2010年4月16日金曜日

温室効果ガス観測衛星「いぶき」:温暖化検証に期待







CO2,水蒸気、メタンやオゾンなど大気中に含まれるこれら微量物質が存在するから、地球の平均気温は15℃であるが、なければ-18℃と言うからその存在意義は大きい。

ところで地球の平均地上気温は、どう変化しているのか。その検出は観測点が陸上、先進国に偏在しており、人口排熱や土地利用形態の変化もあるが2~3℃/100年と見られている。一方、平年偏差の長期的な変化から0.6℃/100年という数値もある。これが日本では1℃/100年になるから問題視されている。

地球温暖化の実体はどうなのか。産業革命以降、大気中のCO2濃度が上昇していることは常識でも分かることだが、ホッケー・ステイックと呼ばれる急上昇には驚く。こんな傾向がどういう観測結果から得られるのかも地球温暖化CO2原因説を懐疑的に見ている人からは反論されている。

地球温暖化人為説を支持する研究者は、気温の観測値とコンピューター・シミュレーションの理論値を比較した場合、自然現象だけでは説明できないが、CO2を考慮すると観測値と理論値が合うと主張する。懐疑的な研究者は、CO2ではなく自然変動説を主張する。
太陽の活動などから温暖化ではなく、寒冷化に向かうのだという。

地球温暖化は、専門家による科学的な検証が不十分なまま、いきなり政治的課題に挙がってきたことが、今の混乱の原因の一つになっている。穿った見方をすると、政治家等が利権で動いているらしい。

鳩山さんは、総理就任直後の昨年9月22日の国連気候変動サミットの国際舞台で、「90年比25%」削減目標をぶち上げた。米、中などが削減努力をすることを前提にしているが、国際評価とは裏腹に国内では展望を欠く民主党案と批判されている。

07年度の世界のCO2排出量を見ると、290億トンのうちで、中国が60億トン(21%)、米国58億トン(20%)、日本は4%だ。その日本が1/4削減したって全体量から考えるとCO2濃度削減は微々たるものだという。

地球温暖化対策は、莫大な投資が必要であるし、対策によっては家計や企業に負担を強いる結果になる。

実効のある対策を進めるには、もっと地球温暖化人為説を検証すべきである。
そんなときに、温室効果ガス観測衛星「いぶき」が活動を始めたことを、NHKクローズアップ現代「宇宙から温暖かを監視」(2010.4.14)で知ることが出来た。

観測点は、今ままで約200カ所ぐらいであったのが、5万6000カ所に大幅に増加した。中国は排出に関する情報を国家秘密にしていたようだが、宇宙から監視されては秘密に出来なくなった。

しかも、広範囲に監視できるので、今まで見逃されていた排出源が見つかる可能性があり、排出削減に大いに貢献できる。パイプラインからのリークは当然あるが、これも監視してリークを防止する新しいビジネスも立ち上がっている。

なんと言っても正確な観測値を得ることが出来ることだ。実測値に基づき将来の予測も正確さが増してくる。

こういった研究で、地球温暖化対策に貢献できることは日本のお家芸だろう。政治家、利権者の駆け引きではなく、科学的に対策を講じるきっかけになって欲しい。
写真上左:地上の平均気温 観測値とシミュレーション理論値の比較  自然現象だけでは理論値に合うわず、人為説を加味すると合う (JGL vol3,no2 2007)
写真上右:「いぶき」での観測データ NHKクローズアップ現代
写真下:世界各国の07年度CO2排出量 中国21%、米国20% 日本4% 中国が米国を抜いてトップに

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