2019年11月4日月曜日

今日の新聞を読んで(302):MMT理論は「異端」ではなく、堅実な理論なのだ


米国でも論争になっている「現代金融理論」(MMT)で提唱者の一人であるニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が「自国通貨発行権のある国は赤字が積みあがってもインフレになるまでは赤字でもいい」というような財政出動論をぶち、この理論の根拠は日本経済だと紹介したことがあるが、多くの専門家は財政健全化の観点から「異論」「異端」の理論だと批判が集中したが、そんなことはなさそうなのだ。

朝日新聞(2019.11.2)の読書欄で「MMT現代貨幣理論入門」の書評を書いていた京大名誉教授の間宮先生は「経済の変化を映す 堅実な議論」だと真逆の意見を書いている。

常識(?)で考えると政府債務増→国の信用落ちる→国債売却→金利上昇→貨幣価値下がる→物価急上昇→債務返済不可能→財政破綻だ。「国破れて借金残る」ということだ。

日本も国、地方合わせた謝金は1050兆円、対GDP比200%と先進国一悪いと言われているIMFも財政健全化で警告を発している。

米国内でもクルーグマン教授やFRBのパウエル議長は否定的見解で「非主流派のバカげた解釈」と批判する。しかし、米国内でもMMTの支持者が多いという。基軸通貨ドルで借金出来る。米国はドルを印刷すればいいのであって財政破たんなどありえない」というし、政界でも財政出動し社会保障や温暖化対策の充実を訴えている。

これに対して間宮先生は「堅実な理論だ」と評している。

それによると、ゼロ金利に設定しても設備投資は増えず、量的緩和に移行しても貸出量は増えない。これはカネの量ではなくて経済が変質して質の問題だという。

この点は納得できる。十分な検証もせずに量的緩和政策をとる政府、日銀は反省すべきではないか。

そして、MMTは金融政策の限界を踏まえた財政政策重視の貨幣理論だという。この理論で批判的な点は、政府の支払い能力に限界がないという点らしい。でも変動相場制の下ではデフォルトの心配はないのだ。主権通貨にはデフォルトの心配はなくこのMMTは制度的事実から導かれた理論で会って「堅実な理論」というのだ。

MMTはそういう理論だったのかと見直す。でも借金は気になる。見境のない財政出動には抵抗を感じる。

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