2010年4月18日日曜日

消費税論議:選挙を恐れず提案する政権を

為政者って本当にやらなければならないことを先送りするが、いい顔をして人気を保つ為の一心からか。

増税は誰だって嫌なモノだ。特に今のように収入の減った低所得化社会では、受け入れづらいモノである。過去にも増税を言って倒れた政権がある。政権政党の政治家にとっては触れたくない政治課題なのだ。

高支持率を保った小泉さんだって「在任中は上げない」と逃げたし、鳩山さんは「4年間は上げない」とマニフェストで誓った。小沢さんも「衆院選でのマニフェストを変更する必要はない」と参議院選をまえに、増税論議を避ける。

すべて政権維持のためだ。

一方、世論調査では、国民は「社会保障費の目的税のためなら」増税に寛大な考えだ。社会保障費は、黙っていても今後毎年1兆円増える。それを賄うためなら仕方ないというのだ。

又、「日本経済の破綻も目の前である」とIMFも警告する。日本の債務残高は860兆円を超えた。国民の総資産が1400兆円とすると、10年後には日本経済は破綻するというのだ。財政再建策が要求されている。

増税は経済成長には足かせになると反対する人もいるが、一方で財政健全化は金融面では評価されるだろう。経済が活性化し税収が増えれば問題ないのだが、今のような経済事情では、財政出動か財政再建かは迷う。

でも今やるべきことは、税金のムダ遣いを排除し、税制の見直しをすすめ、増税へ持っていくべきである。

選挙を恐れず、必要なプロセスを強力に進める。そんな政権が今望まれるのだ。いい顔をし人気を保とうとするニセ為政者は必要ないのだ。

2010年4月17日土曜日

アイスランド火山噴火:噴火時期が同じ浅間山にも噴火警報




4月14日に発生したアイスランド火山の噴火で、大量の噴煙が流れだし欧州の主要空港を閉鎖させ、物流をはじめ、経済に大きな影響を与える危険が出てきた。もくもくとわき上がる噴煙を見るとその脅威が伝わってくる。

ところが驚いたことに、このアイスランド火山噴火と、我が国の浅間山の噴火は過去には全く同時期に発生しているのだ。

アイスランドでは1783年に、今回の噴火の地点から60kmほど離れたラカギガル火山列でも噴火し、北半球で気温低下が起きたという。

1783年というと、浅間山が大噴火した天明の大噴火がある。大洪水が発生し利根川流域で甚大な被害が発生し、大飢饉ももたらした。

この噴火で、火口の東側に位置する軽井沢から碓氷峠、高崎などに降下火破物が堆積、軽井沢で180cm、坂本で120cmの火山灰が積もり、家屋倒壊や火災が発生した。碓氷峠は2~3ヶ月不通になり、火山灰は成層圏まで達し、世界中の気候変動の要因となった(この項「火山災害の研究」 損害保険料率算定会 平成9年9月)。

「天明の大飢饉」と言われているが、アイスランドの火山噴火も影響していたことになる。

アイスランドでは、1783年と今回の2010.4月14日の大噴火であるが、浅間山はどうだったのか。

新聞報道によると、気象庁は4月15日に浅間山噴火警報を解除している。と言うことは同じ時期に浅間山も噴火の危険があったのだ。

浅間山は、1783年以降も小規模の噴火をしているらしい。その状況は、寺田寅彦の随筆集(第5巻)「小爆発二件」で知ることが出来る。昭和10年8月の4,17日に噴火を経験している。物理学者としての観察は鋭い。

アイスランドの火山噴火は決して他人事ではないのだ。

噴火にあった日に東京に帰ろうと沓掛駅で汽車を待っていると、今浅間山から下りてきた学生と4人づれの登山者が登山道を上りかけていた。学生は「何でもない、何でもないですよ」と言うのを聞いて、寅彦は「ものをこわがらな過ぎたり、怖がりすぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることは難しい」と書き残している。
写真左:アイスランド火山噴火を報じるニュースゼロ 日本テレビ
写真右:浅間山の小噴火で発生した噴煙 2009.4.9

現実味を帯びてきた衆参ダブル選挙

総理になった時期が悪かったと言えばそれまでだが、「政権交代」の希望を持たせすぎた。支持率の下落の要因が、鳩山総理自身の問題であるから、内閣改造をしたって挽回するはずがない。

