隊明記で、解釈がどう整合性されているのか。
「国の新しい姿」を構築するのであえば自衛隊の本来の姿、適正規模、国際貢献の在り方など政府はもっと国民に情報を提供し広く議論を起こすべきではないのか。今は一人安倍総理がヤキモキしている状態ではないか。安倍総理の任期中に衆参両院で発議し国民投票し新しい憲法を制定することは無理だ。
今まで一度も改正したことがない憲法改正に初めて手を付けたのは私だという安倍総理の欲望に乗ってはいけない。
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