2014年6月23日月曜日

「法人税下げ」を絶賛する経済財政諮問会議:会議は政権のyesマン、政策を議論しているのか

安倍総理ごり押しの「法人税下げ」を絶賛する経済財政諮問会議は本当に政策を議論しているのか、政権のYESマンの集まりで反対意見など見当たらない。こんな会議に日本の舵取りを任せていいのか。安倍政権の御用会議であることは分かるが、「万機公論に決すべし」とはほど遠い。

613日の会議が骨太方針の素案を検討したと言うことで経済財政諮問会議のHPから第11回経済財政諮問会議の議事録を開いてみた。

出席議員11人中、民間議員は4人、驚いたことにたったの40分の会議だ。

資料「経済財政運営と基本方針2014(仮称)」素案が配布され、甘利さんが司会をしている。指名に従って素案の議論をしているのだ。

話題になった「法人税減税」が評価されていることだ。

本当にギリギリまでご調整いただいた法人税減税で開始時期、方向性が示されたことは大変評価出来る(S議員)。

こういう形で基本方針に盛り込まれたことは、国際的な評価という意味でも非常に意味が大きい(I議員)。

民需主導の成長を実現していく上で、法人税下げは中核の政策、こういう形で決まったことで、今回の骨太の柱が出来たと理解している(T議員 )。

法人税減税については、財務省の意向を受けての発言かどうかは分からないが、麻生財務相は以前、「70%の企業が赤字で税金を納めていないのに法人税を下げて効果があるのか」と反対していたが、最近「財源が確保できれば」と賛成に回っている。安倍総理の強い意向に負けたのか。

10回経済財政諮問会議の議事録を見ると、民間のS議員が、欠損企業の比率は2009年の53.3%から2012年には36.7%まで改善しているという。法人税額も6.4兆円から9.8兆円、昨年は11兆円を越える見通しだという。

今までは65%の法人税を1%の企業は払っていたのだ。確かに日本を代表する大企業の税負担率の軽さ、巨大銀行の納税ゼロは本当に頭にくる。
会議の後半に自由に意見を述べる時間があった。今日本の置かれている状況が分かる発言を拾ってみた。

茂木議員が、法人税改革もやっている。是非民間サイドでも企業として設備や人材に投資して収益を上げ、税金をもっと払って行くというメッセージを出して欲しいと言うと、S議員が「出来るだけ利益を出して払えるようがんばっていきたい」と答えた。

民間企業の副会長だからそう言ったのだろう。

人材力の強化は民需主導の成長実現に向けてイノベーション、付加価値を創造することからも重要であると言う。人的資本を量的、質的に充実させていかなければならない。特に人材の量は人手不足としてマクロ経済に影響を与えてきている。

公共事業の要望が強いが、人件費、資材の高騰、人手不足で事業費の高騰が続きオリンピックの事業見直しはその代表例だ。これから経済への影響が出てくるのではないか。

今、アベノミクスの成果(?)で、経済は好循環に入りつつあるとみられているが、エネルギー問題をどう片付けていくかが大きな問題になっている。そこで、規制委員会の安全判定が出た後の再稼働と言うことになる。

現在火力発電に頼っているが、15%は老朽火力でそのうち30%がダウンするとブラックアウトを起こす危険があるというのだ。これらの対策を骨太の方針のエネルギーの項目でフォローしなければならないが、諮問会議でもフォローしていかなければならないという。化石燃料輸入も10兆円増でGDPの5.7%、CO2排出量1.43億トン増になるらしい。

非製造業の増加と共に製造業が減少傾向で、生産性も落ちている。人口減も合わせて考えると効率の良い企業にしていかなければならないのは当然だ。

産業全体として企業規模が余りに小さいところが多すぎる。会社を集約するなど抜本的なことをやらなければならないとも言う。石油精製は30%程程減らすことも考えているようだ。農業もそうだ。

経済の好循環は、復興特例法人税の廃止前倒し、賃上げでの税制措置、労使での賃上げの効果だと考えており、更に法人税下げも貢献すいてくる都見ており、今後は労働市場をどう返るか、生産性向上、果実を賃上げに回す仕組み作りを検討することになるらしい。

