2014年6月13日金曜日

理研改革委員会の提言を読んで:野依理事長の責任に言及しない提言に価値があるのか

13日の理研改革委員会の提言を新聞で読んで、一番感じることは何故、野依理事長の責任に言及しなかったかと言うことだ。提言では、発生・再生科学総合研究センターの解体、廃止、理研の組織の構造欠陥まで追求している。

理研全体のガバナンスの欠如は誰が見ても明らかで、我が国屈指の研究機関をこれほどまで体たらくさせた責任は理研理事長の野依さんにあると思うのだが、ノーベル賞受賞者であることに特別の配慮が働いたのだろうか。

提言内容の厳しさ、それからくる実現性の問題があるが、野依理事長の責任を追及していないことで、この提言の価値は落ちるのではないか。

案の定、この提言を受けて野依理事長のコメントは「改革委からの提言について真摯に受け止め研究不正防止のために実効性のあるアクションプランを策定し、具体的に実行に移す」(読売新聞2014.6.13)と人ごとのようなコメントを発表している。

理研には850億円という巨額の予算を税金から支出しているのだ。

まず最初に「今回のSTAP細胞論文疑惑で日本科学界の信頼を大きく失墜したことに国民に皆さんに心よりお詫び申し上げる」との一言があるべきではないか。

そんな反省もない野依理事長に理研の改革など出来るはずがない。

そして、この事件の背景にはiPS細胞で遅れを取った反省から、得体の知れない研究、実績のない研究者を囲い込んで成果を出そうとした成果主義があるが、それを助長したのは野依さんと文科省が目論む特定国家研究開発法人構想にあったのではないか。

日本の科学研究は1極に優秀な研究者を集めてふんだんに予算を使い実績を上げることよりも、全国の研究機関の平均点を上げる予算配分、政策にしなければならないのではないか。

理研の経営も根本的に間違っており、理研改革はまず野依理事長が責任を取って辞任すべきではないのか。

本部の理事、神戸の研究所のセンター長、副センター長は処分が下る前に自ら退職するのは常識ではないか。武市センター長がその責任を問われ、「理研事務局と相談しながら検討したい」(読売新聞2014.6.13)と発言したことに改革委員会が提言したほどの責任を感じていない気がする。

ここは、野依理事長が率先して責任を取り、他の関係者に進退を考えさせる必要があるのではないか。


[後記]
毎日新聞WEB版(2014.6.14)によると、西川最高顧問が辞意を表明したという。

西川さんは前の副センター長で、改革委員会が杜撰な採用があったと認定された小保方さんを採用をした張本人だ。

辞意の原因は、特別顧問でいると理研側に立った発言をしなければならないが、辞めて自分の意見を述べるということか。

竹内センター長、笹井副センター長も処分が決まる前に自主退職したらどうか。笹井さんは力があるのだからどこかの研究機関が迎え入れてくれるだろう。

それよりも前に、野依理事長が辞めることだ。理事長でいる限り改革はできない。ノーベル受賞者が優れた経営者ではない。



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