2010年2月26日金曜日

新卒者の就職難:このままでは、必ず企業に付けが回ってくる

JR高崎線で東京に向かった。見慣れた車内風景であったが、今回はやけに就職活動をしている女子学生の姿が目立った。
 隣に座った女性は、就職活動にお決まりの黒のスーツに、黒のカバン。クリアー・ケースから取り出した書類は履歴書で、再チェックしているようだ。短大生らしい。就活セミナーのペーパーも持っている。自分の長所、能力をどう説明するかが重要だという。

同じような姿の女性が、他に4人いる。こんなお決まりのスーツ姿だと、異なるのは顔と体型だけだ。面接官はどうやってその人の能力を見いだすのか。服装ぐらい個人のセンスに任せても言いと思うのだが、そうはさせないのが就活で金儲けしている業者がいるためか。

しかし、大企業の業績は好調と言うが、5.5%という失業率の高さ、0.4倍という有効求人率の低さはいまだ続いている。売り手市場から買い手市場に、更に厳選採用となれば、急に雇用が好転するなど考えられない。

昨年末の時点で、高卒、大学卒は75%前後、短大卒は30%程度という。国を挙げて就職活動を支援しているので、今はもう少し良くなっているだろう。

国を挙げて就職活動を支援している。IT産業、医療・介護、福祉分野が成長産業だと言うが、現実はそんなに甘いモノではない。昔の経済学では、「古い産業が衰退し、新しい産業が興隆するときは、労働力もスムーズに新しい産業に移動する」と習ったが、そうはいかない。

企業は、リストラの裏では、内部留保を増やしているという見方もあり、私も「内部留保を抑えて、雇用の確保をしたらどうか」という記事を書いたことがある。最近では共産党が「内部留保は、2007年末で120兆円ある。派遣労働者らの賃金は合わせても1.2兆円ぐらい。もっと雇用に回せないか」と国会で追及したことがある。

鳩山さんは、「内部留保に課税すること検討してみたい」と言ったが、経済界は猛反発した。

内部留保は、税引き利益、税金、配当金、役員賞与などを差し引き留保し、再投資に当てるモノだが、実際には手許金は少なく、投資有価証券などらしい。各社どんな形で持っているかは分からないのだそうだ。

でも、こういう新卒者を採用し、社員教育、社会人教育をし、いろんな人と接することにより常識のある社会人として成長し、結婚し子供を育て、次世代の優れた労働力を再生産することが大切なのだが、就職の機会を失するといろんな教育を受ける機会もなく、人生に希望が持てなくなる。

これは国家の大きな損失である。

将来、優秀な労働力が確保できなければ、即企業の首を絞めることになる。このような就職難は、企業にとっては大きな付けとなって返ってくる。リストラが企業の収益に大きく貢献する事態をもっと真剣に考えるべきだ。

町工場は、最後の最後まで雇用維持に踏ん張っている姿を企業経営者は、見習うべきではないか。

2010年2月24日水曜日

上野・アメ横:売り手と買い手の腹のさぐり合い


昔、東京に出張したときの帰り、アメ横で「すじ子」を買って帰った。チョット塩味だったが安かった。家内は北海道育ちで「すじ子って、塩味は安く、甘味の方が高いの。品物に気をつけなければ・・」と言った。それ以来、アメ横での買い物からは遠ざかっていた。

 その上野・アメ横に久しぶりに行ってみた。

 夕方になり、客が込んでくると、売り子の声も大きくなるのだろうが、まだ昼間でそう多くはない。レジ袋を下げた通行人も少ない。聞くと御多分にもれず売り上げは落ちているらしい。

 依然と変わったのは、回転寿司の店が多い。三浦三崎港は105円から、活魚大江戸は126円から、まぐろ市場、扇すし、海鮮築地などこの界隈に15店舗程が出店している。三浦三崎港は長い待ち行列が出来ているが、隣の回転寿司は余り客が入っていない。どうしてこんな出店になったのか。競争の激しさが伺える。