鳩山さんが総理を辞任した場合のことを前提としているが、衆参ダブル選挙の考え方もちらほら見えてきた。それだけ政権への信頼が落ちてきているのだ。

内閣支持率も20%台前半という厳しい結果も報告されている。次ぎに予定されている「事業見直し」も、政権は劇場化を目論んでいるようだが、前回のこともある。大きな期待はしていないのではなかろうか。寧ろ厚生労働省が率先してやっている自らの見直し作業で確実に実績を上げていった方がよいのではないかと思うのだが・・。

米国政府、安全保障という大きな問題を抱え込んだ、普天間移設問題の「5月末決着」に鳩山さんは自信をのぞかせているが、周辺は決着の定義を緩和しようとしている。「5月末(マツ)決着」は、実は「5月未(ミ)決着」の間違いだったと言い訳するのではないだろうか。

「政治とカネ」の問題で、自身の元公設秘書の判決が22日に予定されている。内容が明らかになるだろうが、「知らなかった」では全く説得力がない。おまけに民主党のトップ2人がカネの問題でスキャンダルを抱えているのは異常である。こんな政治家が海外で評価されているとはおもえない。

鳩山さんは、消費税について4年間は増税しないと言っている。今もその考えを変えていないようだ。しかし、財政は悪化の一途をたどっている。国、地方の債務残高は10年度末で862兆円になるらしい。対GDPで181%は先進国で断トツの悪さだ。まだ国民の資産は1400兆円(実際にはもっと低いか)あるから、国債も国民が買い支えられると言うが、それも後数年の話。財政再建への道筋を説明すべきであるが、選挙が怖いので避けている。

一国のリーダーたる者は不利益なことにもしっかり言及し、道筋を付けるべきである。

公約違反も問われそうだ。野党時代にその政策の背景もろくに考えずに、ただ自民党政権の政策に反対の考えを発信し、その延長線上でのマニフェストになった。政権について現実が目まえに迫るとうまく行くはずがない。早いうちにマニフェストの見直しと国民への説明をしていれば良かったのだが、理想論に燃えすぎた。
一方、頑なに実行しようとしている「子ども手当」も、評判が良くない。直接支給よりも施設を充実する方が良いという。保育園で親に聞いてみても「ひどいバラマキですね」という。

「安全保障のあり方」「米国追随外交」など見直すことはよいことだと思う。今までの改革も米国の要望事項に沿ったモノであることは今では誰でも知っている。在日米国大使館のHPを開けば見ることが出来る。しかもこれに沿って検証報告までされているのだ。誰だって見直しには賛成である。

しかい、普天間移設問題でこじれた日米関係は、米政権、めでいあ殻「ばか者」扱いされている。米国の信頼を失った政権に明日はない。

鳩山さんは、総理の座を降りるべきであるが、国民の信を問わない総理の交代はない。自民党政権での総理の首のすげ替えを批判していたのは民主党だ。

衆参ダブル選挙の現実味が出てきた。
国民不在の政局が始まるが、連立政権、政界再編など一気に解決して欲しいと思うが、混沌とした政局しか思い浮かばない。

2010年4月16日金曜日

ネット選挙:政治に参加する場を広げることになるか

自民党、民主党がインターネットを選挙に利用できるように、公職選挙法を改正しようとしている。その中で「選挙運動用電子メール」「選挙中のHPの更新」が課題に上っている。更に、今はやりのツウィッターへの書き込みも検討されている。

若者の政治離れが進んでいるが、一方若者に言わせれば「政治に参加する場」が少ないという。そう言う意味では、ネット選挙は「政治に参加する場」を広げることになる。

しかし、まず心配なのは、国民(有権者)が、それ相当のマナーを持って参加できるかどうかだ。選挙は熾烈な闘いになる。一番心配なのは誹謗中傷のたぐいだ。

自分の政策を売り込む正当法での運動よりも、相手を中傷する方が手っ取り早くて、効果があるとはベテラン選挙運動員の弁だ。次の参院選では民主党が複数区に2人目の候補者を立てて競い合わせる方法を採って過半数獲得を目指しているが、相手側のスキャンダルより、同じ党の候補者のスキャンダル集めの方が容易だと言った人もいる。

そのスキャンダルも事実に基づいたモノであればよいが、事実無根の内容だと始末が悪い。弁護士の儲かる結果になりかねない。

匿名性があることから、書き込みが無責任になりやすい。ネット新聞に投稿していた経験から、匿名でなくても酷い言葉遣いと、無意味な内容のモノがある。それに一々反論していると大変なことになりかねない。

また、書き込みが大衆迎合になりやすい。偏った意見が多いのだ。例えば、インターネット新聞では、小沢さんの政治資金疑惑で、ほとんどが小沢さん擁護の書き込みだったり、自民党寄りも民主党寄りの意見が多かった。