経済財政諮問会議は政権をヨイショする御用会議であるが、議事録には今の日本経済の問題点、これからの検討課題を垣間見ることは出来る。



2014年6月22日日曜日

理研・STAP細胞不正事件(5):小保方さんは、何故「説明責任を果たす」自信があるのか

「体細胞の分化状態の記憶を焼失し初期化
する原理の発見」2014.1.29
5月8日日 本論文の取り下げ勧告
これほど各機関からSTAP細胞に対する疑問が提出されているのに、何故、小保方さんは自分が検証実験に参加し「説明責任を果たしたい」と言える自信があるのか。「ES細胞の混入」、「ES細胞とTS細胞」の混入を不正行為と考えていないのか、200回成功した事例で成功を確信しているのか。

今まで持ち上がっているSTAP細胞に対する疑惑は、「STAP細胞はES細胞ではないか」、STAP細胞からF1幹細胞を作ったと言うが「ES細胞とTS細胞が混入」していたのではないか。そして若山さんの記者会見の発表から「STAP細胞の証拠がない」と言うことになる。

私は素人で分からないが、小保方さんはリンパ球に刺激を与えてoct4の発現で緑色蛍光を発色させSTAP細胞を作製した段階とSTAP幹細胞以降の実験を別と考えているのではないか。すなわち前段は小保方さんの仕事、後段は若山さんの仕事で、疑惑が持ち上がっているのは若山さんの仕事の範疇と考えていないか。

STAP細胞作製まではやるが死滅する細胞も多く、なかなか成功は難しい。でも成功させたと思わすために「ES細胞」、「TS細胞」を混入させたのではないか。それを若山さんがキメラマウスまで作ったと言うわけだ。

でもこの考えは間違っている。STAP細胞だとして若山さんに渡したのであれば、全て小保方さんの疑惑になるのではないか。

小保方さんは否定しているが、「ES」細胞は小保方さんの研究室で見つかったと言うし、「TS」細胞も見つかれば小保方さんの不正行為は明らかだ。

小保方さんが「200回成功した」というのは、笹井さんが言ったように「緑色蛍光を発現した段階」なのだ。

ところが、理研の検証実験は小保方さんのアドバイスを受けていると言うが難航しているらしい。小保方さんが「なかった」と言うまでは決着が付かないのだ(読売新聞2014.6.22)。

改めて、理研のHPから「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理の発見」(2014.1.29)を開いてみた。注意書きで本論文の取り下げを勧告したと記されていた(2014.5.8)。

何故、こんな分化した細胞を初期化することが考えられたのか。

細胞の分化状態をクローン技術、iPS細胞技術で初期化し多能性細胞、多能性幹細胞を作る技術は従来からあった。

小保方さんは、もっと簡単(?)に酸性溶液に浸漬することで初期化に成功したのだ。このような考え方は植物ではオーキシンなどの植物ホルモンを含む培養液を用いると初期化できるのだという。

理研の発表資料によると、小保方さんはマウスのリンパ球を用いて細胞外環境を変えることにより細胞の初期化への影響を解析した。化学物質や物理的刺激を加えて多能性細胞に特異な遺伝子Oct4の発現を誘導できるかどうかを検討、解析効率を上げるために緑色蛍光を発するように遺伝子操作されたマウスのリンパ球を使用した。

酸性溶液pH5.7で30分浸漬後、LIFを含む培養液で7日間培養し蛍光を確認するらしい。死滅する細胞も多く、7日間で1/5に、更に陽性細胞が出現するのは、そのうちの1/2~1/3だと言う。最終的には1/10に減るのだ。

簡単に短期間に出来る内容ではなさそうだ。チョット条件が狂うと細胞は死滅する。ここが小保方さんのテクニックなのか。理研がどの段階で検証実験に難航しているのは詳しいことは言わないので分からないが、この段階なのだろう。