乾物店は、値下げ競争はせず、堅実な売りをしているようである。

一番売り手と買い手が値段交渉しているのが鮮魚店だ。

呼び止められて立ち止まると、「大トロ 8,800円、中トロ 5,800円あわせて2000円でどうだ」という。「別々だと1000円でいい」ともいう。「多すぎない」と言っていた年配の夫婦が、「これにしましょう」と中トロを1000円で買って行った。

売り子に「これとこれ、更にこれを合わせて1000円と言って、ちゃんと利益を計算しているんですか」と聞くと「計算なんかしていない。薄利多売で20円、30円の儲け、赤貧洗うがごとしだ」と笑う。

 大トロと言っても冷凍品で、切り身の仕方がそれらしくはない。すり切れて、薄汚い発泡スチロールの箱から出してくる。一度は「大トロ8,800円」と言うが、値札で売ろうとはしない。必ず「1000円だ」と言う。

 勘ぐればうまく考えたモノだと思う。恐らく、お客は値札で買って食べてみると騙されたと思うだろう。しかし「1000円だとするとまあ仕方ないか」と思うはずだ。

チョット先の鮮魚店に行くと、「大トロ3000円、すじ子2000円、合わせて1000円でどうだ」と声がかかる。一度その場は通過し、2度目に通ると同じ売り子さんが「社長、社長 500円でどうだ」と追いかけてきた。いきなり社長とおだてられた。さっきはお兄さんだ。

 どうもこの界隈は、1000円、500円が相場らしい。これに何品付けるかで儲けをはじいているようだ。大トロを「8800円で買よ」というと必ず断ってくるかも知れない。もともとそんな価値はないのだ。逆に「騙された」と訴えられるのが怖い。

売りのパフォーマンスもすごい。焼き栗を露店販売していた男性が、紙袋の口を広げ栗を鷲掴みで数回分ほうり込む。更にサービスぶって、数回追加でほうり込む。買い手は何故か儲けたように感じるが、売り手は最初からの作戦なのだ。カメラを持っていた私に「カメラマンさん 食って行けよ」とサンプルを渡そうとする。

買いを急がす方法もある。御徒町店開店のためのオープニングセールをバッグ店がやっていた。「今度御徒町に店を開店するための記念に、今から2時まで、全商品3150円です。お急ぎください。ビニールではなく、すべて本皮です」と呼び込んでいる。店内にはいると2~3万円の値札の付いたバッグが配列されている。ブランド品でも塩ビ製があったと思うが。

 「市場経済」の基本は「だまし」だ。負けてくれる裏には何かがある。それと分かっていれば、アメ横ほど面白いところはない。

2010年2月23日火曜日

「政権交代」を幻想に終わらせないために

選挙の度に負けた側は「地方選挙と国政選挙は違う」と主張し責任論を弱めようとするのが政権与党の常套手段だ。今回の長崎県知事選は、10万票に近い大差で敗れた民主党から、そんな声が聞こえてくる。

 長崎県政には、九州新幹線長崎ルート、諫早湾干拓事業、石木ダム、県庁舎移転など大規模事業に賛否両論がある。

そんな中で、副知事だった自民党系の中村さんは、経済団体幹部の作る「新知事をつくる県民の会」の養成で立候補し、37年間の実績から即戦力が期待された。一方の民主党系の橋本さんは、民主党県連の要請で、「若さ」と「金子県政刷新」を掲げて戦ったようだ。

 国政選挙とは違うと言いながら、候補者選び、中央から現職大臣や党の要人が応援に駆けつける。中村さんは副知事経験者だから、県政のことをテーマに上げることが出来るが、橋本さんは農水産省出身で中央からの応援者は、県政よりも国政の話になりがちだ。地方選と言いながら、国政選挙の様相を呈するのは当然かも知れない。

