2021年5月15日土曜日

菅総理の「理解度」で決める「新型コロナ対策」の危うさ、問題は総理の「質」か

 

国が難局に直面した時、時の総理の「考え方」「理解度」が政策に大きく影響することは分かっていたが、今回の新型コロナ対策でもそのことが露になった。

新聞報道によると、群馬、石川、広島、熊本、岡山の5県に「まん延防止措置」を追加する案に分科会の専門家が「手ぬるい」との異論を突きつけられ北海道、岡山、広島を緊急事態宣言の対象にする修正が加えられた。 

政府は「まん延防止措置」で様子を見る策だったのだろうが新型コロナ禍はそんなことではダメな事態になっているのだ。菅総理の「理解度」が不足していたのだ。

分科会もこの局面でひそかに動いたと新聞は伝える。「単に原案を追認することはないようにしよう」と。政権中枢と専門家の危機意識には大きな落差があったのだ。 

14日夜の記者会見でも「見通しが甘かったのでは」との質問に「専門家の強いメッセージを出す必要があるとの意見で判断した」と言うが、記者会見では菅総理の説明より尾身会長の説明の方が長かった。 

菅総理は最後は政治判断と言うが、頭に中には「経済再生」「東京オリンピック開催」「地方経済の疲弊」「企業決算の二極化」「補償問題」などが入り混じって、あらゆる面で判断を鈍らせ、「後手後手」との批判を受けているのだ。 

緊急事態宣言は出来るだけ避け、「まん延防止措置」で様子を見、その結果で更に強化する安全策を取っていたのだが、どんな策でも成果が見えてこない。 

記者に問われて、「減少傾向にある」と答えるが具体的に何が、どうと言うことでの説明がない。短い発言で誤魔化している 

五輪関係の質問でも「安心、安全な大会開催は可能」との一点張りで「開催前のめり」に変わりはない。先の国会審議でも開催可能性の是非の判断条件は示すことができなかった。 

日本のメデイアは官邸の目が恐いので何も言わないが海外のメデイアは開催中止の発言だ。「ぼったくり男爵」とも批判された。「カネ、カネ、かね」のIOC会長なのだ。5月の訪日は中止になったが6月には来たいらしい。「中止」の世論の盛り上がりに気が気でないのだ。 

あらゆる面で菅総理の対策に「あいまいな面」が目立つ。それが「後手後手」と批判される。その要因は総理の「認識の甘さ」「理解度の不足」にある。 

それだけ、総理の質が問われるのだ。

遠くは日本国憲法草案作成時の幣原総理は「終戦後、日本が世界で生きられる道はこれしかない」と「戦争放棄」をマッカーサーに進言した。マッカーサーも驚くほどだったという。

近くは3.11東北地方太平洋沖地震、津波、福島第一原発事故対応での民主党・菅総理だ。福島第一原発事故対応では批判が多かったが、たとえ自民党政権でもうまくは行かなかっただろう。勇断は中部電力の浜岡原発の運転停止要請だ。 

浜岡原発が事故を起こせば放射能汚染は東京首都圏にも及ぶ。日本の政治経済が破綻することだけは避けたかったのだ。浜岡原発は何時起きるかわからない東海地震の震源域のど真ん中にあるのだ。当時中部電力の社長は強く反対したが、総理の要請は重みがあると運転停止し今に及んでいる。 

そして今回の新型コロナウィルス禍での対応はどうだったか。アベノマスク、緊急事態宣言と解除、生活補償と安倍政権は右往左往し、今菅政権は引きずっている。

昨年だったか、「あの田中角栄さんが総理だったらどうやっていたか」と問う記事があった。「政治とかね」で失職したが、知りたいところだ。

今後も「総理の質」が問われる難局が続くだろう。永田町の人気投票で決まる役職ではない。

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