だとすると、STAP細胞はなかったことになる。

更に、分化したリンパ球か、未分化の細胞かをライブイメージング法で検討したという。これは笹井さんがSTAP細胞であることの理由に挙げていた一つだ。

更に、酸性溶液処理以外の強い刺激でもSTAPによる初期化が出来るのか検討したそうだ。

その結果、細いガラス管の中を通し強い剪断力を加える物理的刺激でもSTAP細胞が出来ることを確認している。ただ強すぎると死滅するそうだ。

この方法はバカンテイ教授も言及しており、小保方さんの酸性液処理では再現が出来ないというニュースが流れると細い管を通す処理も必要だと新たな方法を発表した。

これに対して専門家は、重大な作成法に2種類あることに違和感を呈した。香港の研究者はこの方法でも再現は出来なかったという。

STAP細胞の作製も四苦八苦状態では、その後の実験は覚束ない。研究所のトップから論文作成を急がされていたことを考えると「ES細胞」「TS細胞」の混入という不正行為も可能性はある。

実証実験をやる前に小保方さんが本当のことを話すことが先ではないか。それでも不正行為をやっていないというのであれば、検証実験を続ける事だし、「不正行為をやった」というのであれば事件は解決するのだ。

「研究成果のまとめと今後の展望」で、今回の発見されたSTAP細胞による初期化は全く従来は想定していなかった現象である。その原理の解明は幹細胞や再生医学のみならず幅広い医学生物学研究に変革をもたらすという。

原理の解明が、今「STAP細胞の存在」で揉めている。

小保方さんは「200回成功した」とか「実証実験で説明責任を果たしたい」と強気の発言をしているが、どの実験段階までを言っているのか。

「ES細胞」「TS細胞」の疑いが上がっていることに対して「若山研究室で提供された以外は持ち込んでいない」というが本当はどうなのか。

弁護団が介在するコメント発表では、小保方さんの真意が分からない。それが混乱を招いている一因でもある。

「小保方さんが「なかった」と言うまで決着が付かない」と言う考えに科学者の倫理感が要求されている。

STAP細胞のアイデイア、実験が分担されていることも真実の追究が難しくなっているように思えるが、尽きるところはハーバードというブランド力を背景にする小保方さんに理研の研究者が惑わされないことだ。




2014年6月21日土曜日

官営・富岡製糸場、世界遺産登録へ:ブームは所詮ブーム、過大な期待は禁物だ

世界遺産に登録された官営・富岡製糸場
21日午後5時頃、テレビニュースでカタール・ドーハで開かれていた国連教育科学文化機構が「富岡製糸場と絹産業遺跡群」を世界遺産に登録したと報じた。地元、群馬県、富岡市は歓喜状態だがブームは所詮ブームだ。水を差すようだが過大な期待での地域開発は控えるべきではないか。

もう10年位前だろうか。群馬県安中市に住んでいたので、まだ富岡製糸場が片倉工業の所有であった時に見学したのが最初だった。商店街を抜け右折すると正面に教科書でおなじみの富岡製糸場の建物が見える。

正門を入ると、「御用の方は事務所へ」と看板がある。入って「見学したい」というと見学申込書を渡され、民間会社から移管されていないので撮影禁止、禁煙、指定外立ち入り禁止の注意事項を言われた。

木骨レンが作り
2009年10月撮影
茶色の煉瓦造りの倉庫は木骨煉瓦造り、漆喰は近くの青倉で取れる石灰を使っている。その美しさは際立っている。建築物に興味がある者にとってはワクワクする建造物だ。倉庫、繊維工場、女子寮、ブリューナ館、診療所、会議室、事務所、住居などが残っている。会議室はテレビ映画の撮影にも使われた。確か、「忠犬ハチ公」の物語で東京帝国大学の農学部の設定で教授を松方さんが演じていた。会議中に倒れる場面だったと思う。

工場建設に当たってはフランス人のポール・ブリューナが全国を調査して回った結果、繭、水、燃料の確保の面から富岡に決定したという。

世界遺産に登録しようという動きが出て敷地1万7000坪の10~20億円の土地代を国が8割、県が1割補助して市が購入、2010年の登録を目指すと言っていたが予定より4年遅れの登録になった。

それから8回目の見学の頃、見学も有料化され500円払った。ガイドさんの説明も聞くことが出来る。見学者も11万人を越えるようになったという。見学者数が事務所前に表示されていた。