 そうなると、「政治とカネ」の問題は避けて通れないが、バンクーバー冬季五輪の熱戦が長時間放映され、政治問題は影を潜めていたので、もっと接戦になるかと思っていたが、意外な大差が付いた。

 先の衆議院選では、長崎の全4区で民主党が圧勝したが、それは何だったかと疑問が出てくる。新人や落下傘候補が善戦するには、現職の県会議員や市町村議員の支持者を動員しなければならず、当然何らかの利益誘導が中央からあったのだろう。

 しかし、今回は様子が違う。

 私も過去に組織票の一員であることを経験したが、組織の締め付けも支持政党の勢いが上向いている時はよいが、今回の「政治とカネ」のような問題が出てくると、締め付けも弱まりかえって逆効果になるのだ。しかも、民主党政権の政策の効果が実感としてまだ湧いてこない時期だ。

 民主党も恐らく組織への働きかけをやったと思うが、トップ2人が「政治とカネ」の問題をかえていては、支持も得にくいだろう。

 しかも、テレビ報道で、応援に来た閣僚が露骨な利益誘導している映像が映った。斬新な政治を目指していたはずが、選挙になると旧態然とした選挙戦を展開していたのだ。公共事業の見直し、事業仕分けが話題になっているときに、これでは有権者の反感を買うばかりだ。

長崎県民は、中村さんに金子県政の継承ばかりでなく、独自性も要求するだろう。一方で、政権与党との関係も気になるところだろう。今まで陳情、予算付けで露骨な民主党への票の取り込みをしていたことを考えると、難しい決断になったモノだ。

 この長崎県知事選での民主党の大敗は、政治の流れが変わって来たことになるのか。このままでは,本当に[政権交代は幻想だった]ことになるのか。

 小沢さんは、「政治とカネ」の問題では、地方行脚で聞かれれば答える意向であるようだが、民主党有権者の内々での説明では何の意味もない。国会の場でしっかり説明すべきである。鳩山さんだって、国会に任せるのではなく、自ら証人喚問を受けると言えば良いはずであるが、小沢さんの問題もあるので調整が付かないのだろうか。

 いずれにせよ、国民の期待を裏切らず、民主党がこの苦境を乗り越えるのは、小沢さん、鳩山さんの決断次第だ。

2010年2月19日金曜日

町工場の「モノづくり」を支える若者のネットワーク







ここ東京都大田区は、日本経済を支える町工場が多く、その生み出す製品は、区役所3階のホールに陳列されている。陳列と言っても天井からワイヤーで836個が吊されている。小さいモノではネジやスプリング、大きいモノでは絞り製品であるH2ロケット先端部もある。実に見事な製品や先端技術が紹介されている。

 その大田区の産業プラザで、今、第14回凍土技術・技能展「おおた工業フェアー」が開かれている。大田区や秋田、新潟をはじめ近県と広域連携した中小企業が出店し、商談も活発なように見える。

 大田区内の企業もモノづくりを広げるために、アジア9カ国に製造拠点を海外に展開しているが、中国60社、インド33社と市場が期待されている2国が圧倒的に多い。

 しかし、海外に生産拠点を移さなければ生き残れないが、一方で国内では雇用が減り、税収も減る。なんと言っても国内で活況を取り戻さなければいけない。

 知り合いの銀行員に聞くと「中小企業も、30~40%に落ち込んでいた売り上げも最近は60~70%に戻してきた」と言うが、売り上げが10%落ちると大騒ぎになっていたことを考えると、まだ大変な経営環境だ。

 聞くと、加工業も忙しい所と暇なところと二極化しているようだ。廃業したところもあってか、この2月はドッと問い合わせが増えるという。競争は「時間とコスト」で、当然「作り方」を工夫しなければならず、仕事としてはきついという。