当初は政治家も参加していたインターネット新聞からも、だんだん政治家が離れていった。その原因の一つに、意見が偏りすぎていることが指摘していた。

ツイッターも手頃なツールにはなるが、140文字以内で意見を書き込むのは大変だ。余程うまい書き込みでないと、真剣な議論など出来るはずがない。

それに、このことも重要なことであるが、一方通行に終わりやすいことだ。

こんなことがあった。先の衆院選で民主党が圧倒的多数の議席を獲得したが、各党の総得票数から考えると民主党、自民党でこんなに大きな開きはない。政権交代も大多数の支持を得たわけではない旨のメールを各党のHPのご意見欄に記入したが、返事が返ってきたのは公明党だけだった。

連合のHPの「問い合わせ欄」に、「連合は民主党の主要支持団体である。何故、連合は民主党のトップ2人の「政治とカネ」の問題で、国会の証人喚問や参考人招致に応じるよう要求できないのか」と記入したが、未だかって返事はない。

問い合わせや意見には誠実に答えることが、政治への場を広げるためには必要であるが、どう考えるのだろうか。相手にされない、なしのつぶてでは候補者から離れていくことになる。

「政治への参加の場」を広げるツールとするのは、それなりの対応が必要になる。一方通行では、賛同は得られない。

鳩山民主党政権は、国民の恥になっていないか


時の首相が、米国大統領との親密さで、その力を鼓舞することは理解できるが、それだけに米側の信頼を失うと国民に「恥」をかかすことになる。

今回の核安全サミットを機にした米国大統領との首脳会談が、昼食前の10分間だったことの背景に、普天間移設での米側の不信感があることは誰が見ても明らかだ。

その時の2人の写真、参加者全員による記念写真での鳩山さんの立つ位置が、最後列の右端だったことからも、どう評価されているかが想像できる。

ワシントンポスト紙がコラムで「哀れで ますます いかれた鳩山首相」と、我々の総理を酷評したことが話題になっている。駐米大使が、これに絡んで不快感を示したと報道されている。

確かに国民にとっても「恥」であるが、これほど「バカにされる」まえに、一国のリーダーとして、どうしなければならないか、鳩山さんはよく考えるべきである。

国民の支持率が20%台になった首相に、外交で海外のリーダーがどう付き合ってくれるのか。ほとんど相手にされないのではないか。自民党時代の麻生首相のことを思い出してみればいい。国内であれほどバカにされていては、外交で相手にされなくなったのは当然の結果である。

70%程の高い支持率があれば、普天間移設でも米側が譲歩する余地もあるだろうが、20%台では、無視されるのが当たり前だ。

「政治とカネ」の問題で民主党トップ2人が、スキャンダルを抱えていることも致命傷だ。今、7ヶ月前の勢いは民主党にはない。

これ以上国民に恥をかかせるのは止めて、「民主党らしい」クリーンさを求めて体制の再構築を急いだ方が良いのではないか。民主党政権であれば、鳩山さんや小沢さんでなくても良いのだ。
写真:ワシントンポスト紙のコラムの内容を報道する読売新聞 2010.4.15夕

温室効果ガス観測衛星「いぶき」:温暖化検証に期待







CO2,水蒸気、メタンやオゾンなど大気中に含まれるこれら微量物質が存在するから、地球の平均気温は15℃であるが、なければ-18℃と言うからその存在意義は大きい。

ところで地球の平均地上気温は、どう変化しているのか。その検出は観測点が陸上、先進国に偏在しており、人口排熱や土地利用形態の変化もあるが2~3℃/100年と見られている。一方、平年偏差の長期的な変化から0.6℃/100年という数値もある。これが日本では1℃/100年になるから問題視されている。

地球温暖化の実体はどうなのか。産業革命以降、大気中のCO2濃度が上昇していることは常識でも分かることだが、ホッケー・ステイックと呼ばれる急上昇には驚く。こんな傾向がどういう観測結果から得られるのかも地球温暖化CO2原因説を懐疑的に見ている人からは反論されている。

地球温暖化人為説を支持する研究者は、気温の観測値とコンピューター・シミュレーションの理論値を比較した場合、自然現象だけでは説明できないが、CO2を考慮すると観測値と理論値が合うと主張する。懐疑的な研究者は、CO2ではなく自然変動説を主張する。
太陽の活動などから温暖化ではなく、寒冷化に向かうのだという。

