2012年7月1日日曜日

これで「国民の生活が第一」?:社会保障と税の一体改革で可処分所得の大幅減


大和総研の「社会保障・税一体改革
による家計への影響試算
大和総研 HPより

未だ全容がはっきりしない社会保障と税の一体改革は可処分所得を大幅に減らし暮らしに大きな負担となる。今回の消費税増税論争で、民主党の反対グループは「増税は理念に反している」と批判するが、野田総理は「国民の生活が第一」に通じるものであると反論する。民主党内のゴタゴタで3党合意の行く方はどうなるか、採決に造反した小沢グループがどういう手を打ってくるか、民主党執行部はどう処分するか。そんなことばかりに目を奪われていたが、制度改正も含めて、しっかり監視しなければならない。

国民に大きな負担を強いる一体改革は、「国民のため」ではなく、財務省の税収、財政支出に役立つだけかもしれない。

2014年から消費税8%、2015年から10%へ引き上げなのだが、すでに2012年6月から年少扶養控除廃止で住民税が月5500円(年間66、000円)増えている。

よく増税が家庭に与える影響について大和総合研究所の試算が引用されているが、大和総研のHPから「社会保障・税一体改革による家計への影響試算 2012.6.22」を開いた。

6ケースでの試算(2011年と2016年を比較)にあたっては消費税増税のほかに、所得税では年少扶養控除廃止(実施済)、所得控除の上限245万円(法定済み)、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税では先に挙げた年少扶養控除廃止、年あたり+1000円の均等割り増税、そして消費税増税など制度改正を想定している。

それによると、実質可処分所得の減少は年収2000万円で5%、1000万円で6%、500万円で6.5%、300万円で8%超になり、その最大の原因は消費税率の引き上げによる負担増で、40~50%を占めている。

次に負担増が大きいのは、住民税の年少扶養控除廃止で年に6.6万円だ。

消費税以外の税負担では、厚生年金の保険料増加が2.6~9.2万円、子ども手当の減少と所得制限で5.4万円から1000万円以上の高年収では17.4万円になる。

全体での2011年と2016年を比較した時可処分所得の減少は、年収300万円では24.96万円、500万円では32.8万円、800万円では43.12万円、1000万円では61.68万円、1500万円では75.82万円、2000万円では100.79万円になるというのだ。

また、問題点として「低年金者への年金加算」が、夫婦2人で生活していた時はあったが、夫の死後には加算がなくなるケースも多くなるらしい。

野田政権は当初、増税により将来の年代間格差の負担が減り、その安心感から消費が増え経済は成長路線に転換することを期待していたと思うが、今回の社会保障と税の一体改革で本当にそうなるのだろうか。

これで「国民の生活が第一」の理念に通じると野田総理は思っているのか。

今、29日も終わろうとしている。小沢元代表が月曜日には重大な決意を表明するというニュースが流れているが、その中での小沢元代表の発言の方が真っ当な感じがするのはどうしてなのだろうか。

民・自・公は3党合意での結果をしっかり国民に説明する必要があるのではないか。十分な説明もなく、解散・総選挙では迷ってしまう。

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