各社似たような製品、技術で競っているが、「モノづくり」に若者のネットワークが活用されていることに気づく。異業種の若者が集まり、アイデアを出し合っている。

 「TEAM職人魂」は7社の若き職人に漫画家や独立法人の研究者が加わり、面白い技術を紹介している。昨年は多足ロボットを試作し、テレビなどでも紹介されていたが、今年は「スターリングエンジン」を提案している。ヒーターと水冷、ドライアイスと常温の温度差を利用して動力源にするのだ。デモ試作器が出展されていた。聞くと20~40代の若者が月一回集まり、デイスカッションしている。

「THE連携」は、二代目加工集団で7社が加わって二代目の新現役が「モノづくり」をサポートするという。跡継ぎがいなくて廃業する町工場が多い中で、二代目への世代交代がうまく行った例だ。ものすごく忙しいらしい。「時間とコスト」との闘いなので、技術集団としてのネットワークは欠かせない。

 国だって黙ってはいられない。2007年問題と言われた団塊の世代の退職に際して「技術の継承」の必要性が叫ばれた。経済産業省も人材育成を支援した。

 東京工大でも中小企業向け人材育成講座を開設、社会人交流に寄与している。仕事の経験もあり、目的意識もしっかり持って参加しているので、学生とは大違いのようだ。1人30万円はかかるが、希望者は多い。若者が異業種の技術者と交流できた効果は絶大で、プログラム終了後も付き合いが続いていると言う。

今回は、福祉用移動機械「歩行椅子」のブレーキを開発するテーマが与えられ、3チームが、試作機を作り展示されている。時代の要求にもあった開発プログラムだ。

このような若者や中小企業のネットワークづくり、技術交流は各地で起こっている。異業種の若者が集まり、情報交換する。人脈づくりは、「モノづくり」の底力だ。海外の企業に負けない力の源になって欲しい。

2010年2月14日日曜日

この政治の閉塞感を打開するには


この強い指導者は、自分の考えを十分に説明しなくても周りが忖度して、意に沿うように政治を進めてくれるが、そうでない指導者は、自分で考え、方向性をキチンと示さなければならないが、それでもなかなか付いてきてくれない。

 今の政界を見ると、閉塞感が漂い、消えない。その原因は民主党政権の中枢にいる政治家にある。バカだチョンだと言われ、辞めて欲しい総理がなかなか辞めないので閉塞感もあったが、まだ自民党政権の方が面白かった。メデイアも新聞の投書でも言いたいことを言うことが出来た。

ところが、鳩山さんは発言が結構変わる。その時々の調子で話しているらしい.閣僚の発言と正反対の発言をして、後で閣僚が訂正或いは言い訳をしなければならない場面がある。私にだって、何を目指しているか分からないのだから、政治ジャーナリストにとればなおさらだ。

 それが、小沢さんに至っては説明不足を側近が忖度し、かえって行き過ぎた対応をとる結果、強権政治、恐怖政治と言われるようになる。小沢さんは「本当の民主主義を目指す」と言うが、これがそうなのか。説明が足らないことは、代表を辞任するときに自ら認めていたことではないか。どうして説明しようと努力できないのか。

 小沢さんは、以前「私こそ変わらなければなりません」といって、不利と言われていた菅さんとの代表選に勝利した。しかし、小沢さんは少しも変わっていない。無口が益々存在感を増長している。

 官邸とのコミュニケーションが悪そうだから、マニフェスト遂行に当たっても正反対の舵取りになる。権力の二重構造を来しているから、外国の要人もお伺いを立てる。その結果、政府の立場はますます弱くなる。

今回の「政権交代」は、予想通り、いかんともしがたい政権を作ってしまった。

この閉塞感を脱するには「小沢さんの辞任」しかない。まず辞任して、すっきりした政権を築くべきだ。鳩山さんも、自分は「民主党のオーナーだ」という意識は強いだろうが、自民党から「平成の脱税王」とまで言われては身も蓋もない。辞めるべきだろう。