清掃担当の女性に「見学者が増えましたね」と聞くと、「こんなもんではない。土、日はこの通路のあちこちでグループがごった返すほどで、特に登録リスト入りから増えた」という。

ところが「富岡製糸場と絹産業遺産群」は群馬県全域に関連施設が散らばっているが、それぞれの地元自治体で世界遺産へ温度差を感じた。

25km離れた新町に、この富岡製糸場と切っても切れない施設に富岡製糸場から出た「くず糸」を再生する「旧新町くず糸紡績所」があり、一度見学しようと訪問したが、民間会社の私有財産で団体しか受け付けていないと断られた。高崎市も推薦を見送ったという(今どうなっているかは分からない)。

安中市にある碓氷社本社事務所(県指定文化財)も貴重な建物であるが当時は推薦を見送ったと言われている。

しかし、繭とか燃料などの流通部門の鉄道施設は推薦を受けており「めがね橋」など観光に一役買っている。

赤岩養蚕農家群
2007年10月撮影
一方で熱心に取り組んでいるところもある。富岡から約60km離れた群馬県六合村の赤岩地区養蚕農家群だ。白砂川の向こう岸に2~3階建ての養蚕農家が山の斜面にへばり付くように建っている。一度訪れた事がある。年配の男性が近づいてきたので「写真を撮るにはどこが良いか」と聞くと「この辺から向こうを狙って撮ったら」と教えてくれた。

聞くとこの人はボランテイア・ガイドだという。昔は4階建てのものもあったらしい。養蚕農家は出梁、出桁が特徴で全て養蚕のための工夫だという。「私たち人間は通路で寝た」と笑って教えてくれた。

桐生市は絹織物が盛んだが50km離れている。

結構関連施設が離れて存在するので、全部を見るわけにはいかない。富岡製糸場だけではチョットもの足らない感じだ。

近くに磯部温泉があるが、今お客が減っていると聞いたことがある。「富岡製糸場が登録されると宿泊者も増えるのではないか」と聞くと、「あれは遊ぶところではない」という返事が返ってきた。

富岡市も大きな期待を持って周辺の開発をしない方が良いのではないか。ブームは所詮ブームだ。しばらくは盛況だろうが数年すると見学者も減ってくる。登録前の見学者数まで落とさないように努力することだ。これを履歴効果というらしい。

島根県の石見銀山は平成19年に登録されたが、それまでは30万人ぐらいの見学者だった。それが登録後に70~80万人に上り交通渋滞とか、地元の人の生活に支障を来す結果になったらしいが、その後減少し40万人ぐらいに落ちたらしい。登録前の30万人との差が「履歴効果」と言うらしい。ブームは必ず去るので、「履歴効果」を如何に確保するかが問題なのだ(地域経済ラボラトリ「世界遺産登録 どれだけ効果があるか」2013.6.29)。

富岡も製糸場周辺は古い家屋が密集し、道路も狭い。駐車場の確保も大変だ。合わせて観光施設をどうするかも問題だろう。維持管理費を入れれば見学料ではまかなえず財政を圧迫することも考えなければならないだろう。

兎に角、ブームに踊らされず、静かに殖産興業を掲げた政府の製糸産業振興のために建設した官営・富岡製糸場を見学することだ。

倉庫
「後記]

「富岡製糸場と絹産業遺産群」としては、富岡製糸場の他に伊勢崎市の「田島弥平旧宅」、藤岡市の「高山社跡」、下仁田の「荒船風穴」の4施設で遺産群を構成している。

                     (2014.6.22)



第186通常国会閉会:今国会は何だったのか、安倍総理の実像は

22日で第186通常国会が閉会する。新成長戦略、集団的自衛権→集団的安全保障と重要政策課題が残っているが会期延長はせず、外交に力を入れるらしい。今国会は何だったのか、安倍総理の実像は何だったのか。

圧倒的な議席を誇る自民党、強気で政策を進める安倍総理で法案成立率は97%とまれに見る高い成立だそうだ。

自民党内で安倍さんに対抗しようとする政治家は出てこない。内閣の不祥事も少なく石原さんの「金目」発言で不信任決議案、問責決議案が出されたが、野党の足並みも揃わず否決された。「金目」発言が肯定されたということは政治決着の最後は「カネ」という政治の常道を認めたことにならないか。

