2014年6月19日木曜日

安倍政権の成長戦略見直し版:看板の塗り替え、中身は中途半端では

安倍政権のアベノミクスの第3の矢・成長戦略の見直しである「日本再興戦略・改訂版」がまとまった。数々の改革が含まれているが、看板の塗り替えで中身は中途半端、例にもれず忘れ去られる運命にあるとはいえ、間違った改革は迷惑この上ない。メデイアは次から次へ繰り出される改革に、保守より革新政党かと揶揄されるほど改革を急ぐ結果になった。

岩盤規制へ風穴を空けるドリルの刃となると言ったり、世界で一番企業活動がしやすい国にするなど世界に向けて大風呂敷を広げた。

そしてアベノミクスの成果は株価で評価すると、市場の動きにも敏感に反応する政策を打ち出そうと経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議をフルに活用し政策にお墨付きを得ようとした。

農協改革では「全中の廃止」で全国農業協同組合中央会と、雇用、ホワイトカラーエグゼンプションでは連合、厚生労働省と、医療・混合診療では日本医師会という利得権益者に果敢に挑戦したが、族議員、選挙には勝てず改革の看板は掲げたものの内容は中途半端な結果に終わった。

成長戦略で目玉にしようとした「法人税下げ」も35%から25%への下げは代替財源の問題があり明記できず20%台へと譲歩をせざるを得なかった。国民に負担を強いる法人税下げには当然に抵抗も大きい。

実際に今の企業の税負担は大企業に行くほど軽い。法人税下げを言うのであれば優遇税制を含めた税制改革で課税ベースを見直す必要があるのではないか。

法人税下げをやったところで、企業が新規事業を興し日本国内経済を活性化するなんて誰も信じてはいないのではないか。デフレ下でも収益を確保できた企業構造は急には変わらない。

安倍政権がいつまでもつかわからないが、多くの改革が忘れ去られる運命にあることは、今までの歴代政権の成長戦略を見れば分かる。

日本丸の船長である総理大臣は変わるが、漕ぎ手である官僚は新人が中堅になり、そのうちの一握りがトップに君臨する官僚機構にあっては、同じような政策課題だ続き、時代の変化とともに新たな課題が追加されるだろうが、基本的に官僚が巨大な利権をもつ組織であることに変わりはない。

財務省が主導するか、経済産業省が主導するかだ。

ところで、今まで歴代内閣の成長戦略がどうだったか調べようと思っていたが、毎日新聞(2014.6.17)に記事が掲載せれていた。

小泉、福田内閣では「経済成長戦略大綱」で小泉内閣では少子化対策が掲げられたが、今持って改善はされていない。小泉さんの後、安倍第一次政権が出てくるが体調不良で突然退き、福田内閣が本格派内閣として期待された。福田さんは小泉内閣の大綱の改定版をだした。

その間の安倍第1次政権は「成長力加速プログラム」を発表し成長力、IT革新を進めようとしたが挫折した。

福田内閣に次いで、麻生内閣が出てきた。総選挙を控えての選挙管理内閣の様相を呈していたが、リーマンショックの後始末で経済対策に力を入れることになった。エネルギー、医療、介護、観光に集中投資する「未来開拓戦略」を発表したのだ。

後に続く政権も成長分野として集中投資の方針を打ち出した。今の安倍政権でも同じことだ。リーマンショックで官僚が思い切った策に出たのか。

民主党になって鳩山、菅政権は「新成長戦略」とした。自民党の経済成長戦略から新しいものに衣替えしようとしたのか。

鳩山政権は「輝きのある日本」、菅政権は「元気な日本」とサブタイトルを付けた。

続く野田政権、また変わった安倍政権では「日本再○戦略」となずけた。野田政権は「再生」、安倍政権は「再興」だ。そして今「日本再興戦略・改定」が正式な名称になる。

民主党・野田政権の「再生」、自民党安倍政権の「再興」とどう違うのか。

再生とは、生き返らせること、再興とはもう一度盛んにすることだ。デフレ脱却、東北地方太平洋沖地震、福島第一原発事故から日本経済を再生、再興しようとしているのか。

言葉遊びの人気取りで終わってほしくない。政権が長期になるほどその達成責任が大きくなるのを安倍総理は忘れてはいけない。





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