 更に、小沢さんは、不起訴処分になったからと言っても、市民団体は、検察審査会に「不当」の申し立てをする一方で、地検特捜部に2007年の4億円不記載での共犯として追加告発した。

 まだまだ小沢さんの闘いは続く。検察内部でどういう力関係が働いているか想像は付く。及び腰になるのも、情報を流すのも上層部だ。現場の検察は正義に燃えて捜査に当たっているだろう。小沢さんは公党の要職をバックに力を誇示するのではなく、一人で戦ったらどうか

 これを機会に、政治から金権体質を葬りたいモノだ。

 一方、小沢さんがいなくなると、民主党のまとまりが付かなくなると危惧する意見もある。しかし、小沢さんがいなくなると、それなりの離合集散が始まり、収斂する処に収斂するモノだ。逆にそんな一人のカリスマ性に依存した政局運営こそ危ういモノだ。小沢さんを辞めさせないとする人は、小沢さんで自分の存在感が保てる人なのだ。小沢さんがいなくなると、又誰かにくっついて生きていくだろう。
 
  「小沢さん、日本のためにお辞めなさい」が、正論だ。

2010年2月13日土曜日

どこまで民主党政権に期待できるか


東京では「政治とカネ」の問題で追求され仏頂面であるが、地方でのパーテイーでは満面の笑みを浮かべる小沢さんが、「政権交代した効果がもうすぐ出る」という意味の発言をしていた。

 民主党が掲げる「子ども手当」「農家の戸別補償」や道路拡充の効果がでてくるというのだろうか。いかにも参議院選を念頭に置いた戦略だ。

 政治とカネの問題に揺れる民主党政権への風当たりは厳しさを増す一方だ。共同通信調査での内閣支持率はついに40%を切ったし、小沢さんの辞職或いは辞任を求める声は相変わらず70%と高い。小沢さんはメデイアが小沢擁護の記事を書かないためだと強弁する。

物事がうまく行かないときは、現政権に厳しい見方をするのは常であるが、自民党のだらしなさもあって民主党への支持はまだ高い。鳩山さんも「民主党らしさ」を回復しようとしているが、今後は鳩山、小沢抜きでの民主党政権の構築が不可欠になりそうだ。

「政権交代」で何が変わったか。

 国会審議では、役人の答弁にかわって大臣の答弁になった。大臣も良く勉強しているのだろうが、残念ながらペーパーの棒読みが目立つ。法制局長官の答弁も禁止になったので、平の官房長官がうろたえる場面もあった。今後は枝野さんが法解釈の担当になるらしい。

 評価が分かれた「事業仕分け」も予算編成に国民の目を向かせた功績は大きい。菅財務相は、これから特別会計にも切り込むという。天下り財団には12兆円を超える税金が投入されている。効果を期待したい。

 「政治主導」も注目を集めた。国家戦略局への整備も始まるらしい。官僚主導の権現と悪名高かった事務次官会議の廃止も実施され、今回土壇場で異論が出て閣議決定が延期された公務員制度改革も予定されているが、支持母体の連合とどう調整するのか。鳩山さんのリーダーシップが問われる。

 短期間に改革を打ち出し、良くやっていることは分かるが、一方で期待はずれの場面もある。

 民主党は、野党時代に威勢の良いことを言い「開かれた政治」を目指したはずだが、外務省報奨金や核密約などで一歩踏み込んだが、機密費には口をつむぎ闇の中だ「政治とカネ」の問題では、鳩山さんは率先して証人喚問などを受けるべきであるが、多数を占める国会で否決されることを見越して、国会の審議に任せるという。

 マニフェストを錦の御旗に掲げての政権運営は、危なくなってきた。選挙目当てのバラマキ予算、政策であることは明らかで、現実を見ると実行に二の足を踏むモノもあり、予算確保に問題が残る。