野党の不甲斐なさも目立つ。民主党は依然ゴタゴタが続き、野党再編の中核になれない。日本維新の会、みんなの党は分裂、野党再編を目指すも核がない。

今国会で成立した法案150件を新聞で見ても法案の内容がピンと来ない。メデイアにも登場せず、国会でも十分に審議されず我々の知らない間に成立した法案、改正案が多い。だから官僚の思うままなのだ。

特定秘密保護法が成立したが、読売新聞(2014.6.21)の成立した法律、条約には載っていない。おかしいなと思ってよく見ると「上」で75件が記載されたのだ。恐らく「下」に載るのだろう。

それにしても今国会は何だったのか。

保存されている資料を検索すれば良いのだが、思い出せる政策を上げてみた。

日本経済再興に向けデフレ脱却に手を付けた。日銀総裁を更迭してまで2%インフレターゲットを目指すと言う。でもこの2%について、国会で前原さんが根拠を問うたところ「2,3,4%と専門家は言っているが、達成しやすい2%を目標にした」というのだ。安倍さんの熱意もこの程度だ。

安倍さんの経済政策を誰が言ったか「アベノミクス」と言い(一説によると元幹事長の中川さんという)、第一、第二、第三の矢を放った。成長戦略と財政健全化の両輪でうまく運営出来るのか心配だが、成長戦略に軸足を置いているようだ。

アベノミクスの効果かがどの程度貢献しているのか分からないが、円高→円安、株安→株高になり企業の業績も向上するが、家計への効果は低く経済界に賃上げを要請した。その効果があってかベースアップで家計は潤うことになり消費も改善したようだ。

難題だった消費税増税も8%へ決断したが、その消費への影響は想定内という意見と反動が効いているという見方もある。

不評だった第三の矢の成長戦略も見直し案が出て来た。

規制改革→岩盤規制へ風穴を開けるドリルの刃となると国際舞台で宣言した事もあり、全中廃止、残業ゼロ代などの労働時間規制の緩和、混合診療の導入などで農協、連合、厚生労働省、日本医師会の権益者と渡り合ったが、利権者の抵抗、選挙協力もあって中途半端に終わった。

看板は掲げたもののその内容は譲歩に次ぐ譲歩だった。でも既得権益者と闘った姿勢は見せた。

憲法9条も改正でなく解釈見直しで変質させようとする姿勢は強い。何故かハードルの高い憲法96条の改正は諦めたようだ。

公明党との協議が続く集団的自衛権行使も何故かここに来て急に集団的安全保障の話になってきた。海外で積極的平和主義を謳ったためにどうしてもやり遂げたい政策なのだろう。
野党は、急がずじっくり国会審議をすべきだと言うが政権による憲法解釈がなし崩しに出来ることを狙っているのか。

「危ない政権」の様相を呈してきた。

危ない政権の片鱗は、人事にまで口を突っ込んで自らの考えを推し通そうとする。

第一に上げるのは、白川さんから黒田さんへの総裁更迭だ。インフレターゲット、更なる金融緩和を要求し慎重派の白川さんを変えた。黒田さんは2年で2%の物価上昇を目指し金融政策をとっている。日銀は3人を除き達成に期待を持たせるが、民間のエコノミストは達成を疑問視する。

黒田さん、岩田さんは目標未達で辞任する覚悟が出来ているのか。

NHKの報道が気にくわなければ、経営委員に自分と同じ考えの人間を送り込み、NHK会長を更迭した。ところが新たに決まった籾井会長が最低の会長だ。数々の問題発言を繰り返したが、政府としては火消しに成功したように見えるのだがNHK受信料支払いの拒否は続いているようだ。

又、集団的自衛権行使への道を付けようと法制局長官の更迭までやってしまった。新長官は体調を崩し辞任したが、その後内部昇格で新しい法制局長官が誕生した。法制局の考えは集団的自衛権行使は憲法違反らしいが、新長官は内閣の意向を受けて合憲の考えも出来ると言う。

