2014年6月21日土曜日

第186通常国会閉会:今国会は何だったのか、安倍総理の実像は

22日で第186通常国会が閉会する。新成長戦略、集団的自衛権→集団的安全保障と重要政策課題が残っているが会期延長はせず、外交に力を入れるらしい。今国会は何だったのか、安倍総理の実像は何だったのか。

圧倒的な議席を誇る自民党、強気で政策を進める安倍総理で法案成立率は97%とまれに見る高い成立だそうだ。

自民党内で安倍さんに対抗しようとする政治家は出てこない。内閣の不祥事も少なく石原さんの「金目」発言で不信任決議案、問責決議案が出されたが、野党の足並みも揃わず否決された。「金目」発言が肯定されたということは政治決着の最後は「カネ」という政治の常道を認めたことにならないか。

野党の不甲斐なさも目立つ。民主党は依然ゴタゴタが続き、野党再編の中核になれない。日本維新の会、みんなの党は分裂、野党再編を目指すも核がない。

今国会で成立した法案150件を新聞で見ても法案の内容がピンと来ない。メデイアにも登場せず、国会でも十分に審議されず我々の知らない間に成立した法案、改正案が多い。だから官僚の思うままなのだ。

特定秘密保護法が成立したが、読売新聞(2014.6.21)の成立した法律、条約には載っていない。おかしいなと思ってよく見ると「上」で75件が記載されたのだ。恐らく「下」に載るのだろう。

それにしても今国会は何だったのか。

保存されている資料を検索すれば良いのだが、思い出せる政策を上げてみた。

日本経済再興に向けデフレ脱却に手を付けた。日銀総裁を更迭してまで2%インフレターゲットを目指すと言う。でもこの2%について、国会で前原さんが根拠を問うたところ「2,3,4%と専門家は言っているが、達成しやすい2%を目標にした」というのだ。安倍さんの熱意もこの程度だ。

安倍さんの経済政策を誰が言ったか「アベノミクス」と言い(一説によると元幹事長の中川さんという)、第一、第二、第三の矢を放った。成長戦略と財政健全化の両輪でうまく運営出来るのか心配だが、成長戦略に軸足を置いているようだ。

アベノミクスの効果かがどの程度貢献しているのか分からないが、円高→円安、株安→株高になり企業の業績も向上するが、家計への効果は低く経済界に賃上げを要請した。その効果があってかベースアップで家計は潤うことになり消費も改善したようだ。

難題だった消費税増税も8%へ決断したが、その消費への影響は想定内という意見と反動が効いているという見方もある。

不評だった第三の矢の成長戦略も見直し案が出て来た。

規制改革→岩盤規制へ風穴を開けるドリルの刃となると国際舞台で宣言した事もあり、全中廃止、残業ゼロ代などの労働時間規制の緩和、混合診療の導入などで農協、連合、厚生労働省、日本医師会の権益者と渡り合ったが、利権者の抵抗、選挙協力もあって中途半端に終わった。

看板は掲げたもののその内容は譲歩に次ぐ譲歩だった。でも既得権益者と闘った姿勢は見せた。

憲法9条も改正でなく解釈見直しで変質させようとする姿勢は強い。何故かハードルの高い憲法96条の改正は諦めたようだ。

公明党との協議が続く集団的自衛権行使も何故かここに来て急に集団的安全保障の話になってきた。海外で積極的平和主義を謳ったためにどうしてもやり遂げたい政策なのだろう。
野党は、急がずじっくり国会審議をすべきだと言うが政権による憲法解釈がなし崩しに出来ることを狙っているのか。

「危ない政権」の様相を呈してきた。

危ない政権の片鱗は、人事にまで口を突っ込んで自らの考えを推し通そうとする。

第一に上げるのは、白川さんから黒田さんへの総裁更迭だ。インフレターゲット、更なる金融緩和を要求し慎重派の白川さんを変えた。黒田さんは2年で2%の物価上昇を目指し金融政策をとっている。日銀は3人を除き達成に期待を持たせるが、民間のエコノミストは達成を疑問視する。

黒田さん、岩田さんは目標未達で辞任する覚悟が出来ているのか。

NHKの報道が気にくわなければ、経営委員に自分と同じ考えの人間を送り込み、NHK会長を更迭した。ところが新たに決まった籾井会長が最低の会長だ。数々の問題発言を繰り返したが、政府としては火消しに成功したように見えるのだがNHK受信料支払いの拒否は続いているようだ。

又、集団的自衛権行使への道を付けようと法制局長官の更迭までやってしまった。新長官は体調を崩し辞任したが、その後内部昇格で新しい法制局長官が誕生した。法制局の考えは集団的自衛権行使は憲法違反らしいが、新長官は内閣の意向を受けて合憲の考えも出来ると言う。

安倍さんは、アベノミクスの評価として株価を上げている。評価を上げるためには株価を上げなければならないが今、15000円台を行ったり来たりの状況だ。

そこで年金基金を株の投資に活用し株価を上げると共に年金資金を確保しようと目論んでいる。民主党政権の時も一時年金基金を株価維持に使ったという見方があったが効果はなかったようだ。市場は期待すると言うが基金の何割を投資に向けるのかは分からない。

海外ファンドに大儲けされ逃げられるのが落ちではないか。

TPP,法人税下げにも熱心だが、TPPでは溝が埋まらないようで「日本抜き」の発言も出て来たようだ。法人税下げは25%の目標が数年で20%台と緩和されたが、10%減税で4.7兆円の税収減になる。代替財源が見つからないままでの骨太方針になった。

政治は、大企業、富裕層そして政治家一家のためと言うが安倍さんの政治もセオリー通りだ。これで日本経済の再生、再興が出来るのか。改革を急ぐ余り全体の整合性がとれているのかどうか疑問だ。

不安も大きい。

中国との尖閣問題で周辺は危機一髪の状況になっているようだが打開策はない。

橋本発言に端を発して慰安婦問題が再噴出している。安倍さんは当初河野談話を見直すと言っていたが、最近は談話を支持するようだ。有識者による見直しはまた別の問題をあぶり出すようだ。

ヒヤっとしたこともあった。

今話題の小保方STAP論文不正問題だ。論文発表で小保方さんが脚光を浴びていたとき、若い女性研究者、夢の細胞発見と言うことで政府の会議に小保方さんが招かれて安倍さんと握手することになっていたそうだ。

会議直前に疑惑が持ち上がり会談はキャンセルされたそうだが、小保方さん、安倍さんのツーショットが実現していれば、今大恥をかいていることだろう。女性の登用、国の研究開発助成に問題を投じたことは確かだ。

人口減、少子化対策は骨太方針にも掲げられるようだが、小泉政権の時も掲げていた政策だ。少子化が止まらないには何故だ。

若い男性が、結婚し子どもを育てることの出来る収入、仕事を見つけることが厳しくなっている。女性の社会進出を謳っているが、女性の生活の選択肢が増えることは良いことであるがこれが結婚、出生に良い影響があるのか、悪い影響があるのか。

国内での仕事を見つけることが出来ることは、アベノミクスで国内需要を拡大することが出来るかどうかだ。これも前川レポート、福田内閣の時の21世紀版前川レポートでも掲げられていたことだが、効果が出ていない。

その要因に政権の短命化がある。

1,2年の短命政権で達成出来る政策ではないことは確かだ。安倍政権はどうなるか。「危ない政権」の長期化になるのか。


それを防止するには、野党がしっかりしなければならないのだ。私たちが野党をどの程度の規模で育てるかにかかっているのだろう。

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