 長期債務残高は、GDPの1.8倍の862兆円になり、IMFからも警告される羽目になった。消化が出来なくなれば、長期金利も上昇し、ギリシャの二の舞だと言われる。財政再建の道筋が見えない不安は、国民にもある。

 経済政策は、自民党時代の供給サイドから需要サイドに変わった。消費者に物を買わせようとする政策から、企業に売れる製品を作れと言うのだろう。

 成長戦略が見えないと言う不満に応えて、急遽「新成長戦略」を出してきた。そんなに急に出せるモノかと疑問に思ったら、案の定、旧政権の蒸し返しであるらしい。だとすると、野党時代民主党は反対を唱えた政策だ。それが与党になってどうして了となるのか。

 民主党に期待したい。民主党は、「鳩山、小沢抜き」のすっきりした政権で再出発出来ないか。その時は、小沢ブランドはなくなる時だ。

2010年2月12日金曜日

「君がいなかったら、秘書はこんなことをする必要はなかった」と


NHKの衆議院予算委員会集中審議を聞いていて、鳩山さんの口から、「君がいなかったら、秘書はこんなことをすることはなかったんだ」と竹下さんが言ったという言葉が紹介された。自分の疑惑事件で秘書を亡くした、あの竹下さんが言ったというのだ。なんとも含蓄のある言葉で、しかも鳩山さんの口から出てきたのは皮肉なことだ。

 小沢さんの資金管理団体の土地取引に絡み、元秘書だった石川さんが、離党する会見をした。それを受け、小沢さんは、「仮に今問われているのは、国会議員の職務、職責、権限に関して、その責任が問われているわけではないのだから、辞める必要はない」と囲い込み会見で発言した。

そのテレビ画面を見て、子供が「お前こそ、辞めるべきだよ」と叫んだ。多くの国民が、そう思っただろう。

 小沢さんは、議員を含む秘書ら3人が虚偽記載で起訴されたにもかかわらず、「政治的、道義的責任はある」としながらも、その責任を未だとらず、自分が不起訴になったことを良いことに、選挙活動を再開した。

 民主党や、民主党候補者は小沢ブランドにまだ期待しているのだろうか。

 鳩山さんも、集中審議で、野党時代の「秘書のやったことでも、私ならバッジを外す」発言が追求されていた。その時、その時の調子で喋ったという。自民党の後藤田さんからは、政治倫理綱領を持ち出され、言質の重大さを指摘されていた。

 母親からの巨額な政治資金は、脱税にあたり「総理は平成の脱税王だ」と与謝野さんから追求されていたが、「知らなかった」の一点張りで逃げ切ろうとしている。

 鳩山さん自身が知らなかったと言うことの真相を確認するためにも、鳩山さんの秘書、母親などを国会に呼んで参考人聴取出来るように出来ないかと詰め寄られていたが、「国会の決めること」と逃げる。

 自民党から民主党に変わっても、国会は変わりそうにない。

 野党である自民党は、議席を大きく減らし、国会を思うように動かすことが出来ない。そのもどかしさを「政権交代したのだから、変わったことを国民に示したら」と言うが、民主党2人のトップの不祥事だ。認めれば、政権がぶっ飛ぶ危険もあり、おいそれとは認めまい。

 「秘書がやったこと」、「知らぬ存ぜぬ」がいつまで通用するのか。その政治家を生かすも殺すも、選挙区の有権者の考え一つだ。常日頃の秘書の政治活動を見ながら選択すべきである。石川さんは「地域の代表として、議員活動を続ける」と言ったそうだが、国会議員は地域の代表ではない。

 国会議員は、どんな地区から選ばれようが、全国民の代表者なのだ。支持者の意見を聞けば「続けろ」というのは当たり前。世論の60%は辞任すべきだと言う現実を、しっかり考えなければならない。

 小沢さんの秘書も、鳩山さんの秘書も、小沢さんや鳩山さんがいなかったら、こんなことをする必要はなかったのだ。