安倍さんは、アベノミクスの評価として株価を上げている。評価を上げるためには株価を上げなければならないが今、15000円台を行ったり来たりの状況だ。

そこで年金基金を株の投資に活用し株価を上げると共に年金資金を確保しようと目論んでいる。民主党政権の時も一時年金基金を株価維持に使ったという見方があったが効果はなかったようだ。市場は期待すると言うが基金の何割を投資に向けるのかは分からない。

海外ファンドに大儲けされ逃げられるのが落ちではないか。

TPP,法人税下げにも熱心だが、TPPでは溝が埋まらないようで「日本抜き」の発言も出て来たようだ。法人税下げは25%の目標が数年で20%台と緩和されたが、10%減税で4.7兆円の税収減になる。代替財源が見つからないままでの骨太方針になった。

政治は、大企業、富裕層そして政治家一家のためと言うが安倍さんの政治もセオリー通りだ。これで日本経済の再生、再興が出来るのか。改革を急ぐ余り全体の整合性がとれているのかどうか疑問だ。

不安も大きい。

中国との尖閣問題で周辺は危機一髪の状況になっているようだが打開策はない。

橋本発言に端を発して慰安婦問題が再噴出している。安倍さんは当初河野談話を見直すと言っていたが、最近は談話を支持するようだ。有識者による見直しはまた別の問題をあぶり出すようだ。

ヒヤっとしたこともあった。

今話題の小保方STAP論文不正問題だ。論文発表で小保方さんが脚光を浴びていたとき、若い女性研究者、夢の細胞発見と言うことで政府の会議に小保方さんが招かれて安倍さんと握手することになっていたそうだ。

会議直前に疑惑が持ち上がり会談はキャンセルされたそうだが、小保方さん、安倍さんのツーショットが実現していれば、今大恥をかいていることだろう。女性の登用、国の研究開発助成に問題を投じたことは確かだ。

人口減、少子化対策は骨太方針にも掲げられるようだが、小泉政権の時も掲げていた政策だ。少子化が止まらないには何故だ。

若い男性が、結婚し子どもを育てることの出来る収入、仕事を見つけることが厳しくなっている。女性の社会進出を謳っているが、女性の生活の選択肢が増えることは良いことであるがこれが結婚、出生に良い影響があるのか、悪い影響があるのか。

国内での仕事を見つけることが出来ることは、アベノミクスで国内需要を拡大することが出来るかどうかだ。これも前川レポート、福田内閣の時の21世紀版前川レポートでも掲げられていたことだが、効果が出ていない。

その要因に政権の短命化がある。

1,2年の短命政権で達成出来る政策ではないことは確かだ。安倍政権はどうなるか。「危ない政権」の長期化になるのか。


それを防止するには、野党がしっかりしなければならないのだ。私たちが野党をどの程度の規模で育てるかにかかっているのだろう。

2014年6月20日金曜日

理研・STAP細胞不正事件(4):小保方さん実験参加の前に200回の成功事例の検証を

STAP細胞不正事件も小保方さんの処分によっては再現実験に参加できるチャンスがあるという。だとすると小保方さんが参加する前に言われている「200回の成功事例」の検証をすべきではないか。

野依理事長が「小保方さんが参加しなければ決着しない」というのは、小保方さん自身が200回も成功していると主張しているからではないのか。それが本当か嘘かは別として。

小保方さんは「自分には出来る」と確信を持っているのが200回もの成功例だとすると、そこから検証するべきだ。又、失敗例の検証も無駄を省くことから大切だ。

小保方さん、笹井さん、検証実験を担当している丹羽さん、それから遺伝子解析をして「STAPではない」と発表した理研の上席研究員、再現試験に従事している研究者等が集まって事前に検討すべきではないか。

大事なのは、皆で情報を共有することだ。

実験記録が貧弱で遡って追跡できない場合、成功したと小保方さんが主張する実験段階などを考えて成功したと言えるのか、言えないのか。

それでも可能性があるのであれば、実験手法、実験計画をしっかり決めて、専門家の監視下でやるべきだろう。若山さんは、若山研では小保方さんは別の部屋でやっていたという。これではいくらでも不法行為は出来る。

対照群としてES細胞でも合わせて実験するのであればしっかりした管理が必要になる。


小保方さんが疑惑について「不正行為はやっていない」の一点張りでは何ら解決には向かわず、だらだら先延ばしされているだけだ。

石原環境相の「金目」発言:その背後に政治決着は「金目」の悪しき慣習?