地球温暖化は、専門家による科学的な検証が不十分なまま、いきなり政治的課題に挙がってきたことが、今の混乱の原因の一つになっている。穿った見方をすると、政治家等が利権で動いているらしい。

鳩山さんは、総理就任直後の昨年9月22日の国連気候変動サミットの国際舞台で、「90年比25%」削減目標をぶち上げた。米、中などが削減努力をすることを前提にしているが、国際評価とは裏腹に国内では展望を欠く民主党案と批判されている。

07年度の世界のCO2排出量を見ると、290億トンのうちで、中国が60億トン(21%)、米国58億トン(20%)、日本は4%だ。その日本が1/4削減したって全体量から考えるとCO2濃度削減は微々たるものだという。

地球温暖化対策は、莫大な投資が必要であるし、対策によっては家計や企業に負担を強いる結果になる。

実効のある対策を進めるには、もっと地球温暖化人為説を検証すべきである。
そんなときに、温室効果ガス観測衛星「いぶき」が活動を始めたことを、NHKクローズアップ現代「宇宙から温暖かを監視」(2010.4.14)で知ることが出来た。

観測点は、今ままで約200カ所ぐらいであったのが、5万6000カ所に大幅に増加した。中国は排出に関する情報を国家秘密にしていたようだが、宇宙から監視されては秘密に出来なくなった。

しかも、広範囲に監視できるので、今まで見逃されていた排出源が見つかる可能性があり、排出削減に大いに貢献できる。パイプラインからのリークは当然あるが、これも監視してリークを防止する新しいビジネスも立ち上がっている。

なんと言っても正確な観測値を得ることが出来ることだ。実測値に基づき将来の予測も正確さが増してくる。

こういった研究で、地球温暖化対策に貢献できることは日本のお家芸だろう。政治家、利権者の駆け引きではなく、科学的に対策を講じるきっかけになって欲しい。
写真上左:地上の平均気温 観測値とシミュレーション理論値の比較  自然現象だけでは理論値に合うわず、人為説を加味すると合う (JGL vol3,no2 2007)
写真上右:「いぶき」での観測データ NHKクローズアップ現代
写真下:世界各国の07年度CO2排出量 中国21%、米国20% 日本4% 中国が米国を抜いてトップに

2010年4月15日木曜日

ごり押し公共事業の重いツケ、反対者の意見に耳を貸せ


15日のテレビ朝日スーパーモーニングの「地滑り大滝ダム」を見ていて、改めてごり押し公共事業の重いつけを感じた。

奈良県川上村の大滝ダムは、伊勢湾台風の教訓から洪水対策として38年かけ、3200億円を投資して2003年に完成した。しかし、この地は、崖推で地下を断層が走っており、35年前から専門家は地滑りの危険を指摘していた。

これを受けて地域住民は強固に建設反対を訴えた。しかし、村は建設に合意し計画が推進された。2003年に完成し、試験貯水を始めると、民家に地滑りの兆候が現れ、住民は避難、対策検討委員会が設置され原因究明が行なわれた。

結果、貯水したために地盤に圧力がかかり地滑りが発生したという。住民は、専門家の警告を無視したダム建設で人災と訴えた。国は「対策を講じれば、問題はない」と判断した。

報道によると今は、廃墟になり、昔は助け合って生活していた地域住民はバラバラで、移転先には13軒が移っただけだという。

住民は、国に対して「損害賠償」を求める訴えを起こしたが、裁判所は地滑りの予見可能性は認めたものの、損害賠償は認めず、住民側敗訴の結果だった。

こういった公共事業では賛否両論出るのは当然としても、安全面で考えた場合、反対者やその側に立った専門家の見解が正しかった例が多い。

計画を推進する側は、別に専門家の検討委員会などで、自分たちの都合の良い見解を出させて正当性を主張する。利権がらみの問題もあり中止などできないのだ。

今、計画の推進が問題になっている八ッ場ダムも、50年の歳月と4600億円を投資して未だ完成していない。ここも計画段階から地質学者などが地滑りの危険を指摘していた。
つい最近の新聞報道で、工事中に地滑り危険が分かり、対策工事で付け替え道路の開通が半年遅れるとのことだった。

事業者である国や自治体よりも、地域住民の方が良く分かっている例が多い。

地域住民の貴重な意見は最重視しなければ、無駄な投資になることを為政者は知るべきだ。地域開発事業では、特に注意すべきだ。
写真:大滝ダムの試験貯水で地滑りが発生し、水を抜いて調査した結果。50箇所以上の亀裂が走っていたという。2003年4月ごろのテレビニュース画面より