石原環境相の「金目」発言に批判が集中しているが、その背景には政治決着は「金目」の悪しき政治慣習があるのではないか。汚染土を保管する中間貯蔵施設建設で「最後は金目でしょ」と発言し「無神経で許しがたい発言」と福島県民、野党から批判が上がり、衆院では不信任決議案、参院では問責決議案提出の動きが出て来た。

石原さんの不用意な発言が、野党共闘まで発展しそうだ。

私もしっかり考えもせずに、安直に考えている石原さんの発言は許されるものではないと考えるが、今までの政治決着は「カネ」で解決するのが政治の常道だったことも関連しているのではないか。

計画が揉めれば懐柔策として最後に物を言うのだ。

今は亡き自民党の要職にあった金丸さんが、政策で国会が揉めると札束を持って野党を周り打開策を探った。金丸さんは、カネを「政治の潤滑油」と表現した。カネで民主政治がねじ曲げられることは民主政治にあってあってはならないことと思うのだが。

公共投資でも、本体工事以上に周辺工事にカネを使うことは常態化している。

今原発は批判の的になっているが、原発建設を強行するためにもカネがばらまかれた。建設賛成派の住民が「泥田にツルが舞い降りた」と言ったものだ。

普天間飛行場の移設問題で賛成派、反対派で大揉めであるが利益誘導、懐柔策が激しくなるだろう。

外交でも同じで、政治決着は「金目」であるのは我が国政治の悪しき慣習である。

政治家も国民もそれが身に染みついているのだ。


石原発言で政治の「金目」に風穴を開け見直すきっかけになれば良いが。

理研・STAP細胞不正事件(3):小保方さん実験参加は、野依理事長辞任回避策か

理研のSTAP細胞不正事件で、小保方さんの実験参加容認は野依理事長の辞任を回避する策なのか。19日、野依理事長が記者の質問に答えて「小保方さんがやらないと決着が付かない」と小保方さんを検証実験に受け入れることを表明したと言う(読売新聞2014.6.20)。

ただ、この内容だけでは不十分で毎日新聞WEB版(2014.6.20)では、野依理事長は「小保方さんの処分が懲戒処分にでもなれば難しい」とも付け加えた。当然の話だ。

監督官庁の文部科学相や「極めて厳しい処分」を要求している理研改革委員会も小保方さんの検証実験参加を要請していた。

「未熟な研究者」、世界の笑いものになった「杜撰な実験ノート」、何かマジックを使ったのではないかと疑う小保方さんを理研はどういう形で受け入れるのか。

今、ほとんどの専門家は「ES細胞では」とみているが、小保方さんは「ES細胞を混ぜていない」と否定する。

「完全にSTAP細胞を否定することが出来ない」のであれば、小保方さん自身にやってもらい、その是非を判断すべきであるが、論文発表直後に疑問を呈した専門家が「非常に低い確率ではあるが未分化の細胞が存在している可能性がある」と言ったことがある。

小保方さんが「ES細胞ではない」というのであれば、何故ES細胞の可能性が高い解析結果が出ているのか。

この可能性が残る「未分化の細胞」がSTAP細胞なのか。だとしたら何ら新しい発見ではない。

小保方さんの参加で決着を付けるのであればそれに越したことはなかろう。「実験計画をしっかり立て、どういう結果になったら実験を止めるのか」を国民に説明する責任が理研にはある。

そして今回の不正事件の一番の要因は、理研のガバナンスの欠陥にあり、日本科学界の信頼を大きく失墜させたその責任は野依理事長にある事は明らか。

まず、野依理事長が自ら責任を取り辞任すべきだ。野依理事長の辞任なくして理研の再建はない。

CDBの幹部のコメントを見るにつけ、責任感の無さに失望する。野依理事長が率先して辞任することで幹部に進退をはっきりさせたらどうか。